文学 / ジョナサン・スウィフト上品な会話A Complete Collection of Genteel and Ingenious Conversation, According to the Most Polite Mode and Method Now Used at Court, and in the Best Companies of England. In Three Dialogues.

『上品な会話』の装画。茶卓を囲んで話す着飾った人々。

文学 / ジョナサン・スウィフト

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原著・底本

原題
A Complete Collection of Genteel and Ingenious Conversation, According to the Most Polite Mode and Method Now Used at Court, and in the Best Companies of England. In Three Dialogues.
著者
ジョナサン・スウィフト
編者
ジョージ・セインツベリー
原典の利用条件
パブリックドメイン
Project Gutenberg 利用条件
収録範囲
1738年原題・刊記、原著序と無署名原注、登場人物表、全三対話。1892年版の説明注54件と訳注七件を別掲し、初版にも残る伏字・言いさしと不確かな慣用句の留保を示す。

日本語訳

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CC0 1.0
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表紙

装画
日本人文
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CC0 1.0

本書のために制作した独自装画。原刊の装丁とは異なります。

追加日: 2026-10-21 / 更新日: 2026-10-21

1738年原題・刊記、原著序と無署名原注、登場人物表、全三対話。1892年版の説明注54件と訳注七件を別掲し、初版にも残る伏字・言いさしと不確かな慣用句の留保を示す。

原題・刊記

宮廷ならびにイングランドの最上の社交界で今日用いられている、最も上品な流儀と作法に則った、洗練と機知に富む会話の完全集成。

三つの対話にて。

サイモン・ワグスタッフ紳士著。

ロンドン。フリート街ミドル・テンプル門のB・モットおよびC・バサーストのために印刷。一七三八年。

以下の論考への序

私はこの四十余年、主として祖国の名誉と福祉を心にかけて生きてきた。世間と友人たちが私をおだてているのでなければ、それにふさわしい成果も挙げてきたのである。なかでも最も力を注いできたのは、身分ある人々の会話をあらゆる面で改善し、磨き上げることだった。偶然に出会おうと招かれて集まろうと、食事であろうと茶席であろうと訪問であろうと、朝昼晩のいずれであろうとも、である。

男女の上品な人々が華やかに振る舞う訪問や集まりに、私ほど長い時を費やした同年輩の同国人は、おそらくほかにいないだろう。それゆえ、紳士も淑女も、質問、返答、応酬、切り返しに、なんとしばしば窮することかと、深く悲しまずにはいられなかった。しかし、この不備は材料の不足ではなく、誰もがその材料を手にしていないために起きるとわかり、心配は大いに軽くなった。たとえば、ある婦人は問いを発するより答えるほうがうまい。ある紳士は応酬が巧みで、別の紳士は切り返しに秀でる。意外な一句を不意に放って弱った会話をよみがえらせる者もいれば、それにうまく調子を合わせる者もいる。第三の者は笑ったり、今の言葉を褒めたりして間を埋める。こうして新たな糸口が見つかり、話の球を落とさずにおけるのである。

だが、悲しいかな、最も選り抜かれた仲間内ですら、そうなることはめったにない。宮廷で、定例の面会日に、大人物の朝の謁見で、そのほか大勢が集まる場所で、会話が衰え、燃料を足してもらえない火のように消えてしまうのを、どれほどしばしば目にすることか。これこそ私たちの嘆くべきことである。そしてこの危険な害に対し、以下の書には必ず効く治療法を用意したと、私はあえて断言する。

それは一六九五年、三王国を教皇主義と奴隷状態から救い出し、その栄光と不滅の記憶が永遠に続くべき先王ウィリアム三世の治世第六年のことだった。当時三十六歳ほどで、判断力も成熟し、世間での評判もよく、ロンドンの最上の家々にもよく通じていた私は、毎週、最も上品な家庭で、朝を五回、正餐を四回、午後を三回、晩を六回過ごそうと決めた。訪問先は五十軒に限り、主人や夫人が亡くなるか、都を離れるか、時流から外れるか、財産を減らすか――これは私にはとりわけ重大なことだった――あるいは政府に不満を抱くようになったときにだけ、入れ替えることとした。この習慣はその後今日に至るまで続けている。ただし病気になったときや、曇天で憂鬱になったとき、また、お返しとして月に一度、自分の下宿に男女四人ずつを招いてもてなすときは別である。

私はいつも大きな手帳を懐に入れ、集まりを辞するや、訪問中に交わされた最も秀逸な言い回しをすぐに書き留めた。帰宅するとそれを、いくらか増補しつつ、きれいな字で清書した。十二年で集成の大部分ができたが、まだ何の体系にも整理していなかった。それは限りない労力と、きわめて精妙な判断を要する仕事であり、したがってさらに十六年かけなければ、いくらかでも完全に近づけることはできないとわかったのである。

この点で私は、ローマの詩人ホラーティウスの勧め――私はクリーチ氏のすばらしい翻訳で読んだのだが、著者は出版に踏み切るまで、作品を九年間、書斎にしまっておくべしという勧め――を上回ろうと決めた。しかも、数こそごくわずかではあるが、機知と言葉の新たな精華がなお手に入るので、刊行を延期し、計画を進め、できることなら題材を余すところなく集め、完全な体系を世に差し出そうと決めたのである。長い経験から私は、批評家たちが、私に対して昔から抱く嫉妬の許すかぎり、苛烈に攻撃してくると確信している。彼らはこう難じるだろうと予言しておこう。私が収めた数多くの返答や応酬には、機知も滑稽味も上品さも確かさもなく、また、大いに役立ち、面白くもあったはずのものが省かれている、と。しかし具体例を挙げてもらおう。私は大胆にも、その悪意を打ち砕くことを請け合う。

この六、七年のあいだ、私の集成を豊かにする価値ある文句は、九つを超えて加えることができなかった。そこから、残っているものは取るに足りない数にすぎないと考えている。とはいえ、この書の刊行後、読んだ淑女や紳士が、少しでも重要なものの欠落に気づかれたなら、その発見を知らせ、私の不備を補っていただきたい。手紙は、セント・ジェームズ街のグロスター・ヘッド亭隣の下宿、サイモン・ワグスタッフ紳士宛にお送りいただける。郵送料は差出人持ちとする。このご好意のお返しには、第二版の短い序文に、その方々のお名前を敬意とともに記すつもりである。

さしあたり私は、いささかの誇りと大きな喜びをもって、愛する祖国に祝意を表さずにはいられない。祖国はヨーロッパのすべての国をしのぎ、会話という技芸の全体を、到達しうる最高の高さにまで進めたからである。それゆえ、今公に差し出すこの集成が充実した完全なものであると十分に確信する私は、イングランドの才気、滑稽味、上品さ、雄弁のすべてがここに集約されていると、同時に大胆に断言できる。この宝庫は決して小さくない。互いの楽しみのために集ったイングランドの淑女紳士が求めうる、あらゆる種類の談話を飾るにふさわしい、輝かしい質問、返答、機知ある応酬、受け答え、切り返しが、少なくとも千は見つかるからである。とりわけ話者たちが、しかるべき言葉による前置きや遠回しな言い方をあらゆる形で添え、それぞれの精華を引き立て、磨きをかけ、賞賛や笑いや驚嘆を伴わせるなら、なおさらである。

自然に、意志にかかわりなく筋肉がゆがむことがあり、これが解剖学上の笑いの原因である。だが、礼儀が要求する別種の笑いの原因もある。それは、上品で愛想のよい振る舞いのしるしであると同時に、よい趣味を示す確かな証拠であり、十分な観察と長い練習と健全な判断なしには身につかない。そこで私は、学ぶ人の便宜のため、以下の対話の随所で、ほとんどの質問と、あらゆる応酬や返答の後に、ある種の印、星印、またはノタ・ベネ――英語でいえば「よく注意せよ」の印――を記し、列席者のうち一人、二人、あるいは全員が笑うべき瞬間を正確に指示しようと、一度は考えた。しかし、そうすれば本のかさが増しすぎて、したがって値段も上がること、また、賢明な読者自身が発見すべきことも幾らか残しておくべきことをよく考えた末に、私は、きわめて重要な事柄ではあるが、この一切を読者の分別に委ねることにした。

読者はぜひとも、諺と、会話を美しくする上品な言葉とを、区別できるようにならねばならない。前者に関しては、私は気の利いた談話の一切から断固として排除するからである。もっとも、この論考に私が収めた、機知と滑稽味に富む数多くの巧みな言い回しのなかには、諺めいた響きのものが幾つか見つかるかもしれないことは認める。しかし、これらでさえ、もとは諺ではなく、会話を飾り、支えるために、優れた才人たちが実際に生み出したものである点を、どうか考えていただきたい。それが、ひどく不適切にも、また、難しい語をお許しいただければ、剽窃によって、諺的な格言の類へと、まったく不当に移されてしまったのである。それゆえ、公正を期すならば、俗人の手から取り戻し、男女の王侯の客間、大臣たちの朝の謁見、そして淑女の化粧台や茶卓を飾るために用いるべきなのである。

読者にはまことをもって保証するが、この集成全体にある機知に富む文句で、少なくとも百年の歳月による刻印と承認を受けていないものは、ただの一つもない。それより何年長いかを定めるのは難しい。したがって読者は、どれも本物で、正貨と同じく確かで、由緒正しいものと、安心して受け取ってよい。

だが、この入念な論考が、祖国全体に広く役立ち、その飾りとなるには、時間と多大な努力を要する二つの点が、どうしても必要となる。

第一に、機知、鋭さ、滑稽味、上品さのすべてを身につけたいと望む者は、懸命に励んで、この書に含まれる一文一文をすべて記憶に収めなければならない。そうして適切な返答、質問、機知ある切り返しなどを、とっさに、考え込んだりためらったりせず用い、一度たりとも窮することがないようにするのである。

第二に、淑女や紳士がこの困難を十分に克服し、どんな場合にも窮しなくなった後は、顔のあらゆる部分、そしてほとんど四肢の一つ一つを、適切に使いこなすことが、同じように必要になる。さもなければ、数限りない滑稽な失態が必ず生じる。たとえば、以下の対話にある上品な文句のほとんどは、目、鼻、口、額、顎のいずれかに、それぞれ独特の優雅な動きを伴わせるか、ふさわしく頭を振り、両手にも一定の役割を与えることが、どうしても必要である。また淑女には、口にする一語一語の勢いに合わせた、扇の扱いの全技法が必要になる。声のさまざまな抑揚と調子、身体のひねりや動きや種々の姿勢、笑いの種類とその度合いも、決して省いてはならない。淑女たちはこれらを毎日、鏡の前で練習し、侍女たちと相談しなければならないのである。

この学問が、どれほど広い範囲の、実際に役立つ知識を含んでいるか、読者は間もなく気づくだろう。そこでは、才気に助けられた生来の資質が大いに役立つとはいえ、実例と教えに加えて、強い記憶力とたゆまぬ努力とが、たいへん必要になる。こうした理由から私は、この学問に精通した男女の教師が、若い淑女紳士に教える学校を開いてくれたらと、たびたび願ってきた。

三十年ほど前、一般にジプシーと呼ばれる種族のボヘミア女がフランスからこちらへ渡ってきていたのを覚えている。その女は、舞踊教師のアイザックが上流の令嬢たちに舞踊を教えるとき、たいてい付き添っていた。そして令嬢たちが踊っているあいだ、少し離れて、しかし皆によく見えるところに立ち、ふさわしい身ぶり、頭の振り方、手の動かし方、身体のひねり方のすべてを、その前で演じてみせた。今日でも年配の御婦人のなかには、そのよい成果をうかがわせる方々がいる。

同じように、暮らしに窮した熟練の上流婦人の誰かが、公に学校を開いてくれることが大いに望まれる。そこでは身分の高い、あるいは大財産を持つ若い娘たちに、まず、私がこれほどの苦労を払って編んだ以下の会話の体系を、繰り返し唱えさせる。次いで、顔の一つ一つの部分、手を返す一つ一つの動き、身体の一ひねり、扇の一動作を、会話で聞いたり話したりする文句の趣に合わせるよう教えるのである。だが何よりも、笑いのあらゆる種類と度合いを教え、自分や同席者の機知に、適切な時を選んで笑えるようにしてほしい。また、貴族や地主の息子たちを、普通の学校へ送り、あるいは家庭教師の手に委ね、言葉だけを学ばせる代わりに、この同じ技芸をよく心得た教師に託すなら、書物に何の用があるのか、私にはわからない。学問を商売にする人々の手に置くほかには、である。そんな商売は、生まれながらに爵位や領地を持つ人々の品位にそぐわない。

この学問を育てれば、衒学者どもの煩わしさや無礼をすっかり避けられることも、また計り知れない利点であろう。彼らはわざと人にわからぬ言葉を使い、上品な者がたまたまその隠語の一つでも用いようものなら、より洗練された発音をする私たちを、思い上がりにも笑うのである。ところが私はここに断言するが、立派な紳士や淑女が、身を屈して難しい語を口にするときは、その一音節一音節が、口を通るあいだに滑らかに磨かれる。音だけでなく綴りまで変えるのは、書くにせよ読むにせよ、上品さのまことのしるしなのである。何が耳の肥えた人を喜ばせるかという点では、私たちは、自ら学者と称する者たちより、はるかに優れた判定者だからだ。したがって彼らこそ、私たちの実例の権威に従って、書物と発音を直すべきなのである。私たちの唇から出る言葉は、はるかに美しく、意味深いのだから。

だがそれまでのあいだ、このように偉大で有益で必要な計画が実行されるまでのあいだ――今の祖国のよい気風を思えば、その実現を生きて見られると、私はなお望んでいる――あらゆる紳士淑女に、訪問や正餐や茶に出かける際、以下の論考を懐中の友として携えるよう勧めたい。また、予定が外れたり不意の出来事があったりして、時折私も見かけたことだが、カードをせずに晩を過ごすことになったときも同じである。皆さんには、駕籠や馬車の中でそれぞれの役を読み、起こりうるあらゆる種類の会話への準備をしていただきたい。

私は祖国への正当な配慮から、わが国民の才気は地上のどの国民よりも優れると認め、反駁できない論拠によってこの真実を裏づけた。すなわち、以下の対話に、疑いのない権威を持ち、しかもすべて自国で生まれた、数多くの機知に富む文句を掲げたのである。だが同時に、これらすべてを私たちは先祖に負っていると告白しなければならない。少なくとも記憶の及ぶかぎり、重要な新しい文句が一つでも加わった覚えはない。現代の私たちにあるこの欠陥は、チャールズ二世の治世に隠語が入り込んだために生じたと、私は考えている。これらはあまりにもたびたび変わったので、一年以上前のものは、今ではほとんど理解できない。少数が、当時の喜劇その他の空想的な書き物に、あちこち散らばって見つかるほか、どこにも残っていないのである。

私の古い友人で仲間でもあった、ジェームズ・グラハム大佐閣下もまた、同じ治世の末に一群の言葉や文句を考案し、それは彼が亡くなる頃までほぼ使われ続けた。しかし、これらの術語は宮廷と政治家だけに適し、ほとんど特別な知人の輪――私もその一人たる栄誉を得ていた――の外には広がらなかったので、今ではほぼ忘れられている。

故R――公爵とE――伯爵も、単語以上のものに踏み込まなかったとはいえ、結果はさほどよくなかった。その語彙全体のうち、「ひっかけ」「だまくらかす」と、ほかの一、二語を除けば、どれも廃れてしまった。

毎年変わる多種多様な新語を私たちに供給し、前の季節のものを忘却に沈めてしまう、そのほかの都会の才人たちも、すでに同じ運命をたどっている。私はあるとき、H――卿夫妻閣下から、これらの完備した一覧をいただく幸運に恵まれた。それでひと夏、田舎で大いに面目を施したのだが、冬にロンドンへ帰ってもう一度使ってみると、嘲笑されるやら、意味が通じないやらという有様だった。

近年の発明のうち、談話の上品さにいささかでも貢献した唯一のものは、多音節の語の残りを切り捨て、一音節に縮めることである。この洗練は名誉革命の頃に始まり、私もその普及を進める栄誉の一端にあずかった。日ごとに進歩しているのを見るのは、まことに満足であり、やがてはわが言語を完全さの極みにまで高めるだろうと望んでいる。もっとも告白するなら、意味が曖昧になるのを避けるため、以下の対話では、この飾りをたいそう控えめに用いている。

しかし、会話を育てるために考案する文句に関しては、この町のすべてのコーヒー店の倶楽部に挑んでおこう。私の集めたもののうち最も劣るものにさえ、機知、滑稽味、鋭さ、上品さで匹敵する新しい文句を、一つでも考え出してみるがよい。これは明らかに、私たちが大いに退歩したか、それとも材料の全備蓄がすでに使い尽くされたかを示している。私は、後者であってほしいと願い、また確信している。というのも私自身、できることなら自作の追加によってこの宝庫を豊かにしようと、数か月にわたり知恵を絞ったからである。ただし、それらは異なる活字で印刷するつもりだった。公衆を欺いたと責められないためである。それを判断力ある友人たちに見せると、皆、たいへん正直に応じてくれた。私の文句は、この集成にまとめた、昔ながらの本物の話の助けには、はるかに劣ると、全員が一致して言い、その意見を理由を挙げて確かめてくれた。それによって私はすっかり納得し、自分の大それた思い上がりを恥じたのである。

ところが最近、同じ考えを一層確かにする、さらに強い論拠に出会った。ソールズベリーの偉大なバーネット主教は、すばらしい『わが時代の歴史』の序文で、生涯の毎日をその推敲に費やすつもりだと語っている。実際、それはその種の作品としては、私のこの書とほとんど同じほど磨き上げられている。そこで私も、この数年来、集成全体を通じて、文体や言葉の適切さにほんのわずかの過ちでも見つけられないかと、きわめて厳密に調べることを、日々の仕事としてきた。主教に張り合い、当代で最も完成された作品として世に送り出すためである。

ある日私は、男女のよい顔ぶれと正餐を共にし、例によって、手帳を埋める新たな材料を探っていた。食後、婦人たちが茶へ退き、私たちをワインの瓶とともに残すまでは、かなりうまくいった。ところがその後は、書き写す手間をかけるだけの材料を、もう一つも出せなくなった。座の話題がすべて、昔ながらの本当の規格によらぬ、各人の自作の気の利いた文句へと堕落したからである。そこで私はまったく望みを失って席を立ち、茶を飲む婦人たちのところへ加わった。このことから私は、ワインは上品さを吹き込まないか、それとも男というものは、女の同席なしには上品さを保てないか、そのいずれかだと結論したし、今もそう信じている。女たちはいつも私たちを正しい道へ導き、そこにとどめてくれるのである。

これらの名句のおかげで、わが言語が少なくとも百年間は保たれてきたことは、その価値を大いに高める。驚くにはあたらない。機知の鋭さとからかいの巧みさに加え、どの句も表現がこれほど適切で力強いため、変えれば必ず悪くなるからである。ただし略語を使う点は別だ。この導入は、私はいずれ実現すると期待している。すでにロンドンの選り抜きの集まりの幾つかで、目にしたからである。

この書は、男女を問わず、すべての身分と財産のある人のために作った。とはいえ、私がとりわけ念頭に置いたのは、陸軍将校、法学院の紳士たち、両大学の紳士たち、男女すべての廷臣、とりわけ女官たちであったことが、読者にはわかるだろう。私はこれまで二十二組の女官たちと個人的に知り合い、その誰もがこの高貴な資質に秀でていた。ところがこの数年来、どうしたわけか、下卑た掛け合いと自由思想にまで堕落してしまったのである。私も、しかるべき折に、この二つの楽しみに反対するわけではない。より高尚な話を味わえない者、記憶の短い者、若すぎて課業を十分に修めていない者、あるいは考えにくいことながら、私の教えを読み、学ぶ気のない者に調子を合わせるには、よいだろう。それに宮廷の婦人たちには、周囲すべての一般的な流れと流行に逆らい、わざと変わり者を気取るという非難を避けようと、右の二つの楽しみに陥る強い誘惑がある。だがそれでも、自由思想の主要な飾りである下卑た掛け合いや冒瀆が、私の集成で見つかるものほどよい上品な談話の資源だと、あえて断言する者はいまい。掛け合いのほうは、その種のものとして優れているものが少なく、しかもすべて一つの点に落ち着くので変化に乏しい。数を増やすには、人々が割ける以上の創意が要る。また冒瀆ないし自由思想のほうでは、誤った教育のために幽霊を怖がる、良心の細かい男女を私は幾人か知っている。ただし女官たちは除いておかねばならない。彼女たちは、悪名高い宮廷付き牧師によって、地獄という場所は存在しないと、すっかり納得させられているからである。

実際、思想は自由であると誰もが認めている以上、自由に考えることの正当性に、私は異を唱えられない。だが、それが広い話題の野を提供するにしても、私のつたない意見では、機知や滑稽味はほとんど含まれないように思う。わが国に根づいてから日が浅すぎ、確立した由緒正しい表現を供給できないからである。つまり、その権威を認められるには、上品な社交界の認可を受けなければならないような表現のことである。また、冒瀆ないし自由思想の技は、宮廷や高貴な身分の人々が発明したものでもない。正確には、彼らは発明者より保護者であった。それを最初に持ち込んだのは、権力を握った末期の狂信派であり、王政復古の後、転向した残部議会派が、まことにもっともな理由から、ホワイトホールへ運び込んだのである。というのも彼らは知っていた。父王の災難による誤った教育を受けたチャールズ二世には、狂信的熱狂がまっすぐ無神論に通じ、それが青年期の放蕩な傾向にかなうことを観察する時間が、十分にあったのだと。おそらく、こうした原理をわが国に広めたとしてたびたび責められるフランスのユグノーたちが、王のうちにさらに育てたのだろう。それにしても、国産の蓄えがこれほど豊富にあるのに、どこに会話のための新しい外国産の話題を持ち込む必要があるのか、私にはわからない。

同じく重い幾つかの理由から、私は二重の意味を持つ言葉もごく控えめに用いた。それはしばしば、婦人たちに、わざと身構え、知らないふりをさせるからである。要するに話の筋を切るか、ひどくもつれさせる。そのような際に乱れた女性の顔つきを整える規則を、私は何一つ心得ていない。したがって、この種の当てこすりは、ひそひそ声で、二十歳未満の若い婦人だけに向けて述べる場合に限って許す。彼女たちは名誉にかけて赤面せねばならず、それが新しい話題を生むかもしれないからである。

批評家たちは、以下の私の上品な会話の体系には、談話の大きな飾りの一つについて、ただの一例も示していないという欠点があると、責めるかもしれない。実際それは、すぐに述べる幾つかの理由から、わざと省いたのである。もしその理由が、温良な読者のうち男性の方々を満足させないなら、第二版への付録によって、いくらかはこの不足を補えるだろう。この付録は別冊として印刷し、中綴じ、大理石模様の表紙付きで、六ペンスで販売する。読者に、代金をだまし取られたと不満を言わせないためである。

私の言う欠点とは、談話を飾るために現在最も流行している悪態のすべてを、本の本文に入れなかったことである。聖職者は、このような上品な集いには、めったに、あるいは決して加えてもらえないのだから、彼らを怒らせるはずもないのに、なおさらである。そして、よく選んだ悪態は、話の中身を埋めるのに大いに役立つだけでなく、文体の大きな飾りでもあることは、認めなければならない。

この重大な一件について、ここで自分の弁護に述べることが、私の過失を幾らか軽くしてくれるものと願う。

第一に、悪態をきちんと集め、流行の求める頻度で繰り返すなら、本書は少なくとも倍の厚さになると、私は考えた。それでは値段が倍になるだけでなく、懐に入れて持ち歩くにも不便になる。

第二に、判断力ある友人たちから聞いた確かな話では、この種の飾りを、不適切には用いていなくても、呪いや悪態が多すぎると、立腹する婦人を実際に知っているという。本気で腹を立てるのかどうかは別として、である。これには私もかなり驚いた。自分のさまざまな知人の輪では、少なくとも二十年のあいだ、そのようなことを一度も見たことがなかったからだ。しかし、自分より賢い判断には従わざるをえなかった。

第三に、この最も有用な論考は、将来のあらゆる時代のために作るものであるから、私はこの熟した年齢に至り、世間を学び、人と風俗を知るようになって以来、いかに多種多様な悪態を耳にしてきたかを考えた。そしてここで、古い詩人に読んだことが真実だとわかった。

「今どきの男は悪態を変える、
着物を替えるのと同じほどに。」

要するに、悪態は流行の子供である。先に隠語について述べたように、ある意味ではほとんど一年草であって、私自身、四十ほどもの違った組み合わせを覚えている。基本となる古い悪態は、せいぜい四十五か五十を超えないと、私は確信している。だが、それらを交ぜ合わせ、組み立てる方法は、ほとんどアルファベットの組み合わせと同じくらい多様なのである。

記録に見えるかぎり、「神――の傷――にかけて」と悪態をついた最初の身分ある人物は、サー・ジョン・ペロットである。彼はエリザベス女王の治世に生き、ヘンリー八世の庶子と考えられていたから、王がその指南役でもあったかもしれない。この悪態は実際、今なお続き、今日でも基本の悪態の一つである。もとの素朴さを保ったほかの幾つかも同様だ。だが圧倒的多数のものは、あまりにもたびたび変えられ、組み替えられたので、もし考案者たちが今生きていたとしても、ほとんど理解できまい。

これらを考えて私は、今流通している悪態をすべて入れれば、私の本は流行が一度変わるだけで時代遅れになり、古い辞書のように役立たなくなるのではないかと案じ始めた。上品な談話の集成のほうは、事情がまるで違う。すでに述べたとおり、その言い回しは変わらぬまま、少なくとも百年にわたり、伝承によって受け継がれてきたからである。そこで私は、悪態の体系全体を省くことに決めた。男性の悪態も女性の悪態も、すべてよく知られ、区別されており、新しいものも容易に覚えられ、ほどほどの分別があれば、ふさわしい機会ごとに適切に用いることができるからだ。ただしここで、悪態というこの項目について、男性読者には、少しは変化を工夫していただきたいと、強く勧めねばならない。最も洗練された悪態の使い手たちによれば、同じ集まりの一度の席で、同じ者が、同じ悪態や呪いを九回より多く繰り返すのは、真の上品さと両立しないのである。

この書にある上品で気の利いた言葉のすべてを、淑女と紳士の普通の会話で、私がここに示すほど速く、ぎっしりと繰り出してほしいと望んだり、期待したりしているわけでは、決してない。まったくその逆である。もっと大切に使い、ずっと間を空けて配するべきだ。同じ家庭をあまり長時間、あるいはあまり頻繁に訪問しない人なら、慎重かつ倹約的に使うことで、一年じゅうの楽しみに足りることは、少しも疑っていない。この本に散りばめた機知、空想、知恵、滑稽味、上品さの精華は、千七十四に達する。そこで紳士と淑女の一人一人に、三十軒の訪問先があるとすれば、端数にはこだわらずに、十二太陽月のあいだ、毎日、それぞれの集まりで新たに披露する上品な質問、答え、応酬、切り返し、機知、所見は、百に少し足りないだけとなる。これでさえ、世間が求め、あるいは正当に期待しうる以上の精妙さである。だが私は、ひたすらこの学問を完全さの極みへ高めたいのである。

この本の刊行によって、長い年月のうちには、この高貴な技が下賤な俗人の手に渡ってしまう、と異論が出るかもしれない。私はこう答える。それは、無知な知ったかぶりが幾人か想像するほど、容易に身につくものではない。従僕も悪態はつける。しかし貴族のようにはつけない。同じ回数はつけよう。だが同じ精妙さ、適切さ、判断をもってつけるだろうか。決してつけない。よほど優れた才覚とよい記憶力があり、観察を怠らず、鋭い耳と幾らかの音楽の知識と正確な趣味とを備えた若者でなければ、である。今では女主人たちにどれほど寵愛されていようと、従僕仲間でそのような者は千人に一人もいない。私が世に差し出すこの書の、高尚な文句を味わい、使いこなすほどのすぐれた才気は、六人に一人の従僕にも備わっていない。もっとも、侍女については同じ悪い結果が生じるとは思えないのも事実である。恋愛物語を読んで育ったなら、下位の、借り物の上品さを少しは持ち合わせているだろうし、いつも茶席に付き添い、よく話を聞いていれば、数年のうちにはまずまずの振る舞いを身につけ、それで若い付き牧師か年老いた家令を捕まえることもできるかもしれない。しかし、ああ、それでも結局、幾百もの優雅な動きや身ぶり、扇を操る軍事演習の全体、顔の筋肉一つ一つのひねり、声の上げ下げ、速さや遅さ、種々の抑揚や調子、微笑むときと顔をしかめるときの適切な区切り、笑う回数とその大きさ、冗談を言うときと嘲るとき、そして先に挙げた教義と訓練のほかのあらゆる部門を、どうして身につけられようか。

したがって私は、この技がいつか俗人の手に落ちる危険を、いささかも恐れていない。完成するまでに、これほどの時間、勉学、練習、才気を要するからである。それゆえ、国費で最善かつ最も有能な男女の教師を備えた公立学校を設けるという提案を、ここに繰り返さねばならない。

私は、歴史、法律、政治、そのほかほとんどの技芸や学問における著名な書き手の型にならって、この書を対話の形にした。同じような成功を得られることを願う。人類の知識をすべて合わせたものよりも、この書のほうが、この諸王国の幸福にとって重大であることに、誰が異を唱えられようか。対話は、知識のいずれの部分を教え込むにも最善の方法とされている。そして私は、わが構想に従い、身分と財産のある若者に機知と上品さを教える公立学校が、まもなく設立されると確信している。そこで次の会期には貴族院に請願書を出し、この技を教える王国のすべての主要都市で、私の本を標準文法書と定める議会制定法を求めようと決めた。教師は有能な者とし、私が認め、推薦する。これは、まったく無用な言語の単語を教えるだけで、リリーが得たものを超えない。また、自分の利益をおろそかにして、有益な計画の立案者には当然与えられる特許を求め忘れるつもりもない。つまり、十四年間、各学校が私の文法書を読むための免許を与え、その収益を独占する権利がほしいのである。

私がこの本の文体をきわめて正確に磨くため、どれほど苦労したかは、読者も気づかずにはいられまい。綴りの洗練にも、劣らず熱心に努めた。宮廷、朝の謁見、集い、劇場、第一流の訪問先で、上品さの最高の模範たる人々が発音する、そのとおりに綴ったのである。若い法学院生や、両大学の富裕な自費学生で、少なくとも一年はロンドンに暮らし、最上の人々と交わった者の発音にも従った。その実例は、以下の本に数多く見つかる。たとえば、can’t、han’t、sha’nt、didn’t、coodn’t、woodn’t、isn’t、e’n’t、その他多数である。そのほか、学者どもがギリシア語やラテン語に由来すると称し、しかし淑女、陸軍将校、廷臣、法学院生によってまだ上品な音に刈り込まれていない幾つかの語もある。Geometry〔幾何学〕をJommetry、Verdict〔評決〕をVerdi、Lord〔卿〕をLierd、Learning〔学問〕をLarnenとする類だ。これに、絶妙に洗練した略語も加わる。Positive〔断固たる〕をPozz、Mobile〔暴徒〕をMobb、Physiognomy〔人相〕をPhizz、Reputation〔評判〕をRep、Plenipotentiary〔全権大使〕をPlenipo、Incognito〔お忍び〕をIncog、Hypocondriacks〔憂鬱〕をHyppsまたはHippo、Bamboozle〔だまくらかす〕をBamとし、Bamboozleは何の略だか神のみぞ知る。こうして多くの時間が節約され、会話へ至る本道が何マイルも短くなるのである。

見て明らかなように、私はたいそう骨を折り、願わくは十分な成果をもって、対話の登場人物それぞれの性格に、一貫性を持たせた。そのため、判断力のある人が、選り抜きの仲間を楽しませ、教えるために朗読するなら、いちいち話者の名を述べる必要さえないはずである。すべての人物が、さまざまな話題を通して、互いに異なるそれぞれの性格に固有の話し方を、きちんと守っているからである。ただしこの点は、思慮深く公平な読者の識別に、すべて委ねておく。

おそらく、機知や滑稽の一つ一つを持ち出す手法そのものが、その内容に劣らず面白く、ためになるだろう。内容については、私に功績はほとんどない。すべては記憶力と、上品な人々と付き合えた幸運によるからだ。しかし、このように多種多様な話題において、最もふさわしい所感として、それらの言葉が自然に出てくるよう工夫する技は、いくらか珍しい才能だと私は考える。ひたすら公益を愛する無私の心に加え、その方面に特に向いた才気を持たないかぎり、成功を望める者の少ない仕事なのである。

一つ一つの珍しい質問、鋭い答え、機知ある応酬は、多くの人にはほとんど知られていない。だが、この集成全体で、求められれば最も確かな証人を出せない文句は、ただの一つもない。幾人かの繊細な耳には、いささか粗野に響くかもしれない表現でさえ、宮廷、チョコレート店、劇場、集い、客間、朝の謁見、カードの会、舞踏会、仮面舞踏会における、王族の次に高い爵位を持つ男女の権威の刻印を示すことができる。もっとも、実をいえば、奔放すぎると思われるような言葉を引用することは、ずいぶん控えた。私が集成を始めた頃、その種の会話はほとんど幼年期にあったからである。宮廷にいる尊敬すべき女の後援者たちの庇護を得て初めて、その励ましと認可によって、機知と上品さの花束のなかの、選り抜きの一輪となったのだった。

私が一同を正餐につかせる際、料理の種類が多すぎて、料理法に必ずしもかなわず、季節にも適さず、第一の膳の一部を第二の膳に混ぜているうえ、貴族の食卓、それも盛大な宴席に、黒い血のソーセージを出すという不作法まであると、異を唱える人もいよう。しかし、黒いソーセージを省いたら、ノータブル嬢がそれを食べない理由として挙げた、あの見事な一言はどうなったのか、と問いたい。世間はそれを永遠に失ったかもしれず、集成から落とした責任を、私は正当に負わねばならなくなる。それゆえ、このような酷評好きの読者には、どうか考えていただきたい。私の仕事は、洗練された言葉を、できるかぎり完全な集大成として、できるかぎり簡潔にまとめることだった。その際、それらを最も自然でありそうな形で出すことにだけ気をつけ、このすばらしく必要な技の実体と真髄そのものへ、読者を誘い込もうとしたのである。

カードという、これほど広く行われる上品な娯楽が、これまで私の書を豊かにするのにほとんど寄与しなかったことは、心から残念であり、大きな失望でもあった。私は何百回となく、手帳を構え、細心の注意を払って傍らに座ったが、八時間いても、この本のただ一つの文句の材料さえ集められなかった。だがこれは容易に説明できると思う。晩じゅうの長い勝負のあいだ、幸運と不運のさまざまな、意外な変転、出来事、逆転、結果が訪れるにつれ、感情が騒ぎ、押し合うからである。心はすっかりそれに奪われ、注意をそらした結果は致命的になるのだ。

勝負は、思慮と行動という二つの大きな柱に支えられている。術語は少なく、規則と慣習によって定められ、脱線したり機知を試したりする時間は許されない。とりわけカドリーユは、自然状態にいくらか似ている。聞くところでは、それは戦争状態であって、女は誰もが、ほかのすべての女に敵対するのだ。結びつきは短く、不安定で、すぐ破れる。この瞬間に相手も知らず同盟を結び、次の瞬間には解消する。かくしてカドリーユでは、女性の頭は常に策略に働き、あるいは手が行動している。また、わが国で仮面舞踏会がめでたく復活したことも、私たちの技にあまり益したとは思えない。こうした集まりの対話全体は、認めよう、活気はあるが、ただ一つの問いと、同じく活気ある一つの答えに尽きるからだ。「私が誰かわかる?」「ええ、わかるわ。」また「私が誰かわかる?」「ええ、わかるわ。」だから、ただ一つの問いと一つの答えのためだけに仮面舞踏会を持ち込み、読者を煩わせるのは適当でないと考えた。とりわけ、これをきちんと行うには、奇妙な衣装の男女百人を一斉に一分間登場させ、次の一分には退場させなければならないのだから。

仮面舞踏会によって私たちの学問が大いに進むと考えるのも、道理に合わない。そこでは男女の機知が、奇抜で気まぐれな変装を保つことにすっかり奪われ、思いはことごとく、恋の策略や密会の約束を首尾よく実らせることに費やされるからである。

判断力ある読者は、私がノータブル嬢を女主人公に、トマス・ネヴァーアウト氏を男主人公にしたことに、すぐ気づくだろう。二人の性格には、力のかぎりの手を加えた。最も生き生きした質問、返答、機知ある応酬、切り返しを、この二人の口に置いたのである。すべての若い独身男性と未婚の婦人がまねるべき模範として、二人を示すのが目的だからだ。それによって、男女の上品な会話が、これらの王国でこれまで知られなかったほど完全な高みに花開くのを、きわめて近いうちに見たいと願っている。

ダービシャーの騎士、サー・ジョン・リンガーの性格を幾筋か描いたのは、わざとほかの一同と対置し、対照をなすためである。この点で、私の生まれ故郷であるダービシャーを、少しも非難するつもりがなかったことは、読者に保証する。ただ、上品さの圏外で育つという不利を背負った人々の不幸を、示したかったのである。この圏域の現在の限界は、ロンドンとその周囲十マイルを超えないと、私は考える。死者統計表の対象地区の内側に限る人々もいるが。私の紳士淑女の談話とジョン卿の談話を比べれば、同じ気候の土地で、同じ法律、言語、宗教、政府のもとに育ったとは、ほとんど思えまい。それゆえ、彼自身の粗野な方言で話す姿を登場させた。私の門人に、それを避けるすべを教えるためにほかならない。

細かく読む読者は、会話がしぼみかけるとき――幾つかの箇所では私が巧みにそう仕組んだ――それをよみがえらせる不意の問いや機知ある言い回しを、きちんと用意したことに気づくだろう。たとえば、「おや、これは無言の集会かね!」「さあ、奥様、何を考えているか一ペニーで聞かせて」といった類で、ほかにもいろいろある。地方や田舎の機知や空想的な言い回しは、すべて退けた。知っているものがごく少ないからだが、実際、主な理由は、それらが宮廷、とりわけ侍従官、寝室付き女官、女官たちのあいだのものより、はるかに劣るとわかったからである。わが立派な首都のこちら側の端も、付け加えておかねばならない。

上品に語り合うこの幸いな技が、すっかり進歩すれば、よい集まりが、退屈で味気なく、くどくど話す物語の語り手や、言い争う論客に悩まされることは、もうなくなる。私たちの学問をきちんと修めた者は、男女を問わず、不意の意外な機知で絶えず話を遮り、一同を大笑いに巻き込むからである。少し間を置いて、その生真面目な相手が「さて、しかし話の続きをすると」と、また筋をたどり始めても、右から左から新たな割り込みが来て、とうとう諦めざるをえなくなるのである。

下卑た掛け合いの腕前を喜ぶ人に教えるため、また宮廷の女友達の意向に従うため、私はその試みを幾つか行った。もっともこの点では、今セント・ジェームズ宮で行われているより幾らか慎み深い形にしたので、少しばかり流儀を破ってしまった。同時に、この腕前を、私の論考の主題をなす完全で上品な会話の一部門として、正当に認めるわけにもいかない。その理由はすでに述べた。また、念を入れ、どの掛け合いにも肝心なところには空白を残した。鋭い読者なら、心の中で埋めていただけよう。

私自身についていえば、フランス語を少しかじったほかは、衒学者や学者の言うところの、まったく無学な、すなわち学問を修めていない人間であると、誇りをもって認める。だが自国語にかけては、そう多くの人に引けを取るつもりはない。この二十年のあいだに刊行された戯曲の大部分と、雑詩集のすべてを読んだ。トマス・ブラウン氏の著作は全巻を読み、当代最大の才人と万人の認めたその方の、親しい友人たる栄誉も得ていたのである。

現在君臨する主要な才人たちと私がどんな関係にあるかは、彼らが本の前に掲げるよう勧めてくれた推薦詩が、千人の証人以上に証明してくれるだろう。また私は、チャールズ・ギルドン氏、ウォード氏、あの優れた批評家にして詩人のデニス氏、そのほか幾人もの方々と、格別の付き合いがあり、昔からそうであった。こうした高名な方々の一人一人、つまり、まだ生きておられる方々は、この作品を、友情ゆえの厳しい目で五回ずつ読み通す栄誉を、私に与えてくれた。そして、ごくわずかではあるが幾つかの訂正を提案してくれた。私はそれをありがたく受け入れ、この並々ならぬご厚情に、ここに公に謝意を表する。

ここで、恩知らずとならずには隠せないのが、二人の輝かしい文人、オゼル氏とスティーヴンズ大尉から受けた大きな助力である。この方々と、ほかの幾人かの際立って高名な人々とのあいだで、私は数多くの楽しい時間を過ごした。彼らはわが言語を大いに洗練した者たちであり、したがって私は、そのまねをすることを第一の大望としてきた。ポープだのゲイだのアーバスノットだのヤングだの、その他あの唸り声を立てる一族には、私たちが宮廷と王国から受ける賞賛をねたみ、破裂させておけばよい。

だが、脱線から戻ろう。

以下の上品な表現の集成は、洗練された流行の暮らしのあらゆる話題に、容易に組み込めると、読者はわかるだろう。朝の茶にふさわしいものは、午後の茶にも同じように役立つ。同じ顔ぶれであっても、質問、返答、応酬のそれぞれを、別の者の手に移しさえすればよい。また食事に適したものは、日光と蝋燭の明かりを区別するだけで、正餐にも夜食にも同じように使える。この方法によれば、まずまずの記憶力がある勤勉な者が、窮することは決してない。

有用な精神の才能を自然から託された者は誰もが、あらゆる名誉の絆と、私たち皆が祖国に負う正義によって、生涯に公益のため果たすべき輝かしい行為を、一つ目標としなければならない。これが私の変わらぬ考えである。そして私が引き受け、力を尽くして成し遂げたこれほど壮大で重要な事業は、もっとはるかに有能な手と、国王からの寛大な奨励に値したと、率直に認める。とはいえ、私自身の弁明としては、これだけは述べなければならない。先に名を挙げた友人のうち、機知と上品さで第一人者と万人に認められる幾人かに、自分たちの名誉となり、王国の益となるこのような仕事を引き受けてほしいと、私は何度も、まことに熱心に懇願した。ところが皆、あまりにも謙虚で、辞退するのをよしとし、この役目を私に押しつけたのである。もっともそのやり方はたいへん親切で、私の乏しい資質へのお褒めの言葉が添えられていたが、それはあえて繰り返せないほどである。ついには彼らの懇願、いやむしろ命令が、生まれ故郷への破られぬ愛に加わり、私をこの大胆な企てへ向かわせたのであった。

この書をしかるべく完成するため、国王、議会、内閣から最高の奨励を受ける正当な資格において、今生きているどの人物も、私には遠く及ばないと、謙虚さをいささかも破らずに断言してよかろう。古代の幾人かの偉大な英雄は、荒々しい野蛮な民族を文明化した功績によって、神として崇められたという。私にもそれ以外の意図がありえないことは明らかである。そして私は、ほかならぬ敵に問うてみよう。もし私のような論考が数年前に刊行され、これから必ず得ると確信するほどの成功を収めていたならば――すなわち、貴族と地主のすべての思いを、上品な会話の研究と実践へ向けていたならば――『クラフツマン』とその支持者どものような、下劣で愚かな書き手たちが、あれほど何十万もの臣民の主義を腐らせることができただろうか。彼らがそうしたことは、ホイッグ党員、忠実な臣民、真のプロテスタントのすべての心にとって恥と悲しみとなるほど、あまりにも明らかである。というのも、誠実で判断力ある読者に、一つ注目してほしいからだ。私が上品さと洗練の「イン・シックリー・ペイデイ」〔全百科〕[2]を、そう呼んでよければ、すっかり汲み尽くし、以下の対話に忠実に整理した後でも、政治に関する表現は一つも見つからない。内閣は一度も出てこず、「王」という語すら二、三度しかなく、それも君主をたたえる場合だけである。私たちより賢い先祖は、会話の規則を作る際、戴冠した君主を決して怒らせず、国家の党争にも関わらぬよう、それほど慎重だったのだ。実際、Politeness〔上品さ〕とPoliticks〔政治〕という二語はよく似て見えるが、本性上これほど相容れない観念もない。だが、不忠の外見をことごとく避けるため、私はこの高貴な学問のまさに泉から引いた、無敵の論拠で忠誠を力づけるよう気をつけた。金文字で記すべき、その短い言葉は、「せねばならぬは、王にだけ」である。私はこの反駁不能の格言を、本の最初の頁に、とりわけ注意して入れ、読者の心に、最善のプロテスタント的忠誠の考えを早くから植えつけた。また、上品さこそ忠誠を支える最も堅い土台だというのは、私一人の私見ではない。神々しいティッバルズ氏、あるいはシーオバルズ氏も、誕生日を祝う詩の一つで、かくも見事に歌っている。

「おれは学者じゃないが、上品さ、
だからジャコバイトじゃないのは確かさ。」

同じ趣旨で、詩の一座全体の偉大な師、わが最も輝かしい桂冠詩人、コリー・シバー氏の歌にも耳を傾けられたい。

「語るとき上品なことも言えぬ者、
われらがジョージ王にも忠誠なき者。」

この重大な真実を確かめるため、わが国の男女の主要な詩人から、輝くくだりをさらに幾つも挙げることができる。ここから私は、次のように結論してよいと思う。すなわち、以下の頁に収めた学問を、グレート・ブリテンとアイルランドの諸王国に広めることに、最も大きく貢献できる者は、最も賢い宮廷と、最も判断力ある議会とが、最も功績ある臣民に与えうる、一切の恩恵を、正当に要求してよいのである。誰に当てはめるかは、読者にお任せする。

これが私の大胆にも試みた仕事であり、金銭目当ての思惑は少しもない。そして、トーリー党とその支持者たちのあいだを除けば、望みどおり十分に成功することを疑ってはいない。彼らは皆ジャコバイトで、したがって内心は教皇派であり、真の趣味を欠くためか、強い気取りからか、私の本を読まないと決めるかもしれない。この高貴な技で心を飾るよりも、王国じゅうの男女の第一流の才人とともに、上品な社交界で輝く楽しみと名誉を、自ら拒むほうを選ぶのである。そしておそらく、プロテスタント王位継承への真の忠誠心が、それとともに忍び込むことを恐れるのだろう。認めよう、それほどありそうなこともないのである。

好意ある温良な読者たちが、絶えず目を見張り、数限りなく骨を折り、夜中にたびたび起きて、不意に、あるいは偶然思い出した巧みな文句を書き留めた苦労を、思い描いてくださるなら。細心の警戒がなければ、それらは取り返しがつかぬまま永遠に失われていたのだ。格別の功績を持つ男女が集まり、その才を披露する家々へ、私がどれほど信じがたいほど勤勉に、昼も夜も通ったかを、考えてくださるなら。記憶によく留めるため、彼らの話すことのすべてにどれほど注意深く耳を傾け、しかるべき折を見て、人知れず席を外しては手帳へ書き込み、そのときどれほど高貴な仕事を胎内で育てているかを、一同はほとんど疑いもしなかったことを、考えてくださるなら。すなわち、こうしたことがすべて世間に知られれば、一本の筆だけで全国にもたらした奉仕と名誉に対し、しかるべき時に、上下両院から公の感謝を受けると期待しても、それほどの思い上がりではないと、私は考える。

私は虚栄の気がわずかでもあると、一度も責められたことはない。とはいえ読者には、一つ簡単な問いをさせていただきたい。スウェーデン王の数々の勝利は、どうなったのか。その成果は今日どこにあるのか。あるいは、子孫に何の益があるのか。最大の功業の多くは、少なくとも一部、幸運のおかげではなかったか。どれも彼自身の指揮に劣らず、兵士たちの勇気のおかげではなかったか。片腕だけで、ポーランド王やモスクワのツァーリを征服できただろうか。彼が得た名声をねたんだり、貶めたりする気は、私には毛頭ない。しかし同時に、謙虚さを損なわず、あえて言おう。この右手一本で、野蛮、無作法、田舎臭さを打ち負かし、会話における真の上品さと洗練の全体系を、永遠に確立し、固定した私を、後世の名声の点で、故スウェーデン王チャールズ十二世と同列に置くなら、同胞からきわめて非人間的な仕打ちを受けたと思うだろうし、それにふさわしく、最大の侮辱として憤るであろう。

それでも、中傷への愛は癒しようがないほど強く、慈悲深い読者には容易に信じられないかもしれないことがある。私は複数の信用できる人物から、敵の幾人かが熱心に言いふらしているとの確かな話を聞いたのである。かつてレスター・フィールズの近くに住み、後には塔の造幣局で職工をしていた、アイザック・ニュートンとかいう器具職人が、将来の名声で私と競おうと言い出すかもしれない、と。その男は、同業者よりよい日時計を作ったため騎士に叙せられ、誰にも理解できない線や円を石板に描くすべを知っていたため、魔術師と考えられたらしい。しかし、無名の機械職人の亡霊が呼び起こされ、鉛筆で鉤や曲がりくねった線を描く腕だけで、私と競うというのなら、永遠の栄光を求めるあらゆる高貴な企てよ、さらばである。何千もの教養ある紳士淑女は、ペンとインクと一枚の紙で、同じくらいうまく描けるし、その意味の通じなさも、アイザック卿のものと、ある意味では大差ないのだから。

すでに名を挙げた、最も才気ある友人コリー・シバー氏は、正当に身につける月桂冠に、過分な名誉を与えている。しばしば頭に載せた数々の帝王の冠にも、同じようにしたが。その友人が私に、こんなことを言ってくれた。私の論考を喜劇に仕立て、わが劇場で効果的に演じれば、王国全土の、あらゆる身分ある人々のあいだに上品な会話を広めるのに、大いに役立つだろう、と。

考えは巧みで、友人の意図もよかったと認める。だがその提案には賛成できない。シバー氏自身が認めたように、私の書の扱う題材はあまりにも多く広いため、一つや二つ、いや六つの喜劇にさえ、収めることは絶対に不可能だからだ。そうなると、上品な会話の、数多くの見事で不可欠な規則を、省かねばならなくなる。

ここで、友人ティバルズ氏を正当に評価しておこう。彼はシバー氏本人の前で、率直に認めた。その計画は私の名誉を大きく減らすばかりでなく、構想を耐え難いほど切り刻み、そのため、私が目指した主たる目的、すなわち、この最も有用な学問のすべての部門をそろえた完全な集大成ないし体系を作ることを、台無しにするだろう、と。そこで、判断を疑われたことのないティッバルズ氏は、むしろ、前に述べた私の提案に加わることを選んだ。すなわち王国じゅうに公立学校と養成所を設け、男女の若者に、私の規則に従い、私の示した方法で、この技を教えるのである。

この長いが必要な序を、すべての貴族男女と紳士に対するお願い、いやむしろ、公正で道理にかなった要求をもって終えよう。私が三十六年にわたり、尽きぬ労力とひたむきな努力をもって、その役に立ち、向上を助けるため集めてきた上品な質問、返答、機知ある応酬、受け答え、切り返しで、互いを楽しませ、磨き合うときには、感謝のしるしに、ふさわしい機会があるごとに、次のような形で、あるいはそれに似た形で、私の名を引いていただきたい。「奥様、わが師ワグスタッフの言うように。」「閣下、わが友ワグスタッフの言葉どおりに。」同じく私は、すべての門人が、生前は毎日、正餐と夜食で私の健康を祝して乾杯し、死後には、彼ら、あるいはその子孫が、栄光なくはない私の記憶のため、同じ儀式を永遠に続けることを期待する。

注 2

[2] この語は、ラテン語学者たちはEncyclopædiaと綴る。しかし、賢明なる著者は、衒学的な読みよりも上品な読みを、賢く選んでおられる。

上品な会話。三つの対話。

登場人物

男たち。

スパーキッシュ卿、

スマート卿、

サー・ジョン・リンガー、

ネヴァーアウト氏、

アトウィット大佐。

女たち。

スマート夫人、

ノータブル嬢、

アンサオール夫人。

上品な会話、その他。セント・ジェームズ公園。

スパーキッシュ卿、アトウィット大佐に出会う。

大佐 これはよいところで、閣下。

スパーキッシュ卿 ありがとう、大佐。牧師なら、天国でお会いしたいものですと言ったろうね。トム・ネヴァーアウトには、いつ会った?

大佐 ちょうどこちらへ来ますよ。悪魔の噂をすれば――

〔ネヴァーアウト、近づく。

大佐 ご機嫌いかがだ、トム?

ネヴァーアウト 君のおかげでよくなったわけではないね。

大佐 悪くもなっていないといいが。しかし礼儀はどうした? スパーキッシュ卿が見えないか?

ネヴァーアウト 閣下、どうぞお許しください。

スパーキッシュ卿 トム、木々のせいで森が見えないとは、どうしたことだ? どんな風に吹かれてここへ来た?

ネヴァーアウト 閣下、誰の得にもならぬ風こそ悪い風と申します。おかげで閣下にお目にかかる栄誉を得ました。

大佐 トム、われわれとスマート夫人のところへ、朝食に行かねばならんぞ。

ネヴァーアウト ねばならん? 大佐、せねばならぬは王にだけだ。

〔大佐、ふざけて剣を抜こうとする。

大佐 友達みんなに別れは告げたか?

ネヴァーアウト 大佐、勇ましいからには慈悲深くもあってくれ。

スパーキッシュ卿 まあ、仲直り、仲直り。訴訟は高くつく。

〔大佐、剣の柄から手を離す。

大佐 なあトム、私を怖がっても、男が下がるわけではない。来たまえ。

ネヴァーアウト 何だ、梟を怖がるほど森育ちだとでも思うのか?

お供しよう。ノータブル嬢がいてくれるといいが。いやまったく、あの娘はとても美人で、機知も思いのままだ。

大佐 まあ、好き好きだよ。牛に口づけしたおかみさんも、そう言った。

〔スマート卿の邸宅。戸を叩く。門番が出てくる。

スパーキッシュ卿 失礼、君が門番かね?

門番 はい、もっとましな者がおりませんので。

スパーキッシュ卿 奥方はご在宅か?

門番 つい先ほどまでご在宅でしたが、まだお出かけにはなっておりません。

ネヴァーアウト この野郎、よほど舌の回りがいいとみえる。

〔スマート夫人の控えの間。

スマート夫人とアンサオール夫人、茶卓にいる。

スマート夫人 閣下、あなたさまの、最もへりくだった召使でございます。

スパーキッシュ卿 奥様、ひと足遅れましたね。私のほうが先に、あなたの召使でした。

スマート夫人 まあ、大佐もいらしたの!

大佐 奥様がそこにおられるのと、同じくらい確かにね。

スマート夫人 まあ、ネヴァーアウトさん! まだそんな人が生きていたのね!

ネヴァーアウト はい、奥様。生きておりますし、まだ生きそうです。いつでもお役に立ちますよ。

スマート夫人 ではナイフを持ってきて、刻み目をつけておきましょう。ネヴァーアウトさんがうちへいらした、とね。それで、何か新しいことは、ネヴァーアウトさん?

ネヴァーアウト 奥様、エリザベス女王がお亡くなりです。

スマート夫人 まあ、ネヴァーアウトさん。あなたは取り替え子ではなく、相変わらずね。

〔ノータブル嬢が入ってくる。

ネヴァーアウト お嬢さん、あなたの奴隷です。早起きで身体を壊さないといいですね。布市場、つまり寝床から、たった今お出ましだと聞きましたよ。

嬢 私はいつも十一時に起きますの。夜が明けていようといまいと。

大佐 お嬢さん、今日一日じゅう、もう起きているつもりかな?

嬢 ええ、夜までに転ばなければね。

大佐 お嬢さん、具合が悪いと聞いたが、今はどうかね?

嬢 かなりよろしいですわ、大佐。ありがとうございます。

大佐 可愛らしくて、よろしいとは、お嬢さん! 二つも結構なことだ。

嬢 前よりよくなった、という意味ですわ。

ネヴァーアウト ならば病気になってよかったですね。

嬢 まあ、ネヴァーアウトさん。まだ倒れてもいないのに、もう揚げ足をお取りになるのね。

スマート夫人 さあ、子供の遊びはやめて、ピン弾きにしましょう。

嬢〔スマート夫人に〕 奥様、お茶にもう少しお砂糖をくださいな。

大佐 おや、お嬢さん。そんなに甘いものが好きなら、さぞ気立ても甘くてよいのだろうね。

ネヴァーアウト 匙でかき混ぜなさい、お嬢さん。深いほど甘いのだから。

スマート夫人 お嬢さん、大佐はずいぶんお褒めになったのよ。

嬢 それは残念ですわ。褒め言葉は嘘だと聞いておりますから。

スマート夫人〔スパーキッシュ卿に〕 閣下、お姿を拝見するのは、病んだ目にもよい薬ですわ。いらっしゃるとわかっていたら、床にイグサを敷いてお迎えしましたのに。この長いあいだ、いかがお過ごしでした?

大佐 いや、奥様、品行より身体のほうがよいようですよ。

スパーキッシュ卿 やれ、家から連れてきた友ほど始末の悪いものはないな。自分を鞭打つ棒を、自分で運んできた男は、私が最初でもないがね。

ネヴァーアウト お嬢さんは、犬に投げる一言もお持ちでない。さあ、何をお考えか、一ペニーで聞かせてください。

嬢 一ファージングの値打ちもありませんわ。あなたのことを考えていたのですもの。

〔大佐、立ち上がる。

スマート夫人 大佐、そんなに早くどちらへ? 火種を取りにいらしたのではないでしょうね。

大佐 奥様、ちょっと三十分ほど、家へ戻らねばならないのです。

嬢 まあ大佐、お家には悪魔がいると申しますのに。

アンサオール夫人 でも、いるあいだは座っていらして。立つも座るも、代金は同じよ。

大佐 いや、奥様。立っていれば、帰りかけているのです。

嬢 まあ、行かせておあげなさい。お引き留めして、服を引き裂くようなことはいたしませんから。

スマート夫人 きっと私たちが、もっとよいお仲間のところへ行くのをお邪魔しているのね、大佐。もちろん、私のことだけを申しておりますけれど。

大佐 奥様、仰せのままに。

〔大佐、座る。

スマート夫人 まあ、お嬢さん。よくそんな熱いお茶が飲めること。お口に石でも敷いてあるのね。

このお茶はお口に合いまして、大佐?

大佐 結構ですよ、奥様。ただ、もう少し欲しくなる味ですね。

スマート夫人 まあ大佐、おっしゃりたいことはわかりますわ。ベティ、お茶の缶を持ってきて。このお茶は、ほんの少ししか残っていませんの。でも、一つの不足を二つにするのは嫌いです。あるときも我慢し、ないときも我慢するなんて。ほ、ほ、ほ、ほ。

〔笑う。

アンサオール夫人〔女中に〕 まあ、ベティ、魔法でもかけられたの? クリームが焦げついているわ。

ベティ 奥様、主教様が足を突っ込まれたのでしょう。

スマート夫人 お行き、娘。新しいクリームを温めてきて。

ベティ 本当に、奥様、もうございません。猫がみんな食べてしまいましたので。

スマート夫人 二本足の猫だったようね。

嬢 大佐、お茶にはバターつきのパンがお好きではなくて?

大佐 ええ、朝にはね、お嬢さん。バターは朝には金、昼には銀、だが夜には鉛と言いますから。

ネヴァーアウト お嬢さん、あまりに暑くて、パンの上のバターが溶けますよ。

アンサオール夫人 バターは年に二度、気が狂うと、聞いたことがあるわ。

スパーキッシュ卿〔女中に〕 ベティさん、君の身体という国家は、どう治まっているかな?

大佐 おやおや、閣下。ベティさんを赤くさせますよ。

スマート夫人 赤くなる! そう、青い犬みたいにね。

ネヴァーアウト ところでベティさん、君はトム・ジョンソンの娘ではないかね?

ベティ 母はそう申しておりますわ、旦那様。

スパーキッシュ卿 だがベティさん、恋をしているそうだね。

ベティ 閣下、ありがたいことに、嫌っている人はございません。世間の皆様に、慈愛を抱いております。

スマート夫人 まあ、この子は今朝、舌に車輪がついているのね。鼻のその引っかき傷はどうしたの? 猫と喧嘩でもしたの?

大佐〔嬢に〕 お嬢さん、いつ結婚するのかね?

嬢 そのうち、ひょいと、近いうちのいつかですわ、大佐。

ネヴァーアウト ええ、話は半分できているそうです。男のほうは望んでいるが、お嬢さんがそうでない。

嬢 その殿方は、ご自分の承諾をもうお取りになったのでしょうね。

アンサオール夫人 ところで閣下、この雨のなかを公園を歩いていらしたの?

スパーキッシュ卿 ええ、奥様。私たちは砂糖でも塩でもありませんから、雨に溶かされる心配はしませんでした。は、は、は。〔笑う。

大佐 雨が降って、同時に日も照っていましたよ。

ネヴァーアウト ならば悪魔が戸の陰で、羊の肩肉を使い、女房を殴っていたのですね。〔笑い。

大佐 盲人なら、喜んで見たがるだろうね。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、自分でご自分の明かりを遮っているようね。

ネヴァーアウト ああ、奥様。私は一生、自分の邪魔をしてきましたよ。

スパーキッシュ卿 私の明かりの前に座っているのは確かだ。頼むからトム、もう少し向こうへ座ってくれ。君のお父上は、ガラス屋ではなかったのだろうね。

スマート夫人 お嬢さん、いい子だから、お茶を一杯注いでちょうだい。私はとても面倒で。

〔嬢、茶を一杯注ぎ、砂糖を入れ、それから味をみる。

スマート夫人 まあ、お嬢さん。私の毒見役になってくれるの?

嬢 いいえ、奥様。でも、自分の指も舐められないのは、へぼな料理人だと申しますから。

ネヴァーアウト お嬢さん、私にももう一杯お願いします。

嬢 今お望みですの、それとも手に入るまでお待ちになります?

アンサオール夫人 ところで大佐、昨夜はひどく酔って宮廷へ行かれたそうね。まあ、確かな話を聞いたのよ。ペリシテ人どもとお付き合いだったのですって。猫が両目を失くしたなら、瞬きしても不思議はないわ。

大佐 いや、奥様、それは嘘です。

アンサオール夫人 あなたが礼儀を失くすくらいなら、私が嘘をつくほうがましよ。それに私はlie〔横になる、嘘をつく〕などしていないわ。座っているの。

ネヴァーアウト いや、まったく大佐、目に一滴入っていたことは、認めなければいけませんよ。お別れしたときには、半分海を渡って、いい酔い心地でしたからね。

スパーキッシュ卿 やれ、アンサオール夫人は、そう長く生きられまい。こんなに機知がおありではね。

ネヴァーアウト ええ、生きられないのは確かです。でも、三十年か四十年、長患いするかもしれませんね。

嬢 長生き、ええ、猫や犬や、もっと上等なものよりもね。

アンサオール夫人 まあ、お嬢さんもご評決をお出しになるのね!

スパーキッシュ卿 お嬢さん、もう一杯お注ぎしましょうか?

嬢 いえ閣下、もう十分いただきました。

スパーキッシュ卿 さあ、一月の断食より身体によいですよ。ほら、お取りなさい。

嬢 いいえ、ありがとうございます、閣下。十分なら、ご馳走と同じですもの。

スパーキッシュ卿 だが、いつもいやとばかり言っていたら、結婚できませんよ。

アンサオール夫人 閣下、一杯あげてくださいな。娘はいやと言っても取る、と申しますから。

スパーキッシュ卿 うむ、お嬢さんは、思いにも言葉にも行いにも、きっと生娘でしょう。

ネヴァーアウト その保証の誓いは、私にはできませんね。

嬢 どうぞ、ご自分のことだけをお話しください。

スマート夫人 まあ、お嬢さん。娘は姿を見せても、声は聞かせぬものと申しますよ。

アンサオール夫人 いい子だから、火をかき立てて、やかんを沸かしてちょうだい。――上手にできたわ。今はきれいに燃えている。ねえ、お嬢さん、きっと快活な旦那様が持てるわよ。

嬢 本当は奥様がなされば、もっとずっと上手でしたでしょうに。

アンサオール夫人 それはよくわかっているわよ、小娘。でも、犬を飼って自分で吠える気はないの。

ネヴァーアウト おや、お嬢さん、気分が悪いのですか。

嬢 少しも。奥様はあなたのことをおっしゃったのですから。

ネヴァーアウト いや、お嬢さん、ロブの囲い場に入って、抜けられなくなりましたね。出られるものなら出てごらんなさい。

嬢 だからといって、ご飯の種と喧嘩はしませんわ。自分の恵まれた立場くらい、わかっております。

アンサオール夫人 そうね、でもお嬢さん――

ネヴァーアウト ああ奥様、その話はおしまいにしてください。かわいそうなお嬢さんにお慈悲を。溺れた鼠に水をかけてはいけません。

嬢 まったくネヴァーアウトさん、今朝のあなたには、愚かさを切り取る手術が必要ね。もう一言おっしゃれば、爪でも食べたほうがましな目にあいますよ。

スパーキッシュ卿 お嬢さん、ひとつ歌をお聞かせくださらんか?

嬢 本当に、閣下、できません。ひどい風邪を引いていますので。

大佐 おや、お嬢さん、上手な歌い手は皆、風邪を引いていると申しますよ。

スパーキッシュ卿 奥様、お嬢さんはたいそう歌がお上手ではありませんか?

アンサオール夫人 歌うといえば歌いますわね、閣下。

嬢 ネヴァーアウトさんは、とてもよいお声だと伺いますわ。

大佐 ええ、トムは歌がうまい。だが運はからきしだ。

ネヴァーアウト まったく大佐、自分の耳に、ひどい平手打ちを食わせましたね。

大佐 お嬢さん、嗅ぎ煙草をひとつまみ、いかがかな?

嬢 いいえ、大佐。ご存じおきくださいな、私がsnuffを取る――腹を立てる――のは、怒ったときだけです。

アンサオール夫人 ええ、ええ、snuffを取って腹を立てることはできるわね。でも、その嗅ぎ煙草を入れる箱は、一つも持っていないのよ。

嬢 大佐、その箱を見せてくださいな。

大佐 お嬢さん、見たいとおっしゃっても、そこにC〔see〕の字はありませんよ。

嬢 あるかもしれませんわ、大佐。

大佐 ええ、だが「かも蜂」――メイ・ビーズ――は、今は飛んでいませんよ、お嬢さん。

ネヴァーアウト 大佐、どうしてかわいそうなお嬢さんにそんなにつらく当たるのです? 子供相手に知恵比べをしてはいけません。お嬢さん、私を一発殴ってごらんなさい。大佐を打ち負かしてあげます。

嬢 そうあなたにお伝えしてくれと、あの方から頼まれましたわ。

スパーキッシュ卿 ところでスマート夫人、ポズ卿とは、どのようなご親戚ですか?

スマート夫人 あの方のお祖母様と私のお祖母様には、肘が合わせて四つありましたわ。

アンサオール夫人 まあ、これは無言の集会のようね。さあお嬢さん、顔を上げなさい。あなたには値がついているのよ。

〔嬢、はっとする。

嬢 まあ奥様、七つの感覚も吹き飛ぶほど、びっくりいたしました!

スパーキッシュ卿 さて、もう行かねば。

アンサオール夫人 あなたより急いでいた人が、夜じゅう居残るのも見ましたわ。

大佐〔スマート夫人に〕 トム・ネヴァーアウトと私は、明日、一ギニーを賭けて跳び比べをするのです。

嬢 大佐、ネヴァーアウトさんのほうが、パンの耳に飛びつくのはお上手でしょうね。

ネヴァーアウト お嬢さん、舌が知恵より先走っていますよ。あなたを馴らせるのは、亭主だけだ。

嬢 お静かに! 教会の時計が聞こえるようですわ。

ネヴァーアウト なに、知っていますね、馬鹿の思うとおりに――

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、ハンカチが落ちましたよ。

嬢 足で踏んでおけばよいのですわ。顔に飛びつかれないように。

ネヴァーアウト よろしい、お嬢さん――

嬢 ええ、ええ、悪く思いながら「よろしい」と言う人は、多いものですわ。

ネヴァーアウト よろしい、お嬢さん。このことは覚えておきましょう。

嬢 今のお言葉は韻を踏んでいるわ、頃合いよくお聞きになればね。

ネヴァーアウト 何と、詩人でいらっしゃったのですね。

嬢 ええ、それを示す知恵さえあればね。

ネヴァーアウト お嬢さん、親切にお茶を一杯注いでいただけませんか?

嬢 どうぞ、目上の者に先にお譲りください。今ちょうど、自分の分を注ぐところです。牧師はいつでも、自分の子供を先に洗礼するものですから。

ネヴァーアウト だが、たった今、大佐には注いでいましたね。なるほど、口づけもえこひいき次第だ。

嬢 ところでネヴァーアウトさん、この前の火曜日、劇場の脇の桟敷でお話しなさっていた御婦人は、どなたですの?

ネヴァーアウト お嬢さん、秘密を守れますか?

嬢 ええ、守れます。

ネヴァーアウト よろしい、お嬢さん。私もです。

大佐 しまった! この忌々しいナイフで、親指を切った!

アンサオール夫人 それはお母様の落ち度ね。親指以外の指を切るなとしか注意なさらなかったのでしょう。

スマート夫人 いえいえ、親指以外の指を切るのは馬鹿だけで、賢い人は親指を切るのよ。――

嬢 お気の毒ですけれど、泣くことはできませんわ。

大佐 お嬢さんは大きくなったと思いませんか?

アンサオール夫人 ええ、悪い雑草ほど早く伸びますからね。

〔一吹きの煙が煙突から下りてくる。

アンサオール夫人 まあ奥様、お宅の煙突は煙を吹くの?

大佐 いいえ、奥様。ただ、煙はいつも美人を追うと言いますし、あなたがいちばん近くにお座りでした。

スマート夫人 奥様、武夷茶はお好き?

アンサオール夫人 ええ奥様、好きだとは白状しますわ。でも、お茶のほうでは私が嫌いなの。

嬢〔スマート夫人に〕 でも奥様、お茶をずいぶん倹約なさるのね。前にいただいたのは、本当に、魔法をかけた水でしかありませんでしたわ。

大佐 お嬢さん、失礼ながら、そのすてきな小物入れは、どの恋人からいただいたのかな?

嬢 ご存じないの? なら、黙っていらして。

アンサオール夫人 誰があげたか、教えてあげましょう、大佐。この娘が一生のうちで持つ、いちばんよい恋人よ。大好きな自分のパパですわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、どうもそのリボンの色は、あまり好きになれませんね。

嬢 ではネヴァーアウトさん、いいこと、あまりお好きでなければ、よそを向けばよろしいのよ。

スパーキッシュ卿 奥様、サー・ジョン・ブリスクが宮廷の役職を得たことは、もうお聞きでしょうね。

スマート夫人 ええ、ええ。今ごろは、ちっぽけな馬鹿などではないと、ご自分で思っておいででしょうよ。

ネヴァーアウト ですが奥様、賢い人だと見る者もいると聞きますよ。

スマート夫人 ええ、ええ、賢い者もいれば、その逆の者もおりますわ。

アンサオール夫人 あの方をご存じ、ネヴァーアウトさん?

ネヴァーアウト 存じているかですって! ええ、物乞いが自分の椀を知っているほどに。

大佐 まあ、正直者より運のいい男だとしか言えませんな。だが、その役職には、どうやってありついたのですか?

スパーキッシュ卿 なに、偶然だよ。あの男が悪魔を殺したのと同じさ。

ネヴァーアウト お嬢さん、物思いに沈んでいますね。どうしたのです? 何も言わなかったため絞首刑になった、黙り屋マムチャンスのようですよ。

嬢 知っておいていただきますけれど、あなたの言葉など軽蔑しておりますわ。

ネヴァーアウト だが、お高くとまる犬も、汚れたプディングは食べるものですよ。

嬢 まあ、あなたの悪口では誰も傷つかないのが慰めです。なあに、いつもにたにた笑っていてほしいわけではないでしょうに。

ネヴァーアウト 奥様、「マップスティックス」と申し上げておきましょう。お気を悪くなさいませんように。

〔スマート夫人、茶碗を割る。

アンサオール夫人 まあ奥様、どうしてお茶碗をお割りになったの?

スマート夫人 目がなくなるほど泣いても、どうにもなりませんわ。

嬢 まあ、奥様、それをお売りになって、代金のいくらかで新しいのをお買いなさいませ。

大佐 こぼした乳のために泣くのは、愚かなことです。

スマート夫人 物が壊れたり擦り切れたりしなければ、商人はどうやって暮らすのでしょう?

嬢 まあ、私はひどく気分が悪いのですけれど、気にしてくださる人がいればね。

ネヴァーアウト ならばお嬢さん、いっそ一つ死んでごらんなさい。そうすれば、われわれにも身内の葬式ができますよ。

嬢 悪魔にさらわれなさい、ネヴァーアウト。ほかの細かな呪いも、おまけにつけて。

アンサオール夫人 まあまあ、何ですって、ただのネヴァーアウトだなんて! お嬢さん、「ミスター」のMくらい、帯の下に持っていてよさそうなのに。

スマート夫人 まあまあ、悪いものは害を受けないものよ。きっとお嬢さんは、手に唾をつけ、しっかり握って放しませんわ。大佐、このビスケットはお好き?

大佐 私も馬鹿な者と同じで、うまいものは何でも好きです。

スマート夫人 まあ、たいそうおいしいでしょう?

大佐 これより悪いものよりは、上等ですね。

〔従僕、大佐に手紙を持ってくる。

アンサオール夫人 大佐、それはきっと恋人からの恋文ね。

大佐 いや、どこから来たのかわかりません。だが、誰が書いたにせよ、手で書いたとは思えない、足で書いたような字だ。

嬢 秘密にしても結構ですけれど、私たちだって綴りを読んで、つなぎ合わせられますわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、B double Uzzardと綴ったら、何と読むのかな?

嬢 バザード――馬鹿ですわ。その悪口は、そっくりお口へお返ししますよ、ネヴァーアウトさん。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、ちょうどお立ちになっているついでに、どうぞご親切に、ご好意をもって、やかんを下ろしていただけます?

スパーキッシュ卿 何でこの鐘が鳴るのだろう。

アンサオール夫人 まあ閣下、綱を引くからでしょうよ。

〔ここで一同、笑う。

〔ネヴァーアウト、茶碗をいじって遊ぶ。

嬢 こんな可愛らしいおもちゃが見つかるまで、子供なら三十分も泣いたでしょうね。

スマート夫人 うまいわ、お嬢さん。まったくネヴァーアウトさん、この娘にはかないませんわね。

ネヴァーアウト ええ、お嬢さんは祈り以外なら何でもおっしゃる。祈りは口笛で済ませるのですよ。

嬢 大佐、その可愛い折り畳みナイフを、私にくださいません?

スパーキッシュ卿 さあお嬢さん、それで捕まえて吊るしてしまいなさい。

大佐 どんなことがあっても駄目ですよ、可愛いお嬢さん。愛を切ってしまいますから。

スパーキッシュ卿 大佐、君が先に結婚するよ。私もちょうど、そう言おうとしていたところだ。

スマート夫人 でもね、お嬢さんをたいそう慕っている人を、私は知っていますよ。お嬢さん、スプルースさんをどうお思い? あの方が、子牛のようなおつむから、羊のような恋の流し目をあなたに送っているのを、何度も見たわ。できるものなら否定してごらんなさい。

嬢 まあ奥様、スプルースさんが誰にでも恋する人なのは、世間じゅうが知っていますわ。

大佐 まあお嬢さん、冗談にするには本当すぎますよ。

〔嬢、赤面する。

アンサオール夫人 まあ、何にしても、赤面は幾らか殊勝な心のしるしね。

ネヴァーアウト お嬢さんは黙っているが、きっと頭の中でたっぷり仕返ししていますよ。

嬢 まあ皆様、そうやって面白がっていらっしゃればよいのですわ。でも、救いにあずかることにかけて、そんな話は何もございません。

スマート夫人 鞍ずれの馬に触れば、ひるむもの。愛は堂々と行けぬところへ、忍んで入るのね。その話を作ったのはネヴァーアウトさんだと、百ポンド賭けてもいいわ。それに大佐、あなたもパイに指を入れ、一枚かんでいたのでしょう。

アンサオール夫人 でも大佐、入っていらしたとき、お嬢さんにご挨拶の口づけをお忘れでしたね。あなたが長いこといらっしゃらないと、この娘は言っていたのよ。

嬢 まあ奥様! 誓って大佐、そんなことは申しませんでした。奥様ったら、呆れますわ!

大佐 お嬢さん、お許しを――

〔挨拶の口づけをしに行く。嬢は少しもがく。――

嬢 まあ、ならず者に悩まされるくらいなら、一度くらい口づけしてあげたほうがましです。でも本当のところ、歓迎される以上に大胆でいらっしゃるわ。

スマート夫人 まあ、まあ、お嬢さん! 世間の手前も、善良な人々の評判も、恥ずかしくないの。

〔ネヴァーアウト、茶とバターつきパンを支度している嬢に。

ネヴァーアウト まあまあ、お嬢さん、つまらぬものでも大切に。よい人間は少ないからね。

嬢 何よ、あなたまで、卵二つで一ペニー、うち三つは腐り卵という口出しをなさるのね。

大佐〔スパーキッシュ卿に〕 ところで閣下、私の新しい服をどう思われるか、伺うのを忘れていました。

スパーキッシュ卿 いや、たいそう結構だよ、大佐。ただ、率直に言えば、いちばん悪い部分は真ん中にあるようだ。

〔ここで大笑いが、何度も繰り返される。

大佐 閣下は、ご友人につらく当たりすぎますね。

嬢 ネヴァーアウトさん、私はぽかぽか、あなたは馬鹿か?

ネヴァーアウト お嬢さん、私は冷える、あなたはがみがみ吠える? そら、お返しだ。

スマート夫人 それは急所を突いたわね。ネヴァーアウトさんも、いわゆる頭を洗われて、叱られっぱなしになる気はないようね。

嬢 まあ、皮の剝けたところは痛がる人ですものね。ネヴァーアウトさんは、私の無知という砥石で、ご自分の機知の刃を研ぎたいようですわ。

スパーキッシュ卿 まったくトム、一撃食ったね! こんなうまい言葉は初めて聞いた。

ネヴァーアウト お嬢さん、その立派なお言葉のお礼に、ひっかかせてください。

嬢 あなたの肖像に疫病あれ。描いてもらうのに四ペンスもかかりましたわ。

ネヴァーアウト〔スマート夫人に〕 畜生、奥様、お宅の忌々しいやかんで、手を焼きましたよ。

スマート夫人 なら、ネヴァーアウトさん、「神よ王を守りたまえ」とおっしゃらなくては。

ネヴァーアウト こんなこと、お目にかかったことがありますか?

嬢 一度だけ、結婚式で。

大佐 お嬢さん、おいくつかな?

嬢 私の舌と同じ歳で、歯よりは少し年上ですわ。

スパーキッシュ卿〔アンサオール夫人に〕 奥様、バクサム嬢は結婚なさいましたか? 町じゅうの噂だそうですが。

アンサオール夫人 閣下、結婚したか、さもなければ、もっと悪いかですわ。

大佐 結婚していないにせよ、少なくとも固く約束は交わしているのでしょう。ところで、サー・ジョン・ブランダーバスがついに亡くなったのは、本当ですか?

スパーキッシュ卿 ああ、さもなければ、ひどく不当に扱われたことになる。もう埋めてしまったからね。

嬢 まあ、死んだのなら、もうパンは食べませんわね。

大佐 だが、本当に死んだのですか?

アンサオール夫人 ええ、大佐。あなたが生きているのと同じくらい、確かに――

大佐 正直な男だったといいますね。

アンサオール夫人 ええ、よく見張っていればね。

〔嬢、顔の吹き出物を手で探る。

嬢 まあ! 善良さが外へ出てきたみたい。奥様、つけぼくろを一つ、お取り寄せいただけます?

ネヴァーアウト お嬢さん、生娘なら、ご自分の斑点に手を置いてごらんなさい。

嬢 ――ほら――

〔両手で顔を覆う。――

スマート夫人 まあ、ほんとにおかしな娘だこと。

〔軽く叩く。

嬢 まあ奥様、子供にこんな打ち方をなさるの?

〔スマート夫人、ハンカチを落とす。大佐、身をかがめて拾う。

スマート夫人 大佐、もっとよい役目を差し上げましょう。

大佐 いや、奥様、お仕えするよりよい役目はありません。

大佐〔スパーキッシュ夫人に〕 奥様、ある貴族の書いた新しい戯曲はお読みになりましたか? 『うつろな木の中の恋』というのですが。

スパーキッシュ夫人 いいえ、大佐。

大佐 では奥様には、お楽しみが一つ、まだ残っていますね。

〔嬢、ため息をつく。

ネヴァーアウト お嬢さん、なぜため息を?

嬢 馬鹿に尋ねさせるためです。あなたが第一号よ。

ネヴァーアウト やれ、お嬢さんは、食わせるのと殴るのが一緒ですね。

アンサオール夫人 ご存じないでしょうけれど、お嬢さんは恋をしているのよ。

嬢 その日が来るまで、頭痛になりませんように。

スパーキッシュ卿 まあお嬢さん、ため息などつかず、迎えをお出しなさい。

――スマート夫人とアンサオール夫人、声をそろえて〕 吊られた人なら跳ねて来る。溺れた人なら滴って来る。

嬢 まあ本当に、笑い死にさせるおつもりね。

〔嬢、茶碗をいじって遊ぶ。ネヴァーアウトも別の茶碗をいじって遊ぶ。

ネヴァーアウト なるほど、一人の馬鹿が大勢の馬鹿を作る。

嬢 その誰よりも馬鹿なのが、あなたね。

ネヴァーアウト お嬢さん、その美しい手で、この紐を結んでいただけませんか? どうせ一日のお仕事のうちですよ。

嬢 まあ、何と偉そうに。ご自分でお結びなさい。手は私と同じ数だけおありでしょう。あなたの下男のそのまた下男には、ずいぶん立派なお役目がありますこと。さあ、私の唾を吐く場所から、どいてくださいな。

ネヴァーアウト まあ、でもお嬢さん、怒らないで。

嬢 いいえ、生まれてから一度しか怒ったことはございません。そのとき誰も気にしなかったので、二度と怒るまいと決めましたの。

ネヴァーアウト でも、結んでくれれば、何をしてあげるか、想像もつきませんよ。

嬢 きっと、そうでしょうとも。

ネヴァーアウト いや、近いうちに、すてきな贈り物をしますよ。

嬢 ええ、悪魔が盲目になったらね。まだ目も痛くないそうだけれど。

ネヴァーアウト いいえ、お嬢さん、明日お送りします。

嬢 ええ、ええ、明日は新しい日ですものね。でもおっしゃるのは、決して来ない明日でしょう。

ネヴァーアウト いや、それは実に可愛らしいものです。確かに、船三隻に二つしか渡ってこなかったのですよ。

嬢 見られたらいいのに、と盲目のヒューは言いました。でも、なぜ今朝、嗅ぎ煙草を贈り物に持ってきてくださらなかったの?

ネヴァーアウト お嬢さんが頼まなかったからですよ。口笛で呼ぶ値打ちもない犬は、役立たずですからね。

スパーキッシュ卿〔アンサオール夫人に〕 奥様、この前の木曜日、なぜあんな忌々しい人形芝居へお出かけになったのですか?

大佐 もちろん、見に行き、見られに行かれたのですよ。

アンサオール夫人 立派なことをおっしゃるわ、大佐。その達者なお口は、おいくらでお譲りになるの?

スパーキッシュ卿 そら、大佐、一撃だ。ところで奥様、スナッフ夫人もいらしたのですか? たいそう美人だそうですが。

スマート夫人 そう思う方々は、私の目では見ていらっしゃらないのね。

ネヴァーアウト まずまず検分には合格するでしょう。

アンサオール夫人 おいくつくらいだとお思い?

大佐 二十五、六でしょうな。

嬢 誓って、ひよっこではありませんわ。一日でも生きているなら、三十の向こう側です。

アンサオール夫人 確かよ、もう三十五を見ることはないわ。それより少し上ね。

大佐 でも、町でも有数の、乾杯に名を挙げる美人だといいますよ。

スマート夫人 ええ、ほかの皆が町を留守にしたらね。

嬢 まあ、あの方の高慢さと同じほど病気になるくらいなら、世界じゅうをもらってもお断りですわ。

アンサオール夫人 バターも口の中で溶けないような、お澄まし顔をしているけれど、きっとチーズでも喉は詰まらせないわよ。何とかいう卿が求婚しているそうね。

スパーキッシュ卿 どの卿のことだ、トム?

嬢 まあ閣下、ネヴァーアウトさんがおっしゃるのは、神様だけがご存じの、何とか卿という方でしょうよ。

大佐 ダンスがたいそう上手だそうですね。

アンサオール夫人 上手だったわ。でも、踊る日々はもう終わったのではないかしら。

大佐 私に対する無礼は許せません。

スマート夫人 でも、忘れてお許しにならなくては。

〔従僕が入ってくる。

スマート夫人 ベティを呼んだ?

従僕 参ります、奥様。

スマート夫人 参ります! ええ、クリスマスも参りますとも。

〔ベティが入ってくる。

スマート夫人 さあ、私の物を支度して。この娘は、三時間もどこへ行っていたの?

ベティ 奥様、足が運ぶより速くは行けません。

スマート夫人 ええ、お前には頭がある。でもピンにも頭はあるわ。ところで閣下、ケイパー嬢がサー・ピーター・ジボールと結婚すると、町じゅうで申しますね。一つ確かなのは、あの人が嫁ぐと約束したことですわ。

スパーキッシュ卿 奥様、ご存じのとおり、約束は破られるか、守られるかです。

アンサオール夫人 失礼ですが閣下、約束とパイの皮は、破るために作るものですわ。

スマート夫人 それに、キャリーライ夫人の口から直接聞きましたのよ。話と、その出所をお伝えしますわ。嘘なら、私と同じ安さで、ただで手に入れたことになります。

アンサオール夫人 先週の日曜、教会であの人と言葉のやり取りをしたの。でも、言われただけは言い返したと思うわ。

スマート夫人 あの人の舌は、粉挽きの鳴子みたいによく動くわね。自分と、座の一同の分までしゃべるのよ。

ネヴァーアウト それなのに、小麦粥の鍋みたいに、くすくす笑うのですね。

〔嬢、鏡を見る。

嬢 まあ、今日の髪の結いようときたら!

大佐 いやお嬢さん、よい顔に飾り帯はいりません。

嬢 ええ、悪い顔には、つける値打ちもありませんわ。

大佐 お嬢さん、昔のお知り合いのウェイワード夫人は、どちらに?

嬢 まあ、ほかのどこにいらして? ご存じでしょうに。自分の皮の中ですわ。

大佐 それには答えられますよ。あの方が中にいるだけ、あなたが外に出ていたら、どうしますか?――

嬢 今晩、水上のハイド・パークへ行くと約束しましたの。でも、本当のところ、半分は怖いのですわ。

ネヴァーアウト 心配はご無用、お嬢さん。古い諺が味方しています。悪いものは害を受けない。

大佐 お嬢さん、トム・ネヴァーアウトをお供にさせなさい。そうすれば、粉挽き場の泥棒ほど安全ですよ。ご存じのとおり、絞首刑になる定めの者は、溺れはしませんからね。

ネヴァーアウト お褒めの言葉をありがとう、大佐。だが、どうせ吊り下がるなら、美人の首にしましょう。

スマート夫人 誰かいる? 子供たちに静かにするよう、そんなに大声で笑わないよう、言ってちょうだい。

アンサオール夫人 まあ奥様、笑わせておあげなさい。今より若くは笑えませんもの。

ネヴァーアウト お嬢さん、ほかへ漏らさないと約束するなら、秘密を一つ話しましょう。

嬢 もちろん漏らしませんとも。友達と知らない人以外には、誰にも言いません。

ネヴァーアウト ならば、私の茶碗にはごみが入っています。

嬢 まあまあ、中に多ければ、それだけ全体も多いのですわ。

アンサオール夫人 なあに、死ぬまでには、一ペックの土を食べなくてはならないのよ。

大佐 そうそう、みんな同じ道を通るのです。

ネヴァーアウト お嬢さん、時計では何時ですか?

嬢 鐘に似た物と、ご存じあそばせ。わからぬあなたは、馬鹿であらせ。

ネヴァーアウト〔アンサオール夫人に〕 奥様、どうぞお教えください。時計のねじを、切らしてしまったので。

アンサオール夫人 そうね、絞首刑の時刻を三十分過ぎたところよ。

大佐 やれ、ナイフを口にくわえて探していた肉屋のようだ。嗅ぎ煙草入れを探して、ポケットを調べていたが、何と、ここに手に持っている。

嬢 熊だったら噛まれていましたね、大佐。まあ、私もそんな嗅ぎ煙草入れが欲しいわ。

ネヴァーアウト 皮膚じゅうに鳩目穴があけばいい、とまでお望みになるには、ずいぶん長くかかるでしょうね。

大佐 片手に願いを、――

嬢 まあ、いやらしい。いったい何をおっしゃるつもり?

スパーキッシュ卿 この茶はずいぶん熱い。

アンサオール夫人 熱いところから来ましたもの、閣下。

〔大佐、茶をこぼす。

スマート夫人 私がやったのと同じくらい、うまくなさいましたわ。

大佐 奥様、ご自分を褒めねばならぬとは、隣人に恵まれないとみえますね。

スマート夫人 そうあなたにお伝えしてと、頼まれましたの。

ネヴァーアウト さあ、もう一滴も飲みません。飲んでも、刻んだ干草のようにしか、喉を通りませんよ。

嬢 どうぞ、勧められるまでは、いやとはおっしゃらないで。

ネヴァーアウト よろしい、お好きなことをどうぞ。それから、残りももう一度。

〔嬢、ピンを拾おうと身をかがめる。

嬢 一日一本のピンで、一年には四ペンスと聞いたわ。まあ、結婚にあずかることにかけて――誓いの言葉はお許しください――本当にこれは縫い針ですわ。

大佐 おお、自然の妙なるわざよ! 黒い雌鶏が白い卵を産むとは!

ネヴァーアウト おや、雌馬の巣を見つけて、卵を笑っているのですね。

嬢 その息は、お粥を冷ますために取っておいてくださいな。

ネヴァーアウト お嬢さん、昨夜、セント・ジェームズ公園で、とても愉快な出来事がありましたよ。

嬢〔スマート夫人に〕 奥様、先ほど何をおっしゃりかけたのでしたか?

ネヴァーアウト やれ、お嬢さん。雌馬に物語を聞かせれば――

嬢 ご自分のお声を聞くのが、お好きなようね。

ネヴァーアウト 私の話を聞かぬなら、私の、何々に口づけでもなさい。

嬢 まあ、お汚らしい方!

ネヴァーアウト 何です、お嬢さん。話をするうえに、耳まで見つけてあげねばならないのですか?

スパーキッシュ卿〔スマート夫人に〕 奥様、スペンダル夫人は、たいそう上品だと思われませんか?

スマート夫人 そうね、閣下。上流婦人になる裁ち方はしてあったけれど、仕立てるときに台無しになったと思いますわ。服の着方は、干草の熊手で投げかけられたようですし、型ときたら、エリザベス女王の御代に作られたのでしょうよ。

ネヴァーアウト まあ、それはどちらでもよいことでしょう。ご存じのとおり、無頓着なほど流行にかなうのですから。

大佐 いや、あの人とディック・ドルトの縁談がまとまると、賭けてもよいですよ。私も、臼石の中を見抜くくらいは、人並みにできますからね。

嬢 大佐、幾千たびもお許しを請わねばなりませんけれど、老いた猿には老練な目があると申しますわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、どういうおつもりです! 年寄りと呼んでは、大佐の結婚を台無しにしますよ。

大佐 それほど老いても、冷えてもいませんよ。続きはご存じでしょう、お嬢さん。

嬢 礼儀は結構なものですわね、まったく。

大佐 いやお嬢さん、覚えておきなさい。持ってきたものと同じだけは、お返ししますよ。冗談を言うなら、冗談を受ける覚悟も要るのです。

スマート夫人 まあ、ネヴァーアウトさん、そのナイフを折るまで、やめないつもりね。そうなれば、持ち主は引き取ってくれませんよ。

嬢 奥様、馬鹿は手を出したがるものです。指を切ればよいのに。ご自分の血を見ても、気を失わないとよいわね。

ネヴァーアウト お嬢さん、今朝は糞まみれの納屋の戸のように輝いていますね。その調子では続きませんよ。明日のためにも、機知を少し取っておきなさい。

嬢 まあ、言いたいことはおっしゃいましたね。皆さんが無礼になさるなら、私はおしまいにします。千年たてば、何もかも同じになるのが慰めですわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、もう矢を放ってしまいましたね。最後の言葉を取らねば気が済まないようだ。――さて、今夜はオペラへ行こう。――いや、用事があるから行けないな――それでも行かねばならんだろう。伯爵夫人を桟敷へお連れすると、約束したから。

嬢 パドルドック伯爵夫人、でしょうね。

ネヴァーアウト 和平ですか、戦争ですか、お嬢さん?

スマート夫人 まあネヴァーアウトさん、そんなに気が多いなら、気をなくして狂うことはありませんね。

〔嬢が立ち上がると、椅子が後ろへ倒れる。

嬢 まあ、今年は市長夫人にはなれませんわ。

ネヴァーアウト いいえ、お嬢さん、もっと悪い。今年は結婚できませんよ。

嬢 まあ! 具合が悪いのに、笑わせてくださるのね。

〔ネヴァーアウト、立っている嬢を不意に引き寄せ、膝に載せる。

ネヴァーアウト さあ大佐、君も私の膝にお座りなさい。粉挽き場に、もっと袋を。

嬢 放してちょうだい。私の重さで、お気の毒ではなくて?

ネヴァーアウト いいえ、お嬢さん、とても軽いですよ。身持ちの軽い小娘だとは申しませんが。その手間賃に、椅子を起こしてください。

嬢 一人で足りる仕事です。ご自分でなさればよろしいのよ。静かになさってくださいな。踊る熊より、いたずらの数が多いのね。

〔ネヴァーアウト、椅子を起こそうと立ち上がる。嬢は彼の椅子に座る。

ネヴァーアウト 奥様、私の墓へは、そんなに早く入りはしますまいね。

嬢 まあ! ひどくじゃれなさるので、ペティコートが破れましたわ。私のrents〔地代、裂け目〕が入ってくる。屑買いの手に落ちそうで心配です。

ネヴァーアウト 繕ってあげましょう、お嬢さん。

嬢 あなたが繕う! いっそお祖母様に、卵を吸うすべでも教えていらっしゃい。

ネヴァーアウト お嬢さん、そんなにつむじを曲げては、憎くなってしまいそうですよ。

嬢 心からどうぞ。お互い、惜しむような愛もありませんから。

ネヴァーアウト ところでスマート夫人、お嬢さんは私を、塩もつけずに食べてしまえそうな顔ではありませんか?

嬢 いつかこのことで、悲しみを飲ませてあげますわ。

ネヴァーアウト まあ、自分の道をお進みなさい。そのほうが長生きしますよ。

嬢 奥様、いかに上手に繕ったか、ご覧くださいな。

スマート夫人 まずまずね、ドールが踊ったのと同じくらい。

ネヴァーアウト 昼と同じ数の夜だけは、もちますよ。

嬢 まあ、お褒めの言葉はいただけまいと、わかっておりましたわ。

スマート夫人 閣下、昨夜はアンサオール夫人と、十一時近くまで公園を歩いていましたの。とてもよい晩でしたわ。

ネヴァーアウト 何と、私もです。それで、愉快な出来事をお話ししましょう。私は足もとの支え、アンダー・スタンディングを失ったのですよ。

嬢 失くすだけの理解力がおありで、よかったですわね。

スマート夫人 まあ、それはどういう意味?

ネヴァーアウト いや、足で石を蹴ってしまい、靴の踵が取れたのです。それで、付け直してもらいに、ペル・メルの靴直しまで、びっこを引いて行かねばなりませんでした。は、は、は。

〔一同、笑う。

大佐 ああ、他人の女房と駆け落ちするには、絶好の晩でしたね。

〔ネヴァーアウト、くしゃみをする。

嬢 神のご加護を。嗅ぎ煙草をお取りでなければね。

ネヴァーアウト 取っていたらどうなのです、お嬢さん?

嬢 そのときは、悪魔にさらわれなさい。

ネヴァーアウト お嬢さん、そのダイヤモンドの指輪が欲しいのですが。

嬢 それなら、「欲しくても手に入らない」が、あなたのご主人様になりそうね。

〔ネヴァーアウト、指輪を見る。

ネヴァーアウト いや、これは「のみならず、そのうえ」ですね。どこで手に入れたのですか?

嬢 手に入るところでよ。悪魔が修道士を手に入れたところですわ。

ネヴァーアウト やれ、こんなすばらしいダイヤモンドの指輪があったら、イングランドには一日もとどまらないが。でもご存じのとおり、遠くから来て高く買ったものこそ、淑女にふさわしい。このために、お父様は二ペンス半は払われたでしょうね。

〔嬢、ネヴァーアウトと大佐の間に座っている。

嬢 まあ、イラクサ二本の間に、薔薇が一輪。

ネヴァーアウト いいえ、奥様、恐れながら、薔薇二輪の間に、イラクサが一本です。

〔大佐、伸びをする。

スマート夫人 まあ大佐、国王の法律を破っていますよ。首縄もなしに、伸びをするなんて。

アンサオール夫人 大佐、お知り合いの御婦人が何人か、朝食にいらっしゃると約束したでしょう。私もお供することになっていますの。何をご馳走してくださる?

大佐 いや奥様、独り者の食事ですよ。パンとチーズと、口づけです。

アンサオール夫人 まあ! 独身の殿方には、婦人をもてなすほかに、お金の使い道がありまして? 養うのは、ご自分の四肢だけでしょうに。

スマート夫人 閣下、ブラッグ大尉には、あなたのご親戚たる栄誉がおありなの?

スパーキッシュ卿 たいそう近いのですよ、奥様。私のいとこに当たり、まるきりかけ離れています。

アンサオール夫人 お金持ちではありませんこと?

スパーキッシュ卿 ええ、金持ちの野郎です。シャツ二枚と、ぼろ一枚。

大佐 まあ、それでも、大きな財産を持っているそうですね。ただ、正当な持ち主が、渡してくれないだけで。

スマート夫人 宗教は何ですの?

スパーキッシュ卿 何でも教徒ですよ。

アンサオール夫人 まだ宗教を選んでいないのだと思いますわ、閣下。

〔ネヴァーアウト、首をかく。

嬢 まあネヴァーアウトさん、恥ずかしくありませんの! こんな言い方はお許しください。でも、懐の友が、背中を噛む裏切り者になったのではなくて?

ネヴァーアウト まあお嬢さん、あなたの頭布にノミがいるのを、私は一度見ましたよ。それにシラミは人間の仲間だが、ノミは犬の仲間です。ともかく、その可愛らしい白い手で、私の首をかいてほしいものですね。

嬢 それでは誰が馬鹿を見るのでしょう? 全宇宙をくれると言われても、男の肌には触れませんわ。間違った雌豚の耳をつかんでいますよ、本当です! それは、あなたのご主人様向きの肉ですわ。

ネヴァーアウト ノータブル嬢、喧嘩はすべて脇に置き、ちょっとこちらへおいでください。

嬢 手を洗って、お伺いいたしますわ。でもどうぞこちらへ来て、この錠が開くか試してくださいな。

ネヴァーアウト われわれに何ができるか、やってみましょう。

嬢 われわれ?――お腹の中に、豚の子でもいるの?

ネヴァーアウト お嬢さん、私は何をやらせても、とても器用なのですよ。

嬢 まあ、自分を褒められない者など、吊るしてしまえですわね。シラミを火に投げるくらいなら、確かな手つきでおできになるでしょう。

大佐 いや、はっきり申そう。ここはひどく臭い。

嬢 大佐、狐が最初に気づくとも申しますよ。

ネヴァーアウト いいえ大佐、ただ、雨の前のあなたの歯の臭いでしょう。でも――

嬢 大佐、あなたは貧乏人の雌豚には、とても向かないようね。

〔大佐、咳をする。

大佐 ひどい風邪をもらってしまった。

アンサオール夫人 ええ、この不景気に何かもらえるだけでも結構ですわ。

嬢〔大佐に〕 むせなさい、ひよこさん。まだまだ卵がかえりますよ。

スマート夫人 大佐、その風邪はどうしてもらったの?

スパーキッシュ卿 奥様、きっと、裸足で寝床に寝たせいでしょう。

アンサオール夫人 では大佐、男が妻を迎えるように、よかれ悪しかれ引き受けなくてはね。

大佐 いや御婦人方、巡査がいなくても、あなたがたを捕らえ、言わんとすることはわかりますよ。

嬢 ネヴァーアウトさん! ネヴァーアウトさん! 今すぐこちらへ!

スマート夫人〔嬢の声をまねて〕 ネヴァーアウトさん、ネヴァーアウトさん! あなたの帯に結んでおければよいのにね。

ネヴァーアウト 何事です! 今度は誰の雌馬が死んだのですか?

嬢 骨を折ったお礼に、骨折りをどうぞ。来たとき同様、馬鹿みたいに戻って結構ですわ。

ネヴァーアウト よろしい、お嬢さん。二度目にだまされたら、私の落ち度ですよ。

スマート夫人 大佐、その上着は短すぎるようね。

大佐 次のを買うまでには、十分長い間がかかりますよ、奥様。

嬢 まあまあ、よい上着ですし、よいお友達から来たものですわ。

ネヴァーアウト 御婦人方、布地を見違えていますよ。半分は絹です。

大佐 トム・ネヴァーアウト、君は馬鹿だ。それが君の落ち度だよ。

〔階下で大きな物音。

スマート夫人 まあ! 何というがたがた騒ぎ。地獄が解き放たれたようね。

嬢 本当に奥様、気分がよくありませんので、失礼しなければなりません。

スマート夫人 なあに、刻んだ干草を食べて、むずがり腹痛になったの?

嬢 いいえ、本当のところ奥様、気分が悪くて、お腹がすいているのです。医者より料理人が必要ですわ。

アンサオール夫人 かわいそうに、クッションと同じ病気ね。詰め物だけが欲しいのよ。

大佐 病気なら、仔牛の卵で作った温かいカウドルを、差し上げましょう。

ネヴァーアウト 手袋が見つからない。

嬢 少し前、犬が何か汚いものをくわえて、走っていくのを見ましたわ。

大佐 お嬢さん、私のハンカチをお持ちですね。返してください。

スマート夫人 いいえ、お持ちなさい、お嬢さん。占有しているほうが、法では十一点分だけ有利だと申しますから。

嬢 奥様、もう二度とお返ししませんわ。小売商人の手に渡ったのですから。

アンサオール夫人 まあ! また雨が降っていますね。

スパーキッシュ卿 ならば奥様、スペインでやるようにしなければ。

嬢 閣下、それはどうするのです?

スパーキッシュ卿 奥様、降らせておくのですよ。

〔嬢、スマート夫人にささやく。

ネヴァーアウト ささやきのあるところ、嘘もある。

嬢 まあネヴァーアウトさん、今朝は梨売りのように生意気ね。

ネヴァーアウト まったくお嬢さん、あなたはとてもお美しい。

嬢 そんなこと、とっくに存じております。新しいことをお話しなさいな。

〔誰かが戸を叩く。従僕が入ってくる。

従僕〔大佐に〕 恐れながら旦那様、階下に男が一人、お話ししたいと申しております。

大佐 御婦人方、ちょっとお許しを。

〔大佐、出ていく。

スマート夫人 お嬢さん、昨日はご機嫌を尋ねに人をやったのだけれど、早くからお出かけだったのね。

嬢 ええ奥様、ハイゲートまで外の空気を吸いに連れていこうと、田舎の知り合い三人が訪ねてきまして、辻馬車にぎゅうぎゅう詰めになりましたの。

スマート夫人 それで、よいお散歩になりまして?

嬢 いいえ奥様、ずっと雨でした。揺られて死にそうでしたし、道がひどく悪くて、絶えず悲鳴を上げていましたわ。御者に「お願いだから、私たちをこぼさないで」と呼びかけましたの。

ネヴァーアウト つまりお嬢さん、高慢の後には転落が来るのを、恐れたのですね。

嬢 ネヴァーアウトさん、馬鹿が必要になったら、あなたをお呼びします。

スパーキッシュ卿 お嬢さん、昨夜は左の耳が熱くありませんでしたか?

嬢 まあ、なぜですの、閣下?

スパーキッシュ卿 ある集まりにいたのですが、あなたを空まで持ち上げて褒めていたのですよ。確かです。

嬢 閣下、それは私の値打ちより、皆様のご親切ですわ。

スパーキッシュ卿 完全な美人だと申していました。

嬢 閣下、神様がお作りになったとおりです。

スマート夫人 鼻がもう一つ別のだったら、まずまずの娘ですわね。

嬢 まあ奥様、いつも褒めてくださると存じていますわ。脚の悪い犬を、踏み越し段の向こうへ助けるのがお好きですもの。

〔誰かが戸を叩く。

スマート夫人 どなた? 戸の違う側にいらっしゃるわ。太っているなら、お入りなさい。

〔大佐、再び入ってくる。

スパーキッシュ卿 いや大佐、君はたいそう多忙な男だね。

大佐 ええ、閣下、市長様の道化と同じです。用事は山ほど、することは何もない。

スマート夫人 閣下、大佐は最近、ずいぶんお痩せになったと思われません?

スパーキッシュ卿 ああ、馬一頭の荷から、荷車一台の荷まで減りましたね。

大佐 いや閣下、私は兎と同じで、二十四時間のうちに太ったり痩せたりするのです。

スマート夫人 大佐は、まっすぐなピンのようにお歩きですわよ。

嬢 ええ、お顔の体つきが、立派な殿方ですわ。

ネヴァーアウト よい足と、よい脚だ。ありがたいのは靴と靴下!

大佐 何と、三人で一人を! それは不公平だ。牧師だって悪態をつくでしょうよ。

ネヴァーアウト お嬢さん、どうしたのです? 勝ちも負けもしなかったようなお顔ですね。

大佐 なに、お嬢さんは恋だけで生きているのですよ。

嬢 ええ、恋と、戸棚の食べ物の塊でね。

アンサオール夫人 ええ、恋と豆粥は危険な二つのものだと申しますね。一つは心を破り、一つはお腹を破る。

嬢〔アンサオール夫人の口調をまねて〕 たいそうお上手! 一つは心を破り、一つはお腹を破る。

アンサオール夫人 お気をつけなさい。まねすると、うつると申しますよ。

嬢 それは初めて聞きましたわ。

ネヴァーアウト なら、お嬢さん、知恵の皺が一つ増えた――今までより一つ多くね。

嬢 まあ、生きていれば学べますわ。

ネヴァーアウト ええ、吊るされれば、何もかも忘れます。

嬢 ネヴァーアウトさん、どうお取りになっても結構です。でも本当に、そんな言い方をするなんて、生意気なジャックね。

ネヴァーアウト お嬢さん、そう来るなら、言っておきましょう。どのジャックにも、ジルがおりますよ。

嬢 まあネヴァーアウトさん、礼儀のお手本、撫子の花でいらっしゃることは、誰もが存じておりますわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、あなたが丁重さの花だということも、世間じゅうが認めています。

スマート夫人 お嬢さん、昨夜の訪問先には、大勢集まったそうね。どんな方々でしたの?

嬢 年とったフォワード夫人、トゥーアンドアゲイン嬢、サー・ジョン・オーグル、クラッパー夫人、それに私、と犬は言いました。

大佐 長い訪問でしたか、お嬢さん?

嬢 実は、皆さんオペラへ出かけてしまったので、かわいそうな剝きニンニクの私は、ひとりで家へ帰りましたわ。

ネヴァーアウト ああ、お気の毒に、お嬢さん! あなたを気の毒がるのは、何とも悲しいことですね。

嬢 何よ、今のはうまいことを言ったとお思いでしょう。こんなに知恵のない犬を飼っていたら、絞めてしまいますわ。

スマート卿 お嬢さん、失礼でなければ伺ってもよいかな。あなたとスカトル夫人は、どちらが年上です?

嬢 閣下、私が老齢で死ぬときには、あの方は怖くて震えるでしょうね。

スマート夫人 あの人は、ずいぶん出歩くのよ。

アンサオール夫人 まあ! 先週は私に、聖アントニウスの豚みたいに、どの店へもついてこさせたわ。

スマート夫人 あの人とダンからベエルシェバまで回ったと、おっしゃっていたわね。

〔大佐、唾を吐く。

大佐 ああ、死ぬのかもしれん。唾を遠くへ吐けない。

嬢 まあネヴァーアウトさん、うちの小さなカウンテスが、たった今子を産みましたの。私を褒めてくだされば、あなたの名を子犬の分に書き入れますわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、あなたを褒めたら、真実を言わなくなるかもしれませんよ。

スパーキッシュ卿 いや、だがトム、そこに気づきたまえ。あの娘は、うまいこと君を子犬と呼んだのだ。

ネヴァーアウト やれお嬢さん、今日は先頭の馬に乗っていますね。

嬢 ええ、悪く思いながら「よろしい」と言う人は、多いものですわ。

ネヴァーアウト おや、お嬢さん、それは前にも一度言いましたね。ご存じのとおり、同じ物も多すぎれば何の役にも立ちません。

嬢 まあ、よいことなら、何度言っても多すぎることはないでしょうに。

スパーキッシュ卿 さて、その話はそれだけ、魚にはバター。別の事件を呼び出しましょう。奥様、ナイス夫人をご存じですか?

スマート夫人 よく存じておりますわ、閣下。名前もナイス、性質も気難しいのよ。

スパーキッシュ卿 あの間抜けなトム・ブランダーを、恋ゆえに選んだなど、ありえましょうか?

嬢 乗るのに鵞鳥を選んだとは、たいそうな馬の目利きでしたわね。

アンサオール夫人 閣下、それはあの人の運命よ。結婚と絞首刑は運命次第と申しますから。

大佐 魔女として火あぶりにされるほど、利口ではありますまいね。

スパーキッシュ卿 結婚は天で定められるというが、あの人が結婚したときは、天に友達がいなかったのでしょう。

ネヴァーアウト まあ、神の恵みから、暖かい日なたへ出てしまったのですね。

大佐 男のほうも、脳味噌に少しでも中身が詰まっていれば、まずまずなのですが。

スマート夫人 そこには、一つ話があると申しますね。

スパーキッシュ卿 なに、男でも少年でもない、ただののっぽの小僧ですよ。

嬢 まあ、夫を選ぶなら、小柄な男とは決して結婚しませんわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、なぜですか? あらゆる悪のうち、最も小さいものを選べと申しますのに。

嬢 二人でいるのを見て、皆が「あそこに女と、その亭主が行く」と言うでしょうから。

大佐〔スマート夫人に〕 奥様、明晩はモールの並木道へお出かけになりますか?

スマート夫人 いいえ、それは適当でないわ。明日は日曜でしょう?

スパーキッシュ卿 それがどうしました、奥様! よい日には、よい行いと申します。

アンサオール夫人 ネヴァーアウトさん、フラズ夫人はいかが?

ネヴァーアウト 疫病にでもかかればよい! セント・ポールズほど古い人だ。

嬢 あなたもそうなりますわ。若いうちに吊るされなければね。

ネヴァーアウト まあお嬢さん、仲直りしましょう。今晩、公園へ行きますか?

嬢 心臓全部と、肝臓の一片を添えて、喜んで。でも、あなたとではありません。

スマート夫人 一つ申し上げるわ、二つではなくね。今日は頭痛の発作が起こりそうで心配なの。

大佐 いや奥様、怖がってはいけません。怖がると起こるのですから。

嬢〔アンサオール夫人に〕 奥様、頭巾の垂れ布が、片方だけ長くなっていますわ。

アンサオール夫人 まあ、かまわないわ。速歩の馬に乗った人には、見えやしません。

ネヴァーアウト いやお嬢さん、あなたの垂れ布のほうが、もっとひどく下がっていますよ。

嬢 まあ、私は心から嘘つきが好きなので、あなたがぴたりと合いますわ。

〔嬢、立ち上がる。

ネヴァーアウト 悪魔にさらわれなさい、お嬢さん! 足を踏みましたね。私の枕元へ来るおつもりではありますまいね。

嬢 まあ、ご自分の友達を怖がっているのね。誰もそばにいないのに。

スパーキッシュ卿 よく言った、お嬢さん!〔顎を軽くつつく。〕ほら、お取り。顎の下をひとつつきは、二つの口づけに値するというからね。

アンサオール夫人 でもネヴァーアウトさん、あなたのように立派で、背筋のまっすぐな若い紳士が、どうしてお金持ちの未亡人を捕まえないのかしら。

スパーキッシュ卿 まっすぐ! ああ、私の脚ほどまっすぐだ。膝で曲がっているがね。

ネヴァーアウト いや奥様、金持ちの未亡人が雨のように降っても、私の上には一人も落ちますまい。私は三ペニーの星の下に生まれたので、四ペンスの値打ちにもなれないのです。

アンサオール夫人 いいえ、ネヴァーアウトさん。あなたは頭に羊膜をかぶって生まれた、幸運な方だと思うわ。婦人のあいだで、そんなに人気がおありなのですもの。では、プリム未亡人はいかが? 途方もないお金持ちよ。

ネヴァーアウト あんな女は吊るしてしまえ! 父親はパン屋だったそうですよ。

スマート夫人 ええ、でも今どきは、何者かより、何を持っているかですわ。

大佐 トム、一度くらいは大胆な顔をして、未亡人にかかっていきたまえ。君のために、うまく口を利いてあげよう。

アンサオール夫人 ええ、あなたならきっと、あの方のために一言、ご自分のために二言おっしゃるわね。

嬢 まあ、それは私も舌の先まで出かかっていましたわ。

アンサオール夫人 お嬢さん、よい知恵は跳び合って一致するものと申しますよ。

ネヴァーアウト いや奥様、プリム未亡人が体重分の黄金を持っていようと、私は好きな女を、肌着一枚のままでも妻にします。

スマート夫人 まあまあ、ネヴァーアウトさん。結婚は名誉ですけれど、家計のやりくりは口やかましい女ですよ。

アンサオール夫人 お考えなさい、ネヴァーアウトさん。寝床に裸の足が四本。それにあなたは、弟のほうでしょう。

大佐 いや奥様、弟のほうが、よりよい紳士なのですよ。だがトム、跳ぶ前によく見たまえ、と忠告しておこう。

スパーキッシュ卿 大佐の言うとおりだ。それに、同じ年に妻を得て富を得るなど、期待できないからね。

嬢〔身震いして〕 まあ! 誰かが、私のお墓の上を歩いているわ。

大佐 ところでアンサオール夫人、この前の水曜日、お伺いする栄誉を得たときは、どちらにいらしたのです? あなたも、ぶらぶら歩くガド族のお一人とみえますね。

アンサオール夫人 大佐、教会にいましたわ。

大佐 それなら私も、馬も一緒に吊るされましょう。

ネヴァーアウト 奥様のいらしたのは、煙突のある教会でしょうね。

嬢 まあ、このペティコート! 幾何学〔ジョメトリー〕式に下がっていること。

ネヴァーアウト 欠点は、あなたの体つきにあるのかもしれませんよ。

嬢〔真顔になって〕 まあネヴァーアウトさん、本当のことを突く冗談にかなう冗談はありませんね。きっと私の背中は、何でも背負えるほど広いとお思いなのでしょう。

ネヴァーアウト 奥様、つつしんでお許しを願います。

嬢 ええ、お許しは出ましたわ。

ネヴァーアウト まあ、何事にも終わりがあり、プディングには二つある。た、た、確かな、は、は、話です。〔どもる。〕

嬢 まあ、ネヴァーアウトさん、匙がなくてはお話しになれないの?

スパーキッシュ卿〔スマート夫人に〕 喧嘩をなさってから、公爵夫人にはお会いになりましたか?

スマート夫人 いいえ、閣下。訪問先で一度だけよ。そのときは、悪魔がリンカンを見下ろすように、私を見ましたわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、私の嗅ぎ煙草をひとつまみ、どうぞ。

嬢 まあ、頭を割っておいて、膏薬をくださるのね。では喜んで。一度だけ、習慣にはせずに。

ネヴァーアウト お嬢さん、私と食べ物を失くしたら、あなたは最良の友を二つ失くしますよ。

大佐〔ネヴァーアウトに〕 トム、お嬢さんと口づけして、仲直りしたまえ。

〔ネヴァーアウト、嬢に挨拶の口づけをする。

嬢 平穏に暮らすためなら、何でもいたしますわ。鼻がむずがゆかったので、ワインを飲むか、馬鹿と口づけするかだとは思っていました。

大佐 いやトム、これが上々でないなら、上々など吊るしてしまえだ。

ネヴァーアウト 私は生まれてから一度も、婦人に無礼なことは申しませんでした。

嬢 その嘘に、ピン一本を差し上げます。嘘つきには、よい記憶力が必要ですわね。大佐、この方はつい今しがた、私にひどく失礼ではありませんでした?

アンサオール夫人 ネヴァーアウトさん、お嬢さんが理由もなく腹を立てるなら、私の忠告をお聞きなさい。帯の留め金を後ろへ回しておくように、お言いなさいな。

ネヴァーアウト まあアンサオール夫人、私はもっと物を知っていますよ。お嬢さんとは仲よしです。旅慣れた者に、いたずらをしかけるものではありません。

大佐 トム、プディングのことは一言も言わないでくれよ。

スマート夫人 ああ、大佐! あなたは決してよくならないわ。そのときになっても、まだね。

スパーキッシュ卿 どの「よい」ですか? 何かの役によいのか、何の役にもよくないのか?

嬢 舌に水ぶくれができたわ。でも、嘘をついた覚えはないのに。

アンサオール夫人 たった今ついたと、思ったけれど。

スパーキッシュ卿 奥様、その「思った」は、何をしましたか?

アンサオール夫人 まあ、どう考えても、閣下のおっしゃることがわかりません。

スパーキッシュ卿 本当に奥様、悪気はなかったのです。

スマート夫人 ええ、もちろんですとも、閣下! 二歳の悪魔ほど無邪気でいらっしゃいますもの。

ネヴァーアウト 奥様、悪いことをする者は、悪く勘ぐると申します。でも、あなたに当てはめたわけではありませんよ。

〔嬢、レースの穴を繕う。

嬢 ほら、私は繕って、よくなっていきます。いずれは善くなるとよいのですけれど。アンサオール夫人、ご覧なさい、上手に直ったでしょう?

アンサオール夫人 ええ、これはタンズィーのように、ちゃんと仕上がっているわね。

ネヴァーアウト いやお嬢さん、鋳掛け屋がやかんを直すのと同じですよ。穴を一つ塞いで、二つ作るのです。

スマート夫人 大佐、ずいぶん日に焼けていらっしゃいません?

大佐 ええ、奥様。だが、クリスマスのエールを一杯やれば、すぐ洗い落とせますよ。

スパーキッシュ卿 スマート夫人、フェイド夫人は、結婚してからひどく変わったと思われませんか?

アンサオール夫人 閣下、若い頃は美人でしたわ。でも、菓子を食べて、なお持っていることはできませんもの。まるで骨組みばかりのオトミーになったそうね。

スマート夫人 かわいそうに! もう黒い者に足を置かれたのね。

嬢 ええ、すももの青い粉が、すっかり取れてしまったのですわ。

スマート夫人 それでも旦那様は、まだとてもあの人を愛しているそうね。

アンサオール夫人 まあ奥様、黄金を食べたいと言えば、与えてくださるでしょうよ。

ネヴァーアウト〔スマート夫人に〕 奥様、クイージー夫人がこのあいだ、お忍びで劇場にいたのはお聞きですか?

スマート夫人 何ですって! ほかならぬクイージー夫人が! 名誉〔レップ〕にかけておっしゃるの?

ネヴァーアウト 断固〔ポズ〕、この目で見ました。天井桟敷の群衆〔モブ〕に交じって座っていたのです。あの人自身の醜い顔〔フィズ〕でした。こちらが見ているのを、あの人も見ましたよ。

大佐 奥方は、ひどくしてやられた〔バム〕ものだ。きっと憂鬱〔ヒップス〕になったでしょう。

ネヴァーアウト あの巨大な鼻を見つけましてね。長い嘴を隠そうとして、もう誰にも見えないつもりになるヤマシギを、いや、思い出しましたよ。

大佐 トム、もう口をつぐむことを勧めるね。二度とそんなうまいことは言えまいから。

スマート夫人 お嬢さん、何をお探し?

嬢 まあ奥様、とてもよい縫い針を失くしましたの――

アンサオール夫人 なら、見つかるまで探しなさい。そうすれば、労力を無駄にしないわ。

ネヴァーアウト 帽子の輪が切れた。どう直そう?〔ピンで留める。〕よし、工夫〔シフト〕のない者は、吊るしてしまえと、私は言う。

嬢 ええ、肌着〔シフト〕が一枚多すぎる人も、吊るしてしまいなさい。

ネヴァーアウト ああお嬢さん、あなたについて、ひどい話を聞きましたよ。

嬢 受けて立ちますわ、ネヴァーアウトさん。私の目は黒いとさえ、悪く言える人はいませんから。

ネヴァーアウト そう言えたらよいと、お望みなのでしょうね。

嬢 でも、誰がお話しになったの? さあ、真実を言って、悪魔に恥をかかせてください。

ネヴァーアウト ではお嬢さん、誰が話したか、当ててごらんなさい。さあ、思案の帽子をかぶって。

嬢 それで、誰ですの?

ネヴァーアウト 樫の木から一マイル以内に住む人ですよ。

嬢 まあ、ご自分の靴下留めで首でも吊りなさい。絞首台があなたを待って、うめいていますわ。

ネヴァーアウト 可愛いお嬢さん、ほんの冗談ですよ。

嬢 でも、そのことを腹につかえさせて、根に持たないでくださいね。

大佐 閣下、トーカル夫人をご存じですか?

スマート卿 顔だけはね。だが、ずいぶん機知があるそうだし、いや、いわゆる、背骨まで気骨のある人らしい。

スマート夫人 そう聞きますわ。

大佐 この前、ディック・ラバーがあの方に、「奥様は、鵞鳥にブーとも言えますまい」と言ったのです。すると「ええ、言えますよ」と応じて、まったく、真正面からブーとやりました。皆、笑って心臓が裂けるかと思いましたよ。

スパーキッシュ卿 それはひどく鋭い一撃だね。それで、その馬鹿はどんな顔をした?

大佐 どんな顔かですって? いやまったく、蔦の茂みの梟そっくりでしたよ。

〔子供が叫びながら入ってくる。

嬢 まあ、私の子なら、血が出るまで鞭でぶちますわ。お静かに、小さな雌狐! そばにいたら、遠くにはいませんよ。

スマート夫人 ええ、ええ、独身男の妻と、生娘の子供は、たいそうよくしつけられていますわね。

アンサオール夫人 坊や、こちらへいらっしゃい。砂糖菓子をあげましょう。まあお嬢さん、ご自分も子供だったことをお忘れなのね。〔子供に砂糖の塊を与える。〕男の子は欲しがるもの、と聞いたことがありますわ。

大佐 閣下、バザード氏がまた結婚したことは、ご存じでしょう?

スマート夫人 これで四人目の奥様ね。では四つの蹄に、ぐるりと蹄鉄がついたわけだわ。

大佐 実は、彼女はディック・フロントレスにひどくご執心で、駆け落ちしようと思っていたのです。だが両親が、よい財産取り決めと引き換えに、あの年寄りを無理に選ばせた。

スパーキッシュ卿 それで男は、自分の雌馬を取り戻したのだね。

スマート卿 ディックに、とてもよいことを言ったそうだ。「君は、年寄りは馬鹿だと思っている。だがわれわれ年寄りは、若者が馬鹿だと知っている」とね。

大佐 それは知りませんが、男がひどく年寄りで、女がたいそう若いことは知っています。

アンサオール夫人 それを、世間の作った縁組と呼ぶのですわ。

嬢 男が若くて、女が年寄りだったら?

ネヴァーアウト お嬢さん、それなら悪魔の作った縁組です。だが二人とも若ければ、それは神の作った縁組なのですよ。

〔嬢、指貫を探してポケットを探り、ナツメグを取り出す。

ネヴァーアウト ああお嬢さん、お気をつけなさい。ポケットにナツメグを入れて歩けば、必ず年寄りと結婚しますよ。

嬢 まあ、もし結婚するなら、年寄りにしますわ。いつも、いちばんよい夫になりますもの。若い男にいじめられるより、年寄りに可愛がられるほうがましよ。

ネヴァーアウト いやお嬢さん、それが本心なら、私の母を生娘として差し上げましょう。

〔スマート夫人、呼び鈴を鳴らす。従僕が入ってくる。

スマート夫人 お聞き、お前。マッチ夫人のところへ走っていって、六時にカドリーユをしに、ここへいらっしゃるのをお忘れなくと、申し上げなさい。いいこと、途中で転んでも、起き直るために足を止めては駄目よ。

従僕 奥様、お宅を存じません。

スマート夫人 それは無知が足りないためではないわね。鼻の向くまま、真っすぐお行き。さあ、ほかの召使に尋ねなさい。

〔従僕、戸を開けたまま出ていく。

スマート夫人 こら、お戻り。なぜ戸を開けたままにしたの? 覚えておくのよ、よい召使は、呼ばれたら必ず来て、言いつけられたことをし、出るときは戸を閉めるものです。

〔従僕、再び出ていき、階段から転げ落ちる。

アンサオール夫人 のるかそるか、首を賭けてね。下りておいで、でなければ引きずり下ろしますよ。でも、かわいそうに、絞首刑執行人の手間を省いたのでなければよいのだけれど。

ネヴァーアウト 奥様、あそこで唇を噛み、扇をいじっているお嬢さんをご覧なさい。

嬢 私の名を、みだりに唱えるのはどなた?

〔嬢、皆のそばへ駆け寄り、転ぶ。

スマート夫人 まあ、また転ぶの! このお遊びを、皆に回すつもり?

アンサオール夫人 お嬢さん、奥様の床を壊していないとよいわね。

ネヴァーアウト お嬢さん、こちらへいらっしゃい。抱き起こしてあげましょう。

スパーキッシュ夫人 でも冗談は抜きにして、お嬢さん、怪我がなければよいけれど。

大佐 いや、きっと怪我をしていますよ。ご覧のとおり、頭全体が一つのこぶですからね。

嬢 大佐、私にお金があって、あなたにないとき、このことを覚えていてくださいね。

スマート夫人 でも大佐、いつ家と妻と、妻を放り込む火を、お持ちになるつもり?

嬢 まあ! 誰が軍人と結婚して、背嚢を担ぎますものか。

ネヴァーアウト おや奥様、軍神マルスと愛の女神ヴィーナスを、ご存じでしょう。

大佐 いや奥様、蜜月が終わると同時に妻を埋葬できると思うなら、明日にでも結婚しますよ。だが、女には猫と同じ数の命があるといいますからね。

アンサオール夫人 大佐は、卓の下の死んだ妻こそ、男の家にある最上の財産だと、お思いなのね。

スマート夫人 でも大佐、よい奥様をお持ちになれば、別れるのは胸も裂けることでしょう。

大佐 ええ奥様、妻と六ペンスを失った者は、六ペンス銀貨一枚を失ったというからね。

スマート夫人 でも大佐、結婚した男は皆、よい妻は世界にただ一人、それは自分の妻だと信じるべきだと申しますわ。

大佐 それでも、よい妻は注文しておかねばならないでしょう。出来合いはいませんから。

嬢 この殿方は、女嫌いなのね。でも大佐、ご自分にも母親がいたことを、お忘れになるべきではないと思いますわ。女がいなかったら、あなたはどこにいらしたのでしょうね?

大佐 いやお嬢さん、いわば「売女」と先に悪口を言い出したのは、背嚢の話をしたあなたですよ。

アンサオール夫人 でも、悪い者が幾らかいるからといって、女性全体を責めないでくださいね。

ネヴァーアウト 女を嫌う者は、雌豚の乳を吸ったと申しますよ。

大佐 いや奥様、例外のない一般則はありません。

スマート夫人 では、なぜ結婚して、身をお固めにならないの?

大佐 いや奥様、私を落ち着かせるのは、弾丸だけです。

スパーキッシュ卿 まあ大佐、一つ慰めがある。大砲の弾は、恐れなくてもよいからね。

大佐 それはなぜです、閣下?

スパーキッシュ卿 大砲の弾で死ぬ者は、母親の腹の中で呪われた男だというからさ。

嬢 きっと大佐は、初恋に破れたので、女性全体にそれほど手厳しいのですわ。

アンサオール夫人 ええ、百対一で賭けてもよいわ。大佐はどこかの御婦人に、頭から耳まで恋に落ちて、胸を痛くさせられたのよ。

大佐 いや奥様、われわれ軍人は、女性の皆様すべてを崇拝するのです。

嬢 大佐が死にそうになるほど恋するところを、見てみたいものですわ。

スマート夫人 ええ、でも今どき、恋で死ぬ人は、あまりいないでしょうね。

ネヴァーアウト まあ、私は大佐とは違うと認めます。死ぬ前には、金持ちで美しい妻を迎えたいものです。

大佐 そうだな、トム。馬よ、生きていれば、草がもらえる。

嬢 でも大佐、女の悪口をどんなにおっしゃっても、女は男よりよい生き物ですわ。男は粘土から作られましたが、女は男から作られたのですから。

大佐 お嬢さん、何とでもおっしゃい。だが、あなたが嫁ぎそびれて地獄で猿を引くことは、決してあるまいね。

ネヴァーアウト ええ、ええ。お嬢さんには修道女の肉など、一インチもついていないと誓えますよ。

嬢 わかりつまずきましたわ、殿方たち。

ネヴァーアウト 奥様、へりくだりの、ぐだぐだにて。

スパーキッシュ卿 お嬢さん、昔なじみのクラウディ夫人には、いつお会いになりました? もうお二人は、別々だそうですね。

嬢 会うですって! もう一度会うかどうかなんて、どうでもいいわ。神様、私の視力をお守りください。

アンサオール夫人 まあ! 以前は細帯織りの二人組ほど、仲がおよろしかったのに。悪魔が魔女を抱きしめるように、あの人があなたを抱くのを、見たことがありますわ。

嬢 それは本当です。でも、あの人は、とんだふしだら者だという確かな話を聞きましたの。

スマート夫人 まあ、神様が私たち皆を正してくださいますように。でも、世間はたいそう口やかましいことも、認めなくてはね。あの人がふしだら者だなんて、聞いたことがないわ。

大佐〔ネヴァーアウトに〕 さあ、国王のおぼしめし次第のサー・トマス君、いつ行軍するつもりかな?

スパーキッシュ卿 待ちたまえ。トム、友人のネッド・ラトルは、結婚したか?

ネヴァーアウト ええ、閣下。舌で結んだ結び目は、歯でも決してほどけません。

スマート夫人 ええ、急いで結婚、ゆっくり後悔ね。

アンサオール夫人 奥様と一緒に、よい財産は手に入りましたか? 何かあれば味もあるが、何もなければ風味もないと申しますから。

ネヴァーアウト いや奥様、あの妻から得たものを全部目に入れても、見え方は少しも悪くなりませんよ。

嬢 では、あの人がアブラハムの懐に逝けばよいと、心から願っているでしょうね。

大佐 ところで閣下、チャールズ・リンバーと、あの美しい奥方の仲はどうです?

スパーキッシュ卿 なに、町いちばんの寝取られ亭主だそうだよ。

ネヴァーアウト おや、でも閣下、市長様だけは、いつでも除いておかなければ。

嬢 ネヴァーアウトさん!

ネヴァーアウト へい、奥様、お呼びですか?

嬢 ヘイですって。干草〔ヘイ〕は馬のためですわ。

ネヴァーアウト ではお嬢さん、あなたは口づけでも――

大佐 閣下、そのご託宣によれば、何時ですか?

スパーキッシュ卿 いや、わからない。私の時計は、車輪で走っているらしい。

ネヴァーアウト お嬢さん、ご親切に召使を呼んで、薄いビールを一杯、私に持ってこさせてくださいませんか。ここではご自宅同然と存じていますので。

嬢 言われたことは、どんな馬鹿でもできますわ。ご自分と同い年の小姓を作って、ご自分でなさいませ。

ネヴァーアウト お好きにしろ、高慢な馬鹿。頼んだだけですよ。

〔嬢、膝に手を当てる。

ネヴァーアウト おや、お嬢さん、恋人のことをお考えですか? 靴下留めがずり落ちますか?

嬢 ネヴァーアウトさん、その息は、お粥を冷ますために取っておいて。私の穀物を、ご自分の升で量っているのね。

ネヴァーアウト 本当にお嬢さん、あなたは嘘をついています。――

嬢 こんな無礼なこと、お聞きになったことがあります?

ネヴァーアウト つまり、あなたは横たわっている――思い違いのもとにある、という意味です。

嬢 千の嘘で喉が詰まるなら、あなたは何日も前に窒息していますわ。

〔嬢、ネヴァーアウトの嗅ぎ煙草入れを、ひったくろうとする。

ネヴァーアウト 奥様、取り逃がしましたね。お母上の祝福を逃したのと同じです。

〔嬢、もう一度試みるが、取り逃がす。

ネヴァーアウト 空振りばかりするから、そんなに痩せているのですよ、お嬢さん。

嬢 まあ、あんまり乱暴で、目を突かれるところでした。言っておきますけれど、目を潰したら、手を引いていただきますからね。

スマート夫人 ねえお嬢さん、静かになさい。それから、あの戸棚から針山を持ってきてちょうだい。

〔嬢、戸棚の戸を開けて叫ぶ。

スマート夫人 まあ、この子に神のご加護を! 今度は何事?

嬢 本当ですわ、奥様。何か黒いものが見えたので、幽霊かと思いました。

大佐 お嬢さん、幽霊を見たことがあるのですか?

嬢 いいえ、ありがたいことに、自分より悪いものは、見たことがございません。

ネヴァーアウト いや、昨日はずいぶん馬鹿なことをしまして、骨を折った挙句、大馬鹿になりましたよ。

嬢 さぞそうでしょうね。冗談にまことは多いと申しますから。

〔従僕、戻ってくる。

スマート夫人 それで、伝言は届けたの? 途中でそんなに長居するなら、悲しみを迎えにやるには、ぴったりね。

従僕 奥様、あちらの奥様がご不在でしたので、伝言は残しませんでした。

スマート夫人 馬鹿を使いにやると、こうなるのね。

スパーキッシュ卿〔時計を見て〕 十二時を過ぎた。

スマート夫人 それを私たち皆で分けたら、何ほどのこともないわ。

スパーキッシュ卿 奥様、失礼しなければなりません。さあ諸君、行軍しようか?

スマート夫人 でも閣下と大佐は、今日の正餐はご一緒にね。ネヴァーアウトさんも、どうぞご同席くださいな。うちの主人とこちらの御婦人方のほかは、誰も来ません。人混みは嫌いだと、誰もがご存じですから。食べ物が足りないほうが、肘を動かす余地がないよりましですわ。正餐は三時きっかりです。

スパーキッシュ卿 奥様、必ず参上いたします。

大佐 奥様、私の胃袋が、時計の代わりをしてくれますよ。

〔もう一人の従僕が戻ってくる。

スマート夫人 ああ、お前は使いにやったもう一人ね。それで、クラブ夫人のところへ行ったの? 死んだ人の用事をさせるには、ちょうどいいわ。

従僕 奥様、クラブ夫人は、どうかお許しくださいとのことです。今晩は先約がおありです。

嬢 ではネヴァーアウトさん、あなたには手の甲を向けて、お別れしますわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、どうしても最後の言葉を取るのですね。御婦人方、私は自分のものである以上に、皆様のものでございます。

上品な会話、その他。第二対話。

三時。スマート卿と前の一同、正餐につこうとする。

〔挨拶の後。

スマート卿 今朝、皆さんが訪ねてくださる栄誉をお与えになったとき、不在で申し訳ありませんでした。今日は朝の謁見へ行っていたのです。

スパーキッシュ卿 いや閣下、残念だったのは、こちらのほうです。

スマート夫人 皆様、ひどく汚い家へおいでになって、申し訳ありません。手をモルタルに突っ込んで、工事をしていたものですから。

スパーキッシュ卿 いや奥様、そうおっしゃるだけで、こんなにきれいで立派なところは、見たことがありません。まったく楽園そのものです。

スマート夫人 閣下はいつもご親切ね。

スパーキッシュ卿 奥様、あれはどなたの肖像画です?

スマート夫人 閣下、私を描いたものですわ。

スパーキッシュ卿 誓って、その画家は、お世辞は描きませんでしたね。

大佐 閣下、見事に晴れ上がりましたね。

スマート卿 ああ、大佐。晴天が何かの害になることがあるのは、残念だ。〔ネヴァーアウトに〕いやトム、たいそう流行の先端だね。

ネヴァーアウト 閣下、流行から外れるより、世の中から外れるほうがましです。

スマート卿 だがトム、お嬢さんと君は、いつも喧嘩しているそうだね。君のほうが悪いのではないかな。あの娘は、間違いなくとても気立てがよいからね。

ネヴァーアウト ええ閣下、悪魔も、ご機嫌なときはそうです。

スマート卿 お嬢さん、わが友トムを、どうお思いですかな?

嬢 閣下、世界でいちばん賢い人ではないと思いますわ。それに本当のところ、ときどき、とても無礼です。

スパーキッシュ卿 そうかもしれない。しかし、トムを馬鹿として吊るした者は、縄の中にならず者を見つけるかもしれませんよ。

嬢 まあ、どちらにせよ、試すだけのためにでも、吊るされればよいと思いますわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、吊るされねばならないなら、絞首台は遠くまで探しません。その美しい首のまわりにいたしましょう。

嬢 それより先に、あなたの鼻がチーズになって、犬に食べられるのを見ますわ。でも閣下、ネヴァーアウトさんの機知も底をつきかけていますわね。本当に、この言葉は前にもおっしゃったのよ。大佐、この方をつねってくださいな。私もお返しに、同じだけしてあげますから。

スパーキッシュ卿 スマート夫人、たいそうすばらしいスカーフですね。

スマート夫人 ええ閣下、田舎の教会では、燃えるように目立ちますわ。

〔従僕が入ってくる。

従僕 奥様、お食事が卓に整いました。

大佐 いや、ありがたい。腹が減って、戸棚を呼んで鳴き始めていた。

ネヴァーアウト これより悪い知らせを、二度と聞かずに済めばよいですね。

嬢 まあネヴァーアウトさん、ずいぶんお急ぎね。お腹は、喉が切られたと思っているのでしょう。

ネヴァーアウト いやお嬢さん、一日三度の食事と、夜のたっぷりした夜食で、私は間に合います。

嬢 本当のところ、お腹がすきましたわ。

ネヴァーアウト 私は腹が立ちました。では二人で喧嘩しに行きましょう。

〔一同、食堂へ行き、いつもの儀礼的な挨拶の後、席につく。

スマート夫人 皆様、正餐の前に、牡蠣をお召し上がりになります?

大佐 喜んで。〔牡蠣を一つ取る。〕最初に牡蠣を食べた男は、大胆だった。

スマート夫人 牡蠣は生きたまま食べるから、残酷な食べ物だと申しますね。それに、貧しい者には何も残さないから、慈善心のない食べ物。食前の祈りを決して唱えないから、不信心な食べ物でもありますわ。

ネヴァーアウト いや、私が言ったのと同じくらい、うまいお言葉ですね。

スマート夫人 さて、席は整ったので、お給仕もそれに劣らなければよいわね。さあ大佐、武器をお取りなさい。牛肉を差し上げましょうか?

大佐 よろしければ、奥様。どうぞ、継母のように切らず、大きな一切れをください。しっかり土台を作るのが好きですので。いや、立派なサーロインだ。

ネヴァーアウト ええ、切っても、まだお代わりができますよ。

嬢 でも、どうしてサーロインと呼ぶのですか?

スパーキッシュ卿 それはね、うまい食べ物が好きだった、わがジェームズ一世が、ある貴族の正餐に招かれ、卓に大きな牛の腰肉〔ロイン〕があるのをご覧になり、剣を抜いて、戯れにそれを騎士〔サー〕に叙されたのですよ。この秘密を知る人は、ほとんどいません。

スパーキッシュ卿 牛肉は男の食べ物ですな、閣下。

スマート卿 だが閣下、私は、牛肉こそ食べ物の王だと言いますよ。

嬢 お皿をいただけないほど、私は何かいたしました?

スマート夫人〔アンサオール夫人に〕 何をお召し上がりになります?

アンサオール夫人 どうぞ奥様、ご自分でお取りください。

大佐 食べるのと掻くのは、始めるだけで続くと申しますね。お許しいただければ、この仔牛の肩肉を一切れ、自分で取りますよ。

スマート夫人 大佐、それ以上ご親切なことはありませんわ。皆様、心から歓迎いたします、と申しておきましょう。

大佐 仔牛の肩肉には、うまいところが三十二か所あるといいますね。

スマート夫人 ええ、大佐。まずいところが三十、うまいところが二つ。おっしゃることは、わかっていますわ。でも、そのよい二つの片方を、お取りになったのであればよいのですけれど。

ネヴァーアウト 大佐、私も同じ皿からいただきましょう。

大佐 ではトム、自分で切り分けたまえ。皿には二つの手、財布には一つの手と申すからね。どうだ、うまく言ったか、トム?

ネヴァーアウト 大佐、ご託宣のようでしたよ。

嬢〔アンサオール夫人に〕 奥様、お魚を少し、取っていただけますか?

スマート卿〔ネヴァーアウトに〕 トム、魚は三度泳ぐべきだといいますね。

ネヴァーアウト それはどういうことです、閣下?

スマート卿 なにトム、まず海で泳ぐ――聞いているかね?――次にバターで泳ぐ。そして最後には、よい赤ワインで泳ぐのだ。これで証明できたと思うね。

従僕〔スマート卿に〕 閣下、サー・ジョン・リンガーがお上がりになります。

スマート卿 しまった! 今日の正餐に招いて、忘れていた。よろしい、お入りいただきなさい。

〔サー・ジョン・リンガーが入ってくる。

ジョン卿 何と、もう始めておいでか? それなら帰ろう。

スマート夫人 ジョン卿、どうぞお座りくださいな。さあ、多いほど賑やかですわ。

ジョン卿 ああ、だが少ないほど、ご馳走は多い。

スマート夫人 まあ、私は謝るのが、誰より下手なのです。主人の落ち度ですわ。兎の足に口づけして、遅れたと我慢していただくほかないかしら。

ジョン卿 歯でしっかり捕まえて、食べていらっしゃると見える。

大佐 いやジョン卿、こちらを殺すものを、われわれが殺しているのですよ。

スパーキッシュ卿 ご覧のとおりジョン卿、生死にかかわる仕事の最中です。さあ、一緒になさいませんか? プディングの時間には間に合いました。

ジョン卿 ああ、私が死んでいても、やはりこうしていたろうね。何と、宮廷の時刻でお暮らしか。それでは行って、宿屋で少し肉でも食べよう。

スマート夫人 まあ、あなたを食べるわけではございませんよ、ジョン卿。

ジョン卿 私の落ち度だよ。だが、私からダービシャーの牛を買った男に、引き留められていたのだ。

ネヴァーアウト ジョン卿、馬同士が待ち合うのと同じように、われわれはお待ちしていたのですよ。

スマート夫人 あなた、ジョン卿に牛肉を差し上げて。アンサオール夫人、どうぞお召し上がりください。お食事はご覧のとおりです。こんなよいお仲間をお迎えするとわかっていたら、もっと支度しましたのに。実際のもてなしの代わりに、心をお受け取りくださいな。お招きして、損をさせるのではないかと心配です。

大佐 ところでジョン卿、ロンドンはいかがです? 長らくご不在でしたね。

ジョン卿 いや、小さなロンドンは、前に去ったときと、まったく同じところに立っているようだ。

ネヴァーアウト ハノーヴァー・スクエアはいかがです? ジョン卿、前にご覧になってから、ロンドンは町の外へ出たのですよ。

スマート夫人 ジョン卿、心から歓迎する、としか申し上げられませんわ。もっとよいものがあれば、差し上げたかったのですけれど。

大佐 塩がない。これでは寝取られ亭主たちが、肉を持ち逃げする。

スマート卿 少しお詰めになって、ジョン卿の場所をお作りください。ジョン卿、お取りかかりなさい。正餐の三十分は、すぐ失われるとご存じでしょう。

ジョン卿 本当に、一口も食べられません。取引相手とビーフステーキを分け、エールを大ジョッキに二杯飲んだのでね。それに、寝床を出るとすぐに、三月ビールを一壺やった。

アンサオール夫人 まさか、起き抜けの空きっ腹にではありますまいね?

ジョン卿 ええ、奥様。私はいつも、肉を入れる前に鍋を洗うのです。

スマート夫人 まあジョン卿、最後に食べてから、もう九軒の家をご覧になったでしょう。さあ、胃の隅を一つ、鹿肉パイのために取っておいたはずですわ。

ジョン卿 では、運ばれてきたら、どこまでできるか試しましょう。

アンサオール夫人 さあジョン卿、もっと遠くへいらしても、これより悪いものに当たるかもしれませんわ。

嬢〔ネヴァーアウトに〕 ネヴァーアウトさん、舌肉を一切れ、取っていただけますか?

ネヴァーアウト とんでもない、奥様。女には舌一枚で十分です。

大佐 お嬢さん、ここに、一度も嘘をついたことのない舌がありますよ。

嬢 それは話せなかったからですわ。大佐、私だって生まれて一度も、嘘をついたことはございません。

ネヴァーアウト 皆様にお尋ねします。今のこそ、これまで語られた最大の嘘ではありませんか。

大佐〔ネヴァーアウトに〕 頼むよトム、その鳩の両脚と尻と肝を送ってくれ。私は、ほかの誰も好きでないものが、好きなのだからね。

ネヴァーアウト だが、御婦人のどなたかが欲しくなったら、どうします? まあ、お取りなさい。悪――魔が、それであなたの身を養ってくれますように。

アンサオール夫人 まあ、こうして飲んだり食べたりすると、食欲がなくなりますね。

ネヴァーアウト 私は確かに、胃を失くしましたよ。

嬢 まあ、その底を、でしょうね。

ネヴァーアウト いいえ本当に、お嬢さん。すっかり失くしました。

嬢 貧しい人が拾ったとしたら、とてもお気の毒ですわ。

スマート夫人 でもジョン卿、前にお会いしてから結婚なさったそうね。まあ、こっそり婚礼を盗みなさったのね。

ジョン卿 まったく、一生に一度の馬鹿なこともできない。必ず百回、聞かされるのだから。

大佐 ではジョン卿、まだ存じ上げぬ奥様は、ご機嫌いかがです?

ジョン卿 妻は元気ですよ、大佐。礼節にかなう範囲なら、いつでもお役に立ちましょう。は、は。〔笑う。

嬢 ジョン卿、奥様は背が高くて、それとも低くて?

ジョン卿 お嬢さん、ありがたいことに、小さな災いです。

スパーキッシュ卿 さあ、赤ワインを一杯くれ。

〔従僕、なみなみと注ぐ。

スパーキッシュ卿 なぜそんなにたくさん注ぐ?

ネヴァーアウト 閣下、お慕いする分だけ注ぐのですよ。

スマート夫人 お嬢さん、胡瓜を少し差し上げましょうか?

嬢 奥様、恐ろしくて触れませんわ。胡瓜は第三度の冷たさだと申しますから。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、プディングはお好き?

ネヴァーアウト 奥様、私も馬鹿な者と同じで、よいものなら何でも好きです。だが、プディングのよしあしは、食べてみてこそわかります。

大佐 ジョン卿、ご自宅では、たいそうよく歩かれるそうですね。

ジョン卿 いや大佐、私はいつも、手に馬を持って歩くのが好きなのです。だが近頃は、馬に関して、ひどく運が悪くてね。

スマート卿 ではジョン卿、牧師の妻に口づけなさらなくては。

スマート夫人 ジョン卿、奥様はたいへん機知がおありだそうね。

ジョン卿 奥様、プディングは作れます。それに、夫の半ズボンと、ほかの男のを見分けるだけの知恵はあります。

スマート夫人 スパーキッシュ卿、とてもよいリンゴ酒があるのですが、味を見ていただけます?

スパーキッシュ卿 閣下、あんなに裏切り者でなければ、好きになれるのですが。

スマート卿 閣下、どう裏切るのです?

スパーキッシュ卿 面と向かって微笑みながら、喉をかき切るからです。〔ここで大笑い。〕

嬢 まあ大変! 奥様、ナイフがとても鋭くて、指を切ってしまいました。

スマート夫人 それはお気の毒に。どの指なの?〔神様、この傷をお守りください。〕

嬢 この指です。いいえ、こちら。本当に、どれだかわからないわ。

ネヴァーアウト ええ、狐は傷を負ったが、どこだかわからなかった、云々。顔にかける水を持ってきなさい。

嬢 ネヴァーアウトさん、怒って剣を抜いたことがおあり? ご自分の血を見たら、きっと気を失いますわね。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、仔牛肉を少し差し上げましょうか?

ネヴァーアウト いいえ、奥様。好きではありませんので。

嬢 では、好きな人のために祈ってくださいな。奥様、私に少しくださいませ。

スマート卿 トム、君に一杯。

ネヴァーアウト 閣下、たった今、あなたに一杯捧げる栄誉を得たところです。

スマート卿 ならば、ハートフォードシャー流の親切だね。

ネヴァーアウト いや閣下、自分の乾杯を自分で受けたのです。つい考えずに、二度続けて飲みましたから。

スパーキッシュ卿 では大佐、つつしんで君に一杯。

ネヴァーアウト 閣下、私の鼻を橋にして、飛び越さないでください。

スパーキッシュ卿 いや、このワイン一杯は、年取った女への結婚話ほど、心地よいね。

大佐 ジョン卿、近いうちにダービシャーへ、あなたの陣地を不意に襲いに行くつもりです。

ジョン卿 いや大佐、いらっしゃい、歓迎しますよ。来なくても、心から歓迎だ。だが君はボウ教会の鐘の聞こえるところで生まれたから、ロンドンからそんなに遠くへは、動きたくないでしょう。

嬢 大佐、揚げ菓子を少しくださいな。

〔大佐、手で取り出す。

大佐 ほら、お嬢さん。指はフォークより先に、手はナイフより先に作られたと申しますから。

スマート夫人 このプディングは、茹ですぎのようね。

アンサオール卿 まあ奥様、茹ですぎたプディングは毒だと申しますよ。

ネヴァーアウト お嬢さん、鳩を取りましょうか? この鳩は見事に焼けて、「さあ、お食べ」と叫んでいますよ。

嬢 いいえ、ありがとうございます。

ネヴァーアウト ならば、お好きにどうぞ。

嬢 もう、好きなように選びましたわ。

ネヴァーアウト まあ、二度結婚するまでには、もっと悪い勧めを受けるかもしれませんよ。

〔大佐、大皿になみなみとスープを盛る。

スマート卿 おや大佐、そのスープを全部食べるつもりではあるまいね?

大佐 いや閣下、これは病人用の皿です。元気になったら、もっと大きいのをもらいますよ。

嬢〔大佐に〕 すすれサイモン、とてもよいスープ。

ネヴァーアウト これはよい若雌鶏のようだ。

嬢 ネヴァーアウトさんは、ご自分によいものを、きっとご存じですわね。

スパーキッシュ卿 トム、君の言葉だけでは信じないよ。手羽を一つ取ってくれ。

〔ネヴァーアウト、手羽を切り取ろうとする。

ネヴァーアウト いや、関節が見つからない。

スパーキッシュ卿 ならば、寝取られ亭主のことを考えたまえ。

ネヴァーアウト ああ、今うまく切れました。

〔スパーキッシュ卿に渡す。

スパーキッシュ卿 いや、妻が死にかけていても、これは食べられるね。

大佐 頼む、薄いビールを一杯くれ。うまければね。

スマート卿 だが大佐、うまい薄ビール、うまい黒パン、よい年寄り女など、存在しないというからね。

スマート夫人〔アンサオール夫人に〕 奥様、お許しくださいな。あの一切れを切るとき、あなたが見えませんでしたの。

アンサオール夫人 まあ奥様、あなたの後にするのが礼儀ですわ。

スマート夫人 まあ! ソースに髪の毛〔ヘア〕が入っている。

スパーキッシュ卿 それなら猟犬を、兎〔ヘア〕にけしかけなさい。

ネヴァーアウト 大佐、何にしても、その同じソースを、私にも少しください。

大佐 やれ、君は豚よりソース〔生意気〕が多いね。

スマート卿 ジョン卿、元気を出して。あなたに一杯。さて、来世については、どうお考えです?

ジョン卿 実をいえば閣下、なるべく考えぬようにしています。

スマート夫人〔串を皿に置いて〕 ほら、この串を階下の料理人へ持っていきなさい。自分の正餐に料理させるのよ。

ネヴァーアウト 奥様、失礼ながら、この薄いビールは死んでいます。

スマート夫人 ならば、埋葬させなさい。

大佐 これはすばらしい血のソーセージだ。お嬢さん、少し切ってあげましょうか? 私はプディングを切るのがやっとで、それだけなのです。誰より切り分けるのが下手で、よい付き牧師にはなれませんね。

嬢 いいえ、ありがとうございます、大佐。黒い血のソーセージを食べると、悪魔の夢を見ると申しますから。

スマート卿 おお、鹿肉パイが来た。さあ、スープを下げなさい。

スマート卿〔パイを切り開き、鹿肉を味見する。〕 畜生! この鹿肉はかび臭い。

〔ネヴァーアウト、一切れ食べて、口を火傷する。

スマート卿 どうした、トム? 目に涙を浮かべているようだが。何を泣いている?

ネヴァーアウト 閣下、かわいそうな祖母を、ちょうど思い出したのです。七年前の、まさに今日、亡くなりました。

〔嬢、一口食べて、口を火傷する。

ネヴァーアウト それではお嬢さん、あなたもなぜお泣きなのです?

嬢 お祖母様が亡くなった日に、あなたが吊るされなかったからですわ。

スマート卿 お嬢さん、それを私が言うためなら、四十ポンド払ってもよかった。

大佐 いや、食べれば食べるほど、腹がすくようだ。

スパーキッシュ卿 大佐、羊の肩肉一つが、もう一つを押し下げるというからね。

ネヴァーアウト まったく、命にかけて断食せよと言われたら、朝にはたっぷり朝食を、昼にはたっぷり正餐を、夜にはたっぷり夜食を取るでしょうね。

スパーキッシュ卿 閣下、この鹿肉は、ひどく胡椒が利いています。お宅の料理人は、手が重い。

スマート卿 閣下、胡椒にはお強いとよいのですが。さあ、創設者たちに乾杯。

スマート夫人 ええ、混乱を作る者たちにもね。

スマート卿 アンサオール夫人、鹿肉はお好きではありませんか?

アンサオール夫人 ええ閣下、目の前にあるのは我慢できません。ですから、肉とパイの皮を、たっぷり一切れくださいな。

スパーキッシュ卿〔ネヴァーアウトに杯を上げて〕 さあトム、いつも友人たちにばかりでなく、一度は君にも。

ネヴァーアウト〔スマート夫人に杯を上げて〕 さあ奥様、友人たちの健康を祝し、残りの親戚は皆、吊るしてしまいましょう。

スマート夫人〔アンサオール夫人に〕 奥様、この野兎はいかが?

アンサオール夫人 いいえ、奥様。憂鬱になる肉だと申しますから。

スマート夫人 ならば奥様、脳を差し上げましょうか? お許しくださいね。人に脳を勧めるのは、よい礼儀でないと申しますから。

アンサオール夫人 いいえ奥様。食べると、兎頭のうっかり者になるかもしれません。

ネヴァーアウト お嬢さん、一つお話ししなければ。

嬢〔杯を手に〕 お黙りなさい、ネヴァーアウトさん。飲む最中にはお話しにならないで。

大佐 まったく、飲食を最初に発明したのは、才ある男だった。

スパーキッシュ卿 あらゆる食物のうち、酒がいちばん早く消化される。ワインを一杯くれ。

ネヴァーアウト 閣下、お宅のワインは強すぎます。

スマート卿 ああトム、君が善良すぎるのと、同じくらいにな。

嬢 このアーモンド・プディングは、とてもおいしかったのに、すっかり冷えてしまいましたわ。

ネヴァーアウト なお結構ですよ、お嬢さん。冷たいプディングは、恋心を鎮めますから。

嬢 ネヴァーアウトさん、船旅にお出かけですの?

ネヴァーアウト どうしてそんなことをお尋ねです、お嬢さん?

嬢 そんなに牛肉を積み込まれたからですわ。

ジョン卿 お二人で、プディングをすっかり食べてしまったね。

嬢 ジョン卿、少し残っておりますわ。お召し上がりになります?

ジョン卿 いや、ありがとう。たったそれだけで自分の口をからかうのは、好きではないのでね。

大佐〔給仕頭を呼んで〕 ジョン、お宅の薄いビールはうまいか?

給仕頭 恐れながら旦那様、主人も奥様もお気に召しております。うまいと存じます。

大佐 ではジョン、わかるかね、薄いビールが確かにうまいなら、いいかね、ワインを一杯くれ。

〔一同、笑う。

〔大佐、ワインを味見する。

スマート卿 ジョン卿、近所のピークのギャザーオールは、どうしているかね? 最近、何か買い入れたそうだが。

ジョン卿 ああ、ディック・ギャザーオールは、儲けて自分のパンにバターを塗るすべを、ダービシャーの誰にも劣らず心得ている。

スマート卿 以前こちらにいた頃は、ずいぶん着飾っていたね。

ジョン卿 ええ、雌豚に鞍が似合うほどには、似合っていましたよ。

大佐 奥方は存じています。とてもよい御婦人だと思いますが。

ジョン卿 いや、あの女房の小指のほうが、亭主の身体全体より、善良さが多いのです。

スマート卿 さて大佐、そのワインはいかがかね?

大佐 このワインは、食べるべきですね。飲むには上等すぎる。

スマート卿 お気に召して、とてもうれしいよ。どうぞ遠慮しないで。

大佐 ええ閣下、料理屋で飢えるようなことはいたしません。

スマート卿 それではジョン卿、あなたは私のワインを、どう評しますかな?

ジョン卿 まずもう一杯いただこう。二度目の考えのほうが、よいからね。

スパーキッシュ卿 スマート夫人、ハムのお近くですね。一切れ送っていただけますか?

スマート夫人 喜んで。〔一切れ送る。〕それで閣下、いかがです?

スパーキッシュ卿 ロトの妻の手足の一つかと思いますね。〔からしをつけて食べる。〕いや閣下、お宅のからしは、たいそう無礼です。

スマート卿 なぜ無礼なのです、閣下?

スパーキッシュ卿 私の鼻をつかむからですよ、まったく。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、切り分けるのが、とてもお上手ね。

大佐 いや奥様、不思議はありません。トム・ネヴァーアウトは、日曜日には切り分け役をするのですから。

〔ネヴァーアウト、塩入れをひっくり返す。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、塩をこぼしましたね。それは怒りのしるしよ。お嬢さんと喧嘩になるのではないかしら。

アンサオール夫人 いえいえ、少し火の中へ投げれば、何事もなく済みますわ。

ネヴァーアウト いや奥様、恋人同士の仲違いは、ご存じでしょう。

嬢 恋人ですって! 結構なこと! あの人と仲違い! いつ仲がよかったのか、知りたいものですわ!

ジョン卿 私は、この若い御婦人が、あの男の恋人だと思うね。あんなにふざけたり、いじり合ったりしているのだから。わが地方では確か、「糞くそ言い合うのが恋の始まり」と申すのだ。

嬢 ええ、ネヴァーアウトさんが好きなのは認めますわ。悪魔が聖水を好きなようにね。パイほど好きで、私がもらうより悪魔にもらってほしいわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、一つお話ししましょう。

嬢 さあ、あなたに一杯。口を塞ぐためにね。

ネヴァーアウト むしろ口づけで塞いでいただきたいですね。

嬢 口づけ! まあ、出しゃばりな、汚い従兄弟さん。それだけの病気ですの? まあ、口づけを最初に発明したのは、どこの馬鹿でしょう!

ネヴァーアウト いや、とても喉が乾いた。

嬢 なら、燃やすにはよく、揚げるには悪いですわね。

アンサオール夫人 大佐、神のご加護を。食べっぷりが、よろしいこと。

大佐 いや奥様、昔は何でも食べられましたが、今では何も残しません。一日に一度しか、食事しないのです。

嬢 まあ、きっと大佐、それは朝から晩まででしょうね。

ネヴァーアウト いやお嬢さん、昔からそういう習慣でしたよ。

スマート卿 アンサオール夫人、この鹿肉を一切れ、味わってください。

アンサオール夫人 まず閣下が、よいお手本をお見せくださいますように。

スマート卿 リンゴ酒が一杯注いである。お嬢さん、飲まねばいけませんよ。

嬢 本当に閣下、飲めません。

ネヴァーアウト さあお嬢さん、よい酒を無駄にするくらいなら、腹を破るほうがましです。

嬢 まあ! こんなにしつこいことは、生まれて初めて。靴の中にこぼすほうがましですわ。私の分は、あなたの腹の中へ入ればいいと思います。

スマート卿 ネヴァーアウト君、まだうちのリンゴ酒を味わっていないね。

ネヴァーアウト ええ閣下、今スープを食べていたところです。お粥の最中に飲み物を飲むと、墓の中で咳が出るというものですから。

スマート卿 さあ、嬢のグラスを取れ。中身がおまえの腹に入ればいいと言っていたのだから、一度くらい望みをかなえて差し上げろ。ご婦人というものは、望みを妨げられるのを我慢できんのだ。

スマート夫人[ジョン卿に]ジョン卿、鹿肉はまだ召し上がっていませんね。

ジョン卿 めったに食べないのです、奥様。でも、パイの皮を少しいただけますか。

スパーキッシュ卿 ジョン卿、悪魔を煮た汁を飲むくらいなら、悪魔そのものを食べても同じでしょう。

大佐 いや、アンサオール夫人がおっしゃるとおり、こう食べたり飲んだりしていると食欲がなくなりますな。

ネヴァーアウト 市長閣下にも負けないご馳走をいただきました。

嬢 この鶏の手羽くらい食べられると思ったのに。目のほうがお腹より大きかったわ。

スマート卿 まったく、アンサオール夫人は何も召し上がっていませんね。

アンサオール夫人 まあ、卿、私の皿にある骨をご覧くださいな。大工は鉋屑でわかると申しますでしょう。

ネヴァーアウト 嬢、そのゼリーの入ったグラスを取ってくれませんか。

嬢[彼に渡して]ほら、言えばすぐに手に入るのよ。

ネヴァーアウト 嬢、もっと大きなグラスが欲しいのですが。

嬢 まあ、ご自分の望みもわからないのね。満腹でも空腹でも気に入らないんだわ。それで十分だと思うけれど。

ネヴァーアウト ええ、「十分」にもいろいろあるうちの一つですね。「十分に少ない」ことだけは確かです。

嬢 でも、ご存じでしょう、甘い物は歯に悪いのよ。

ネヴァーアウト[アンサオール夫人に]奥様、いただいた仔牛肉は、あの部分は好きではありません。

アンサオール夫人 まあ、ネヴァーアウトさんは本物のイングランド人ね。恵まれているときには、それがおわかりにならないのよ。

大佐 さて、私は牛肉だけで食事を済ませました。

アンサオール夫人 まあ、大佐、お腹いっぱいはお腹いっぱいですもの。麦藁で満たしたって同じですわ。

大佐 結局、台所の薬がいちばんの薬ですな。

スマート卿 そして世界でいちばんの医者は、食養生先生と安静先生と陽気先生だ。

スパーキッシュ卿 小さな家でも、物がよくそろっているのはいかがかな。

ジョン卿 それに、小さな土地でも、よく耕してあるのは。

大佐 ええ、それに、小さな妻でも、気立てがよいのは。

ネヴァーアウト スマート夫人、そのガチョウの胸肉をいただけますか。

スマート卿 トム、ガチョウにガチョウを重ねるのは、紋章学の誤りだと聞いたことがあるぞ。

嬢 まあ、いつまで詰め込んでいるの。

スマート卿 このガチョウはまるで生だ。やれやれ、神は食べ物をお送りになるが、料理人を送ってよこすのは悪魔だな。

ネヴァーアウト 嬢、白いガチョウと灰色のガチョウでは、どちらが雄か、わかりますか。

嬢 馬鹿は、いちばんの知恵者にも答えきれないほど質問をするものだそうよ。

大佐 まったく、嬢、トム・ネヴァーアウトにやり込められましたな。

嬢 まあ、大佐、犬にだって得意な日があるものよ。でも、これからガチョウを見るたびに、ネヴァーアウトさんを思い出すでしょうね。

スマート卿 うまいことを言ったな、嬢。いや、お嬢さん、見事に切り抜けたぞ。トム、これには何と答える。

大佐 いや、トムは返す言葉がないな。ひどくしょげた顔をしている。

嬢 だって、卿もご覧のとおり、この人ったら、世にも腹立たしい人なんですもの。この広い世界にも、こんな人は二人といないと思いますわ。

アンサオール夫人 あら、嬢、世界は広いものよ。

ネヴァーアウト いいでしょう、嬢。「スペード(去勢男)」とさえ呼ばなければ、何と呼んでもかまいませんよ。

スマート卿 ところで、トム、それはそれとして、ガチョウをラテン語で何というか、わかるかね。

ネヴァーアウト もちろん存じています、卿。ガチョウのラテン語はブランデー、蝋燭のラテン語はタケですよ。

嬢 ご婦人の前で学問をひけらかすなんて、お行儀がいいことなの。急にずいぶん元気がよくなったようね。生きているのがよっぽどうれしいんだわ。

ジョン卿 それが機知なら、そんな機知は悪魔にくれてやれ。座の楽しみを台無しにする。執事さん、ガチョウのあとに一杯、強い酒を持ってきてくれ。体にたいへんいいのだからな。

スマート卿 さあ、パンを持ってきてくれ。ときには自分のパンを自分で切るのもいい。

嬢 卿は今日、いちばん遅くまで寝ていらしたんでしょう。

スマート卿 嬢、そう言ったら嘘になるよ。君こそ、牛が帰ってくるまで寝床にいたに違いない。だが、嬢、切るついでに、皮を少し切って差し上げようか。

嬢 お願いいたします、卿。底の皮を少し。

ネヴァーアウト[嬢に囁いて]なるほど、下になるのがお好きなんですね。

嬢[彼を押しのけ、大声で]何をおっしゃるの、この人は。あなたのおっしゃることなんか、ちっともわかりません。

ネヴァーアウト さあ、喧嘩はすっかりおしまいです。嬢、あなたが千年生きますように。

[彼女に乾杯して飲む。]

嬢 まあ、私の寿命をお限りにならないで。

スマート卿 ジョン卿、私の十月仕込みのエールを召し上がりませんか。なかなかの出来だと思うのですが、ダービーシャーのあなたのお宅のものには及ばないでしょうな。

ジョン卿 卿、失礼ながら、物をねだる者をこしらえたのは悪魔だと申しますから。

スマート卿[執事に]おい、大きな蓋付きジョッキに十月仕込みをいっぱいにして、ジョン卿へ持ってきてくれ。

大佐[嬢に乾杯して]嬢、あなたの健康を。生きている日々を、残らず生きられますように。

アンサオール夫人 まあ、嬢、きっとじきにお嫁に行くわよ。独身の殿方がお二人も、いっぺんにあなたへ乾杯しているんですもの。

スマート夫人 まったく、嬢、お母様のシュミーズに包まれていたんでしょうね。こんなに愛されているのだから。

嬢 私のナイフはどこかしら。まさか食べてしまいはしないわね。ああ、ここにあった。

ジョン卿 食べてはいませんよ、嬢。ただ、あなたの処女のしるしが、明かりを遮っているんです。

嬢 まあ、ジョン卿、それがダービーシャー式のお世辞なの。ネヴァーアウトさん、切ってほしいとおっしゃったこの兎肉は、お取りになるの。

ネヴァーアウト さあ、どうでしょう。

嬢 まあ、取るなら取り、取らないならおよしなさい。

ネヴァーアウト そうします。

嬢 何をそうするの。

ネヴァーアウト 取るなら取り、取らないならよすんです。

嬢 あなたって、本当に腹の立つ人ね。

ジョン卿[ワインのグラスを手に話しながら]私の田舎にいた百姓のことを思い出すのですが――

スマート卿[遮って]ジョン卿、パーマー牧師のことをお聞きになったことは。

ジョン卿 いいえ、卿。その人がどうしました。

スマート卿 いや、その人は酒を手にしたまま説教をするのが癖だったのですよ。

ジョン卿 これは失礼。卿のご健康を。底まで一マイルあっても、飲み干してみせますよ。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、新作のお芝居はご覧になったの。

ネヴァーアウト はい、奥様。初日に参りました。

スマート夫人 それで、受けはいかがでした。

ネヴァーアウト いや、奥様、作者はこき下ろされて、地獄行きですよ。

ジョン卿 神がお赦しくださいますように。それは思いやりのないことだ。キリスト教徒をそんなに軽々しく裁くものではありませんよ。

ネヴァーアウト[スマート夫人に囁いて]こんな鈍物がほかにいますか。たいへんな都会通ですこと。ほら、刺された豚のように目を丸くしている。ところで、ジョン卿、うちの美しいご婦人がたとは、もうお近づきになりましたか。有名な美人のどなたかとでも。

ジョン卿 いいや、そんな性病持ちの火船女どもは悪魔にくれてやれ。私には自分の女房がいます。

スマート夫人 アンサオール夫人、このオレンジの砂糖煮はいかが。

アンサオール夫人 本当に、奥様、難を申すなら、おいしすぎるということだけですわ。

スマート夫人 あら、奥様、よすぎるものは、まるで駄目だと聞いておりますわ。

[嬢、グラスのワインを少し飲む。]

ネヴァーアウト その飲み残しをいただけますか。

嬢 ええ、駄目よ。私のあとからは飲ませないわ。私の考えがわかってしまうもの。

ネヴァーアウト もうわかっていますよ。いい旦那さんのことを考えているんでしょう。それに、その口のもぐもぐを見れば、思っていることくらいわかります。

スマート夫人 ねえ、あなた、執事に、うちの十月仕込みをジョン卿へ、ジョッキでお持ちするようお命じになりませんでした。今から醸造するのを待っているんでしょうね。

[執事、ジョン卿へジョッキを持ってくる。]

ジョン卿 奥様が先に召し上がりませんか。

スマート夫人 いいえ、ジョン卿。けっこうなお方の手にありますわ。あとでお相伴いたします。

大佐[スマート卿に]卿、私だってジョン卿と同じくらい十月仕込みが好きですよ。一方は魚扱い、もう一方は肉扱い、という差別はなさらないでしょうな。

スマート卿 大佐、遠慮なくやってください。さあ、ジョン卿、まず口で受け取って、それから大佐へ回してください。

[ジョン卿、飲む。]

スマート卿 さて、ジョン卿、いかがです。

ジョン卿 ダービーシャーのうちのものほどは好きになれませんな。ひどく薄い。

スマート夫人 私は麦の酒は一切口にしませんけれど、ホップはよく利いているそうですわ。

ジョン卿 ホップだって。もう一跳ねしていれば、川の中へ跳び込んだでしょうよ。いや、卿、私のエールなら、食べ物にも飲み物にも着る物にもなる。猫にも口を利かせ、知恵者も黙らせますよ。

スマート夫人 うちのも、とても強いと聞いていましたけれど。

ジョン卿 ええ、奥様、水の味なら強い。醸造屋が麦芽を忘れたか、川が近すぎたのでしょう。いや、まるで腹を下すだけの水っぽい代物だ。いちばん多く飲んだ者が、いちばんひどい目に遭う。

大佐 ジョン卿のお宅では、エールが水のようにふんだんにあるのでしょうな。

ジョン卿 いや、まったく、クリスマスには大勢が出入りしますからな。クリスマス・エールを一杯飲ませずに帰すわけにはいきません。戸の陰で小便をされてはかないませんから。

スマート夫人 ジョン卿のお庭はイングランドいち見事だそうですね。あまりきれいにしてあるので、唾を吐く場所も見つからないとか。

ジョン卿 いや、奥様、そんなことをおっしゃって。

スマート夫人 でも、ジョン卿、ダービーシャーのエールはたいへん強くて頭に来るので、すぐに酔って気分が悪くなるでしょう。そんなときは、どうなさるの。

ジョン卿 いや、確かに酔わせる性質があります。だが、こちらのやり方は、翌朝、同じ犬の毛を一本いただく、迎え酒ですな。――朝飯には産みたての卵を一つ食べます。それに、卵を食べたあとも、牛を一頭食べたあとと同じだけ飲まねばなりませんよ。

スマート卿 トム・ネヴァーアウト、十月仕込みを一杯飲んでみるか。

ネヴァーアウト いいえ、卿、ワインが気に入っていますから、紳士に下郎を重ねるようなことはしません。閣下のクラレットなら、私には十分です。

スマート夫人 まあ、この鳩は遠慮の塊になっているの。大佐、脚と尻のところを差し上げましょうか。

大佐 奥様、家じゅう食べ物でいっぱいでも、もうひとかけらも入りません。

スマート卿[ヤマウズラを切り分けながら]やれやれ、このナイフなら、またがってラムフォードまで行ける。まるで切れやしない。

アンサオール夫人 卿、失礼ながら、下手な職人に、よい道具はないと申しますわ。

スマート卿 そちらの卿は、手羽を召し上がりますか。

スパーキッシュ卿 いいえ、卿。私は牛の手羽のほうがずっと好きです。

スマート卿 私は食事をすると、いつも寒くなる。

大佐 卿、それは長生きのしるしだそうですよ。

スマート卿 ああ、友人がみんな私にうんざりするまで、生きることになるだろうね。

大佐 この中に、チーズの嫌いな方はおられますか。少しいただきたいのですが。

スマート卿 この前、おかしな男が一人、うちで食事をしてね。チーズが食卓に出ると、気を失うふりをしたのだ。そこで誰かが「どうぞ、チーズを下げてください」と言った。「いや」と私は言ったね。「どうぞ、その馬鹿を下げてください」。うまいことを言っただろう。

[ここで一同、大声を上げて笑う。]

大佐 まったく、卿、そのうぬぼれ屋には、ふさわしい仕打ちでした。そんなわけで、閣下のオックスフォードシャーのチーズを、ぜひ少しいただきたいものです。

スマート卿 さあ、節約なんか知ったことか。半ペニー分のチーズを持ってこい。

アンサオール夫人 チーズは何でも消化してくれるけれど、自分自身だけは消化しないそうですわ。

[召使い、大きな丸のままのチーズを持ってくる。]

スパーキッシュ卿 そうそう、これなら誰かが入ってきても見栄えがする。

ジョン卿 さて、おらァ、たんとご馳走になり申した。ランカシャーで言うとおりですな。

スマート夫人 まあ、ジョン卿。お腹がはち切れるくらい、差し上げる物がまだあればよろしいのに。

スマート卿 さあ、広間が楽しいのは、みんなのあごひげが動いているときだと言いますからな。

スマート夫人 嬢、チーズを差し上げましょうか。それともご自分で切り分けますか。

ネヴァーアウト 五十ポンド賭けてもいい。嬢はチーズを切ろうとはしませんよ。

嬢 どうしてなの、ネヴァーアウトさん。

ネヴァーアウト いや、ちゃんと理由があるのです。あなたもよくご存じでしょう。

嬢 この方のおっしゃることは、どうしてもわかりませんわ。

スマート卿 トム、話題を変えてくれ。まったく、おまえは度が過ぎる。

大佐[ネヴァーアウトに囁いて]嬢を見ろ。いや、すっかり苛立たせたな。膠引きタフタみたいに、ほつれかかっているぞ。

スマート夫人 でも、嬢、――黙っていらして、ネヴァーアウトさん――チーズを一切れ切って差し上げましょうか。

嬢 いいえ、本当に、奥様。もう半時間も前に食事を終えましたから。

スマート夫人 まあ、食べるのが早い人は、仕事も早いと申しますわね。

[ジョン卿、こくりとする。]

スマート卿 おや、ジョン卿、眠いのですか。昼食のあとはお眠りになりますか。

ジョン卿 ええ、まったく。パイプを一服やったあと、ときどき一眠りします。腹が満ちれば、骨も休みたがるものですからな。

スマート卿 さあ、大佐、ご自分でお取りください。そうすれば、ご友人にもいっそう好かれますよ。[アンサオール夫人に]奥様、何もお召し上がりになりませんね。

アンサオール夫人 まあ、奥様、私はお百姓並みにいただきましたわ。ネズミイルカのように肥ってしまいそう。誓って申しますけれど、噛みすぎて顎が疲れました。

大佐 あのチョウザメを一切れ食べたいのですが、気分が悪くなりはしないかと心配です。

ネヴァーアウト ずいぶんご立派な軍人ですな。食べずにおけば、絶対に害はありませんよ。

大佐 それはそうだが、プディングが這ってゆくのを見れば、犬だって腹を立てる。

[ジョン卿、立ち上がる。]

スマート卿 ジョン卿、何をなさるのです。

ジョン卿 まったく、聖母様にかけて、もう行かねば。大事な用があるのでね。乞食のやり方に倣って、十分いただいたら引き揚げるのです。

スマート卿 まあ、この瓶が空になるまでお待ちなさい。ご存じでしょう、酒を残して行った男は吊るされたのです。それに、頭の中の酒一杯は、道のり一マイル。かかとの拍車二つより、頭の拍車一つですよ。

ジョン卿 では、皆さんの健康のために、なみなみと一杯。[召使い、半分だけ入れたグラスを渡す。]おい、君、このグラスの残りは、何のために作ってあるんだね。君、上の一インチは、下の二インチの値打ちがあるんだ。[なみなみと注がせ、飲み干す。]さて、なみなみと注いだ一杯にごまかしはない。それに、これにはインチキなラテン語もない。けっこうなワインですから、次の一杯の分までお礼を申しておきます。今の一杯は確実にいただきましたからな。奥様、ダービーシャーへ何かご用命は。今夜は十五マイル行かねばなりません。

スマート夫人 いいえ、ジョン卿、どうぞお気をつけて、ということだけですわ。まだお目にかかったことのない奥方にも、くれぐれもよろしくお伝えください。

ジョン卿 いや、奥様、私にはただ、お慕いし、お礼を申し上げるほかありません。

スマート夫人 さあ、すすぐ水を持ってきて。もっとも、本当に皆さん少ししか召し上がらなかったので、お口をすすぐ必要もありませんけれど。――

スマート卿 だが、ジョン卿、お願いだから、もう少しおいでなさい。

ジョン卿 いや、卿。町を出る前に、友人とパイプを一服やる約束なのです。

大佐 ですが、ジョン卿、明日出発するほうがよくはありませんか。

ジョン卿 大佐、明日は日曜日だということを忘れていますな。

大佐 私はいつも日曜日に旅立つのが好きなのです。陸路や水路を旅するすべての者をお守りくださいという、教会の祈りがいただけますから。

ジョン卿 いや、大佐、あなたを坊主に仕立てたら、とんでもないことになるな。

ネヴァーアウト おやまあ、ジョン卿、煙草を吸うのですか。どうしてご自分の口を煙突になさるのです。

ジョン卿[ネヴァーアウトに]何だ、おまえは煙草を吸わないのだろうが、女の肌着には手を出すのだろう。――ご婦人がた、お許しください。――大佐、あなたも決して煙草を吸わんのかね。

大佐 いいえ、ジョン卿。ただ、ときどきパイプを一服やります。

ジョン卿 まったく、去年、ダービーシャーのうちに、ロンドンの気取った若造が一人、食事に来てね。それで、食後に私がパイプを一服やった。それで、その御仁は顔を背けた。それで私が言った。「どうした、君は決して煙草を吸わんのかね」。それで、大佐、そいつはあなたと同じ答えをした。「いいえ、ただ、ときどきパイプを一服やります」。それで、パイプを手に取って、いじくり回すうちに折ってしまった。それで私が言った。「君、パイプを作れるかね」。それで、そいつは「いいえ」と答えた。それで私が言った。「では、君、パイプを作れないなら、パイプを折るものじゃない」。それで、みんな大笑いした。

スマート卿 まあ、でも、ジョン卿、パイプの崩壊は、詰め棒の誕生だと言いますよ。

ジョン卿 大佐、ときどきダービーシャーへおいでになるそうですな。うちで皿を一枚汚しに来ていただきたいものです。

大佐 兵隊並みの酒瓶を出していただけるでしょうな。

ジョン卿 来て、試してみたまえ。ネヴァーアウトさん、君は都会の才人だ。煙草がどんな草か、わかるかね。

ネヴァーアウト それは、インディアンの草です、ジョン卿。

ジョン卿 違う、鍋用の草だ。では、卿の十月仕込みを一壺いただいて、あなたの健康を。

スマート夫人 ジョン卿、ご結婚なさってから、もう都会には足を入れまいとお誓いになったとか。

ジョン卿 いいえ、奥様。誓ってしないと決めたことは、教会を建てること以外にはありません。

スマート夫人 でも、ジョン卿、次はいつ、ロンドンでお会いできるでしょう。

ジョン卿 いや、奥様、子供たちの言うように、鴨が泥を食べ尽くすまでは、だめでしょうな。

ネヴァーアウト まあ、ジョン卿、ひどい雨になるのが見えますよ。

スマート夫人 まあ、ジョン卿、早まったことはなさらず、まず飲みましょう。

スパーキッシュ卿 ジョン卿は、猫や犬まで降ってくるような土砂降りになるとわかっていてもお帰りになるでしょうな。だが、どうぞお待ちなさい、ジョン卿。蝋燭の明かりで寝るには、まだ十分間に合いますよ。

スマート卿 いや、ジョン卿、どうしてもお帰りになるのなら、まだここにいる時間を有効にお使いなさい。あなたのために、ダービーシャーのご友人がたの健康を。さあ、お掛けなさい。別れのつらい時を、できるかぎり先へ延ばしましょう。

ジョン卿 いや、家じゅう酒でいっぱいでも、もう一滴も飲めません。

大佐 ですが、ジョン卿、昔はよいワインを一杯やるのがお好きでしたな。

ジョン卿 今もそうですよ、大佐。だが、家をどんなに大事にしていても、屋根のてっぺんにまたがる必要はない。それに、火曜日には女房のところに帰っていないと、悪魔も何もかも持ち出す大騒ぎになりますからな。

大佐 では、今日おいでになるなら、肌までずぶ濡れになるようお祈りしますよ。

ジョン卿 ああ、だが、悪人の祈りは通じないと言いますからな。

[ジョン卿、暇を告げて立ち去る。]

スマート卿 さて、嬢、ジョン卿をどう思う。

嬢 そうね、少しばかりお馬鹿なほうかしら。世の中の知恵を全部お持ちとは思えませんわ。でも、私に人を見る目があるとは申しませんけれど。

ネヴァーアウト まったく、豚がオルガンを弾くというホッグズ・ノートンで育ったんでしょうよ。

スパーキッシュ卿 おや、トム、君と彼は手と手袋のように親しい仲だと思っていたが。

ネヴァーアウト いや、僕があの人の敷居を汚すことはありません。都会でも田舎でも、生まれてこのかた、あの人の戸口に影を落としたことはないんです。しかし、どうも妙な老御仁ですね。それでも結局、馬鹿というより悪党だと思います。

スマート夫人 まあまあ、頭に鼻さえついていれば、男は男ですわ。

大佐 一度、あの人やほかの連中と一杯やったことがありますが、いやはや、眠り込んでひどいいびきをかきましてね。豚を追って市場へ連れていくのかと思いましたよ。

ネヴァーアウト まあ、猫からは皮より多くのものは取れませんよ。雌豚の耳から絹の財布は作れません。

スパーキッシュ卿 さて、行ってしまったのなら、悪魔が六ペンスを持ってついていくがいい。これで金も道連れもそろう。

ネヴァーアウト まったく、とんだ田舎の間抜けですよ。ところで、嬢、一つ質問していいですか。

嬢 いいけれど、顔も汚れたままで質問するものではないわ。あなたのお話なら、冷めても傷みはしないでしょう。

大佐 さあ、卿、お気が向かれたときにでも。あなたを愛し敬うすべての人のために乾杯。

スパーキッシュ卿 ああ、それはいつもディック・ニンブルが唱えていた乾杯だ。あの男が死んだことは、もちろん知っているね。

大佐 死んだのですか。いや、卿も悪い知らせを伝えるのがお好きだ。心から残念に思います。しかし、卿、われわれは皆、死なねばなりませんからね。

ネヴァーアウト あの人はよく知っていました。でも、どうして死んだんですか。

嬢 まあ、なんという質問。薬種屋みたいなことをおっしゃるのね。もう生きていられなかったからに決まっているでしょう。

ネヴァーアウト まあ、その魂に安らぎを。われわれは死んだ人ではなく、生きている人を相手に暮らしていかなくてはなりません。

スパーキッシュ卿 知っているだろう、あの男の家は跡形もなく焼け落ちたんだ。

大佐 ええ、新聞に出ていましたな。火と水はよい召使いですが、とても悪い主人ですから。

スマート卿 おい、片づけて、ブルゴーニュを一本持ってこい。ご婦人方、お茶に行かれる前に、もう少しいてワインを一杯召し上がってください。

[すべて片づけられ、ワインが置かれる、など。]

[嬢、ネヴァーアウトをきつくつねる。]

ネヴァーアウト おや、嬢、何をするんです。僕には痛みがわからないとでも思うんですか。

嬢 苦しい時節だから、つねる――節約する――ほかないのよ。

ネヴァーアウト[嬢をつねり返して]ほら、お返しですよ、嬢。雌ガチョウにかけるソースは、雄ガチョウにもかけるものです。

嬢[悲鳴をあげて]まあ、ネヴァーアウトさん、私が生きているかぎり、その借りを持ったままで天国にも地獄にも行かせないわ。

ネヴァーアウト[嬢の手を取って]さあ、嬢、喧嘩はみんな脇へ置いて、仲よくしましょう。

嬢 そんなにからかわないで。人を困らせてばかり。——その汚らしい手をご自分のところに置いておけないの。

ネヴァーアウト ところで、嬢、その爪楊枝入れは、どこで手に入れたんです。

嬢 まっとうな手段で手に入れましたのよ。

ネヴァーアウト きっと僕のですよ。まるで同じ物をなくしたんです。いや、嘘じゃありません。

嬢 ええ、あなたが嘘をつくとすれば、よほどのことですものね。

ネヴァーアウト ともかく、僕の物に決まっています。

嬢 まあ、王様が少しばかりお持ちの物のほかは、何でもご自分の物だと思っていらっしゃるのね。

ネヴァーアウト 大佐、僕の上等な爪楊枝入れを見たことがありますよね。これがまさしくそれだと思いませんか。

大佐 まったく、嬢、それはよく似ていますよ。

嬢 ええ、この人の言うことなら、あなたは誓って保証なさるのね。

ネヴァーアウト いや、でも、僕の物だと証明してみせます。

嬢 ええ、できるものなら、なさいな。

ネヴァーアウト だって、あなたの物は僕の物、僕の物は僕自身の物ですから。

嬢 まあ、お疲れになるまでお続けなさい。誰も引き止めはしませんわ。

[ネヴァーアウト、あくびをする。]

大佐 おや、ネヴァーアウトさん、出世が欲しくて大口を開けているのかね。

ネヴァーアウト まったく、口に転がり込むまでには、いつまで口を開けていればいいやら。

スマート夫人 ネヴァーアウトさん、近いうちに主人と私で、あなたの陣地を襲うつもりですのよ。ずいぶん豪勢なお暮らしだと伺っていますわ。

ネヴァーアウト ええ、まったく、奥様、高いところで暮らしていますよ。住まいは屋根裏です。

大佐 ところで、嬢、言い忘れていたが、ネヴァーアウトさんは今日、公園でとんでもない転び方をしたんですよ。

嬢 地面を傷めなかったらよろしいのだけれど。でも、どうなさったの、ネヴァーアウトさん。その場にいて笑いたかったわ。

ネヴァーアウト いや、お嬢さん、そこには女房を寝取られた男が埋めてあって、その角の一本が突き出ていたんです。たまたまそれにつまずいたんですよ。ただそれだけです。

スマート夫人 皆さん、殿方だけにして差し上げましょう。そろそろ私たちのお茶の時間だと思いますわ。

アンサオール夫人と嬢 卿方、ご列席の皆様、謹んでお暇いたします。

スマート卿 では、ご婦人方、一時間後にお伺いします。

[殿方だけになる。]

スマート卿 さあ、ジョン、新しい瓶を一本持ってこい。

大佐 そうですな、卿。それから、死人どもを運び出させてください。われわれ軍人の言い方では、ですがね。

[空の瓶のこと。]

スパーキッシュ卿 ネヴァーアウトさん、その瓶はいっぱいではないかね。

ネヴァーアウト はい、卿、空っぽでいっぱいです。

スマート卿 それから、聞いているか、ジョン。きれいなグラスを持ってこい。

大佐 私はこのままで結構。グラスを洗うには、ワインがいちばんよい飲み物だと思いますから。

上品な会話、その他。第三対話。

婦人たち、お茶の席で。

スマート夫人 さて皆様、今度は私たちだけで、おしゃべりを一杯、いただきましょう。

アンサオール夫人 お友達のジョン・スペンドオール卿を、どうお思いです?

スマート夫人 あら奥様、お父様が彼より先にお生まれで、あの方は幸せね。

嬢 奥様には、ずいぶんひどい夫だそうですわ。

アンサオール夫人 でも、世界でいちばん子煩悩な父親だとは、認めなくては。

スマート夫人 ええ奥様、それは本当ね。悪魔も、身内には親切と申しますから。

嬢 奥様は、あの方を見事に操ると聞きましたわ。

スマート夫人 そうでしょうとも。死んだ豚ほどずる賢くて、その半分ほども正直ではありませんもの。

アンサオール夫人 夫の浮気沙汰など、まるでご存じないそうね。

スマート夫人 とんでもない。でも、見ようとしない人ほど、目の見えない者はいないと申しますでしょう。

嬢 まあ奥様、猫が鼠を見張るように、あの方を見張っていると聞きましたわ。

アンサオール夫人 まあ、ひどい濡れ衣でなければ、同じ貨幣で、お返ししているそうですわ。

スマート夫人 奥様のお腹の中にいたも同然、何をお考えか、わかるような気がいたしますわ。

アンサオール夫人 奥様、この前、クラッター夫人とご一緒しましたの。奥様とお知り合いなのを、ずいぶん鼻にかけていらっしゃるのね。

嬢 まあ、あの、ぞっとする女! 爪をご覧になって? お祖母さんを、お墓から掻き出せるほど長いのよ。

スマート夫人 まあ、あの方とトム・ゴズリングは、お世辞を、あっちへこっちへぶつけ合っていたわ。二頭のロバが、お互いの背中をこすっているようだった。

嬢 ええ、私を掻いて、私もあなたを掻いてあげる、ですわね。でも奥様、ほかには、どなたがいらしたの?

スマート夫人 あら、世間中と、その奥様方よ。クラッター夫人、シンギュラー夫人、トーカム伯爵夫人――この方を最初に申し上げるべきだったわ――トム・ゴズリン、それに、もう忘れてしまった何人か。

アンサオール夫人 伯爵夫人は、たいそう病弱だと思いますわ。

スマート夫人 ええ奥様、あの方は、白髪の頭を掻くほど長生きすることは決してないと、請け合ってあげますわ。

嬢 それで、どんなお話をなさったの?

スマート夫人 それが、クラッター夫人が、一人でおしゃべりを独り占めにして、絶えず不幸をこぼしていましたの。

アンサオール夫人 一万ポンドの持参金で嫁いで、町にも田舎にも家があるのに。あの女、お尻にまで飾り紐をぶら下げなければ、気が済まないのかしら。

スマート夫人 階段ができる前に、家のいちばん上へ上がりたがるのね。

嬢 まあ、比較は不愉快と申しますけれど、あの方は、ご主人の口から吐き出されたかと思うほど、ご主人とそっくりね。卵が、もう一つの卵に似ているくらい。で、どんなお召し物でした?

スマート夫人 五ペンスのように立派な身なりだったわ。でも本当のところ、費用ばかりで、ご威光はそれほどでもないと思いました。

アンサオール夫人 ご主人は存じませんの。何をなさる方?

スマート夫人 法律を隠すのがお仕事の方よ。そうそう、私たちのところへ来たときは、デイヴィッドの雌豚のように、ぐでんぐでんでしたの。

嬢 どんな男の人ですの?

スマート夫人 あの夫婦は、兎の組み合わせのように、太ったのと痩せたのなの。夫はネズミイルカのように太っていて、妻はファラオの痩せ牛の一頭。婦人方とトム・ゴズリングが、カドリールを一組やろうと言い出したのに、加わるのを断ったの。『トランプなど、くそくらえ。あれは悪魔の本だ』と言ってね。

アンサオール夫人 鈍くて無作法な獣ね! まあ、神様が、あの方にはもっと才知を、私にはもっとお金を、お与えくださいますように。

嬢 まあ奥様、私なら、何をいただいても、そんな仲間とは付き合いませんわ。

スマート夫人 あらお嬢さん、慣れれば何でもないわ。それに、人付き合いがなければ、がらくたでも歓迎と、ご存じでしょう。

嬢 奥様は、お遊びになったの?

スマート夫人 ええ、勝ちましたの。だから、楽士の取り分と同じ、食べ物も飲み物もお金も、いただいて帰ったわ。

アンサオール夫人 ええ、それで、勝負の度胸のほうはいかが?

嬢 まあ、肘が痒いわ。寝床の相手が変わるのね。

スマート夫人 私は右手が痒いわ。お金が入るのね。

アンサオール夫人 私は右目が痒いわ。泣くことになるのね。

スマート夫人 お嬢さん、お友達のギディーさんは、ディック・シャトルをお払い箱にしたそうね。ほかの恋人でもできたの?

嬢 そんな話は聞きませんわ。

スマート夫人 あの男の人は、お金持ちでしょうに。きれいな水が手に入る前に、汚い水を捨てるなんて、馬鹿なことをしたと思うわ。

アンサオール夫人 お嬢さん、とてもすてきなガウンね。仕立ても美しいし、とても上品だわ。

嬢 奥様のお気に召して、うれしいわ。

アンサオール夫人 恋人は、有頂天になるわよ。あなたに、本当によく似合うもの。

嬢 ええ、もうこれまでのようには、我慢しないと決めたの。これで彼を引き寄せられないなら、悪魔が彼を引っさらえばよいわ、ということよ。

スマート夫人〔アンサオール夫人に〕 奥様、ピーター・マックワーム卿には、いつお会いになって?

アンサオール夫人 この二週間は、会っていませんわ。痛風で寝込んでいるそうです。

スマート夫人 どんな手当てをなさっているの?

アンサオール夫人 お医者の手当てに、うんざりして、今では我慢とフランネル以外は、何も使っていないそうですわ。

嬢 あの方と奥様は、仲がよろしいの?

アンサオール夫人 悪魔が聖水を愛するように、奥様を愛しているのは、ご存じでしょう。

嬢 いかさま師と大きな賭けをして、お金を巻き上げられているそうですわ。

アンサオール夫人 本当に、あの方からお金を騙し取ろうとすれば、早起きしなくてはね。あの方の合言葉は、抜け目なく。ダイヤモンドは、ダイヤモンドを切るのよ。

嬢 でも、確かな筋から聞いたのですけれど、一席で、百ギニーものお金を負けたそうよ。さあ、この話を、お金に替えてごらんなさい。

スマート夫人 それはそうと、プランプ夫人が、とうとう出産なさったのは、お聞きになって?

嬢 それで、神様は、何を授けてくださったの?

スマート夫人 さあ、わかるなら、当ててごらんなさい。

嬢 男の子でしょう。

スマート夫人 いいえ、外れ。もう一度、当ててごらんなさい。

嬢 それでは、女の子ね。

スマート夫人 当たったわ。あなた、魔女に違いないわね。

嬢 まあ奥様、紳士方は、美しい淑女は皆、魔女だとおっしゃいますけれど、私は、そんなつもりはありませんの。

アンサオール夫人 まあ、トム・プランプを結婚へ引き込めたとは、運がよかったわね。お尻を上へ向けて、お起きになったのね。

嬢 まあ奥様! どういう意味ですの?

スマート夫人 あらお嬢さん、私たちだけの間で、何を言っても、何でもないわよ。

嬢 ええ奥様。でも、生け垣には目が、壁には耳があると申しますわ。

アンサオール夫人 まあお嬢さん、仕方がないわ。私は昔ながらの正直者、何でもずばり、鋤は鋤と呼ぶのが好きだと、ご存じでしょう。

スマート夫人〔茶の挟み具をスプーンと取り違える。〕 あら、今日は、私の知恵が、羊毛集めに出かけて、上の空になってしまったようね。

嬢 あら奥様、正しいほうと、間違ったほうと、二つしかありませんでしたのに。

スマート夫人 お嬢さん、あなたとクープラー夫人は、茶碗と缶ほども、仲よしだそうね。

アンサオール夫人 ええ、お嬢さん、悪魔とケント伯爵ほども、仲よしですってね。

スマート夫人 そうそう、年老いた牝牛と干し草の山との間ほども、愛情たっぷりに、お会いになるそうよ。

嬢 ええ、たいそう好きなのは認めますけれど、目をむく程度のおかしさと、正真正銘の気違いとは、違いますわ。

スマート夫人 あの方、太りはじめたそうね。

嬢 太ったですって! ええ、鶏の額ほども、太っていらっしゃいますわ。

スマート夫人 本当のところ、アンサオール夫人――お許しくださいね――前にお会いしたときより、ほっそりなさったように思いますわ。

嬢 まあ奥様、私は、そうは思いません。でも奥様は、ヨブの慰め手のお一人なのね。

アンサオール夫人 まあ、私がどう見えても構わないわ。私は、もう売買済みですから。でも本当に、お嬢さん、あなたは、とてもご親切なので、あなたのために、私が美しい若い貴族だったらと思うわ。

嬢 まあ奥様、そのお心だけで、百万の価値がありますわ。

スマート夫人〔アンサオール夫人に〕 奥様、明日、お芝居に、お供させていただけません?

アンサオール夫人 奥様、私のほうこそ、お供申し上げるべきですわ。

嬢 すると私は、口やかましい者として、追い出されるのね。

〔紳士たちが、婦人たちと茶を飲みに入ってくる。

嬢 ネヴァーアウトさん、あなたがいなくて、とても困りましたわ。絞首刑にしなくてはというときには、いつも、いらっしゃらないのね。

ネヴァーアウト 私がいなくて困ったですって! お嬢さん、嘘をつくときは、どんな顔をなさるのです?

嬢 あなたが泣くときより、よい顔よ。礼儀作法も、何もあったものじゃない! 夏の酸っぱいエールのように、よくなっていらっしゃるわね。

ネヴァーアウト 失礼、お嬢さん。一人でお寝みになるとき、というつもりだったのですよ。

嬢 うまく、ひねったものね。もう一ひねりしたら、階段から転げ落としていたところよ。

ネヴァーアウト さあ、お嬢さん、たまには親切にして、コーヒーを一杯、頼んでください。

嬢 どうぞ、ご自分でいらして。古いものから、先に使い切りましょうよ。それに、私には行けません、脚に骨がありますから。

大佐 女は、エプロンの紐を見さえすれば、言い訳が見つかると申しますね。

ネヴァーアウト いや、お嬢さん、すっかり気難しくなられて、犬だって、ご一緒には暮らせませんよ。

嬢 ネヴァーアウトさん、ご気晴らしに申すまでですわ。どうぞ、お気を悪くなさらないでね。でも本当に、間もなく、大佐まで、ご自分と同じように、悪くするおつもりね。それでは、悪くなりようのないほど、悪くなってしまうわ。

ネヴァーアウト 閣下、お嬢さんは、このごろ、素晴らしく進歩したと、お思いではありませんか? お嬢さん、私が大佐を悪くしたら、私と同じように、大佐もお扱いください。私を愛するなら、私の犬も愛せ、とご存じでしょう。

大佐 何だって、トム? もう一度、言ってみろ。おれが犬なら、さあ、握手だ、兄弟。

〔ここで、盛大な、大声の、長い笑い。

スマート卿 それにしても諸君、なぜ、いつも、気の毒なお嬢さんに、それほど辛く当たるのかね? まったく、大佐とトム・ネヴァーアウト、君たち二人のうち一人は、二人ともならず者だ。

大佐 アンサオール夫人、明日、奥様のお宅で正餐をいただく栄誉に、浴したいと思っています。

アンサオール夫人 ええ大佐、できるなら、そうなさいな。

嬢 歓迎されれば、きっと、お喜びでしょうね。

大佐 お嬢さん、ありがとう。お礼に、朝、あなたとお茶を飲みに行きましょう。

嬢 大佐、その取引には、両方の言い分がございますわ。

大佐〔スマート夫人に〕 奥様は、たいそう立派な時計を、お持ちですね。どうぞ、末長くお使いください。

スマート夫人 大佐、私のものではありませんの。

大佐 では、どなたのものです?

スマート夫人 主人のものですわ。結婚した女には、結婚指輪と髪留めの紐以外、自分のものはないと申しますでしょう。でも、女が法律を作っていたなら、もっと、ましだったでしょうね。

大佐 この時計は、ずいぶん新しいようですね。

スマート夫人 いいえ、主人の家に、二十年もあったものですの。ただ、クウェアが、新しい外箱と文字盤を、つけてくれたの。

ネヴァーアウト それはまったく、四十年間、同じナイフを使っていると言い張った男と、同じですね。ただ、ときどき柄を替え、ときどき刃を替えただけだそうですが。

スマート卿 さてトム、悪魔にも、公平に取り分を与えるとすれば、君は、まさに女好きだね。

大佐 おや! 嗅ぎ煙草入れの蝶番を、壊してしまった。損したことは別にしても、もう、おれは、おしまいだ。

嬢 まあ大変、大佐! 本当に、四十シリング拾うほうが、よかったわ。

ネヴァーアウト 大佐、お慰めに申し上げられるのは、新しいものにして、修理なさらなくてはいけない、ということだけですね。

〔嬢、笑う。

大佐 おや、お嬢さん! 笑うなら、歯を見せずには、いられないのかい。

嬢 噛みつけないときにも、歯をお見せになるのは、大佐のほうだわ。まあ、エールを売るなら、こうでなくてはね。

ネヴァーアウト お嬢さん、とてもよい香りがしますね。香料を持ち歩いては、いらっしゃらないでしょうね。

嬢 香料ですって! いいえ、私の肌そのものの香りにすぎないと、ご承知くださいな。

大佐 トム、貧乏人の雌豚に、ぴったりの、よい鼻を持っているな。

スパーキッシュ卿 さて、紳士淑女の皆様、お互いに、ずいぶん機知を働かせているようですね。さあ、回しておやりなさい。しまいには、私の父へ回ってくるでしょう。

大佐 閣下、お嬢さんには、情け容赦がないと、ご覧のとおりです。結婚なさればよいのですがね。もっとも、灰色の牝馬のほうが優れた馬となって、女房が亭主を尻に敷きそうだ。

嬢 まあ、そのお望みを、神様がお許しになりますように。

スパーキッシュ卿 あの男を恐れることはないよ、お嬢さん。

嬢 まあ閣下、私が、梟を怖がるような、森で生まれた者だとお思いですの?

スマート卿 大佐、それに対して、何と答えるかね?

ネヴァーアウト いや閣下、わが友、大佐は、子供と機知を争うようなことは、お認めになりませんよ。

嬢 高慢な犬は、汚いプディングを食べるものよ。

大佐 まあ、お嬢さん、女の体で、最後に死ぬのは舌だと申すね。だから、口づけして、仲直りしよう。

嬢 手をお放しなさい! これは、あなたのご主人様のための、ご馳走です。

スパーキッシュ卿 まったく、大佐は、エールと菓子がお目当てですな。でも、結局のところ、お嬢さん、あなたは辛辣すぎるね。自分と対等な相手には、手を出さないでしょうに。

嬢 あの方たちが何を言っても、私には、片方の耳から入って、もう片方から出るだけだと、請け合いますわ。ただ、静かにして、お茶を飲ませていただきたいの。

ネヴァーアウト なるほど、ご自分の口に入らないものは、すべて無駄だと、お考えなのでしょうね。

嬢 ネヴァーアウトさん、一度でよいから、できるものなら、その舌をおさえてくださらない? そのおしゃべりでは、男の服を着た女かと思いますわ。

ネヴァーアウト いや、お嬢さん、舌をおさえている姿など、見苦しいでしょう。それに、指が涎だらけになりますよ。

大佐 お嬢さん、女が三人と鵞鳥が一羽いれば、市場ができるとは、お聞きになったことがないかい?

嬢 ネヴァーアウトさんか大佐が、その中にいらしたら、きっと、定期市になりますわ。

〔従僕が入ってくる。

スマート夫人 さあ、茶卓を片づけて、蝋燭を持ってきて。

アンサオール夫人 まあ奥様、まだ蝋燭は、おやめくださいませ。昼の光があるのに、「昼の光を燃やす」ような無駄は、よしましょう。

ネヴァーアウト お嬢さんのほうは、できるものなら、決して「昼の光を燃やす」無駄はなさらないと、誓ってもよいですね。

嬢 まあ、ネヴァーアウトさん、あなたのせいで、自分の耳さえ、聞こえなくなりますわ。

スマート夫人 でも奥様、もう「盲人の休日」という、薄暗い時刻ですわ。すぐに、私たちは皆、同じ色になってしまいますもの。

ネヴァーアウト それなら、お嬢さん、いちばん好きなところへ、口づけできますね。

嬢 ふん! 男の人たちは、口づけの話ばかり。

〔唾を吐く。

ネヴァーアウト おや、お嬢さん、涎が出てきましたか?

スマート夫人 明かりがないのは、暗闇にいるのと同じですから、どうぞ、蝋燭を持ってきて。女とリネンは、蝋燭の明かりで、いちばんよく見えると申しますわ。さて、紳士方、カドリールを一組、なさいません?

大佐 こちらの婦人お三方と、一組に加わりましょう。

アンサオール夫人 私は座って、立ち会いの見物をいたしますわ。

スマート夫人〔アンサオール夫人に〕 奥様は、決してお遊びにならないの?

大佐 いや、復活祭には、卵一つを賭けて、お遊びになることもあるでしょう。

ネヴァーアウト ええ、降誕祭には、口づけ一つを賭けてね。

アンサオール夫人 さあ、ネヴァーアウトさん、お黙りになって、編み物のほうに、心を向けて。

ネヴァーアウト 喜んで。私の妻に、口づけしても、どうぞ、ご自由に。

〔大佐、ネヴァーアウト氏、スマート夫人と嬢は、カドリールに移り、朝の三時まで、座っている。

〔一同、カードの席を立つ。〕

スマート夫人 まあ、お嬢さん、カードでは、こんなに運がよいのだから、ひどい夫を持つことになるわね。

ネヴァーアウト まったく、お嬢さん、ひどい札を配ってくださいましたね。お友達に、これほどひどい扱いをするなら、敵には、どうなさるのでしょう?

アンサオール夫人 まったく、まともな人は、もう寝ている時刻だわ。

嬢 本当に、目が「藁を引く」ほど、眠くてたまりませんわ。

〔ほとんど、眠りかけている。

ネヴァーアウト お嬢さん、眠ってしまうと、手袋を一組、せしめる人がいるかもしれませんよ。

大佐 おれは、うとうとの国、ノドへ向かうよ。

ネヴァーアウト まったく、私は、寝床のベッドフォードシャー行きです。

スマート夫人 揺すってもらわなくても、きっと、眠れるわ。

ネヴァーアウト お嬢さん、恋人の夢をご覧になりますように。

嬢 ええ、間違いなく。その方の夢を見るので、眠れないだろうと思いますわ。

大佐〔嬢に〕 お嬢さん、お送りする栄誉に、浴せますか?

嬢 いいえ大佐、ありがとう。母が、輿と従僕たちを、よこしましたの。ではスマート夫人、いつでもお望みのときに、雪辱の機会を差し上げますわ。

〔従僕が入ってくる。

従僕 奥様、輿がお待ちでございます。

〔一同、それぞれの輿に乗り、去る。

完。

解説注。

編者注

五頁、一行目。一六九五年。この日付と、それより前の「この四十余年」は、もちろん、本書が刊行された時点に合わせてある。成立時期の推定については、序論を参照。

編者注

五頁、十八行目。「because」は、「became」と読みたくもなる。きわめてありそうな誤植である。

編者注

六頁、四〜十行目。「十二……十六」。これなら、一七二三年に至ることになるが、それが『会話』のある稿の年代を示すのかどうかは、わからない。最初の「十二」は、上に述べた「会話論」と、ほぼ正確に一致することになる。

編者注

十二頁、十八行目。「舞踏教師アイザック」。スティールが『タトラー』第三十四号で、「私と同じ名のアイザック」と呼んだ人物。ソーム・ジェニンズの、次の二行詩で、最もよく知られている。

「アイザックのリゴードンも、同じほど長く、生きるだろう、
ラファエロの絵や、ウェルギリウスの歌と。」

その職業にふさわしく、フランス人であった。サウジーも、『博士』で彼に言及する。

編者注

十六頁、六行目。「喜劇その他の奇想的な著作」。才気あるワグスタッフ氏の言うように、そこには、それが「あちらこちらに、散らばって」見つかるだろう。

編者注

十六、十七頁。「グレアム、R公爵、E伯爵、H卿とH夫人」。こうした影の薄い人物を、誰かと同定しようとしても、あまり賢明ではあるまいと思う。しかし、大佐に与えられた年代は、長い熟成期間を示す手掛かりの一つである。チャールズ二世の治世の「終わりに近いころ」とは、一六八四年ごろだろう。そのころの上流紳士なら、ワグスタッフ氏が一七一〇年に書いたのであれば、その「仲間」であっても、十分あり得る。四半世紀後に書いたのであれば、そうはゆかない。

編者注

十八頁、二十四行目。善良なトーリーであり、国教会の信徒であるスウィフトは、バーネットを、決して許さなかった。

編者注

二十一頁、二行目。「Selling of Bargains」とは、質問その他の発言に、下品な答えを返すことである。ドーセットの、「心のこのベス、魂のこのベス」を歌う、魅力ある詩にも、その例がある。

編者注

二十四頁、二十六行目。「文体の大いなる装飾」、あるいは、別の言い方をすれば、「会話を大いに引き立てるもの」。自由思想と罵り言葉を扱う、これらの箇所では、スウィフトが、冒瀆に関する一貫した態度を守っていることに、注意されたい。

編者注

二十五頁、最終行。「詩人」。スウィフトの脳中の気まぐれ以外に、そんな人物が実在したのであれば、私は、知らない。

編者注

二十六頁、十三行目。「ジョン・ペロット卿」。アイルランド総督代理であり、頑健な軍人だったが、政治家としては不運だった。ロンドン塔で死んだが、そこでは、呪詛の技を磨き上げる暇も、理由もあったのだろう。

編者注

三十一頁、十六行目。「リリー」。もちろん、占星術師ではなく、ラテン語文法家である。

編者注

三十二頁、十二行目。「e’n’t」は、「ain’t」と同じだろうと、私は考える。

編者注

三十六頁、二十一行目。書物も学者も愛さぬワグスタッフ氏が、重々しい哲学者に言及するのは、奇妙に見えるかもしれない。しかし、彼の若いころ、上流紳士は、ホッブズを知っているか、知っているように見せるか、しなければならなかった。

編者注

三十八頁、二十六行目。「Please」。原本のとおり。

編者注

四十一頁。この頁で、スウィフトは、友人たちとともに、「愚物ども」を攻撃する。トム・ブラウンは、最初の草稿から登場し、おそらく、デニス、ウォード、ギルドンは、後に加えられたのではないか、と推測できる。

編者注

四十二頁、六行目。オゼルは、ラブレーの翻訳者。スティーヴンズは、私は知らないか、忘れてしまったし、『愚物列伝』も、彼を知らない。

編者注

四十四頁、二十六行目。「クラフツマン」。これは、最後期の追加の一つに違いない。『クラフツマン』は、ウォルポールをめぐる大きな抗争で、パルトニーと野党の機関紙だったからである。

編者注

四十六頁、十一、十七行目。「アレクサンドロスにも、もう一つ!」

編者注

五十頁、二十一行目。「Those of Sir Isaac〔サー・アイザックのそれら〕」。クレイク氏その他の人々が指摘したように、スウィフトの文法は、特に推敲していない文章では、いつも完璧とは限らない。しかし、これは、この序論のほかの箇所と同様、明らかに、ある人物になりきって書いている。学者ぶるよりも、上品ぶる、ワグスタッフという人物である。

編者注

五十六頁、二十六行目。「Wit at Will〔機知も思いのまま〕」。十六世紀末と十七世紀初めの、小作家はもちろん、大作家まで読んだ人なら、この二語、witとwillを、持ち出せるところならどこへでも持ち出す、際限のない語呂合わせや言葉遊びを、覚えているだろう。「Wit at will」という句は、その仲間の大半よりも、長く、決まり文句として生き残った。

編者注

五十八頁、三行目。「エリザベス女王は、お亡くなりになった」。細かなことを詮索する哲学者なら、この句の中で、いつアン女王が、その慈悲深い先輩女王に取って代わったか、調べるのを喜ぶかもしれない。当然ながら、『会話』が最初に構想されたときには、まだ、その時期は来ていなかった。

編者注

五十九頁、二行目。「プッシュピン」。この古い子供の遊びへの言及は、十七世紀には、たいそう多い。十八世紀には、少ないと、私は思う。

編者注

六十四頁、二十行目。「Vardi」。原著序の三十二頁を参照。そちらの形は、「Verdi」である。

編者注

六十五頁、二十八行目。「Lob’s pound」は、抜け出せぬ難儀を意味する。デッカーによる『結婚の十五の喜び』の翻案では、フランス語のdans la nasse〔罠の中に〕を訳すのに、用いられている。

編者注

七十二頁、一行目。「Map-sticks」の意味は、私には、わからない。

編者注

七十六頁、三、四行目。「Cooking」。すなわち、私の推測では、バターを塗ったパンを、茶の中へ入れること。このひどい習慣も、まだ、完全に廃れたわけではないと、私は思う。

編者注

七十六頁、下から二行目。「Head for the washing〔洗うための頭〕」。これは、英語では、すっかり死語になったと思う。もちろん、laver la têteは、フランス語では今も、叱る、怒鳴りつける、を意味する、立派な表現である。

編者注

七十九頁、三行目。「ある貴族」。グリムストン卿。その作品は、才人たちを、長い間、笑わせた。ポープの言う「馬鹿な貴族」である。この馬鹿げた芝居――もっとも、十三歳で書いたということだが――は、選挙のことで彼と争っていた、マールバラ公爵夫人によって、本人の意に反して、再刊された。「Lady Sparkish」は原本のとおりだが、おそらく、「Lady Answerall」の書き誤りである。

編者注

八十二頁、二十三行目。「神様だけが何かをご存じの、その何かの領主」。肩書を少し変えて、再び持ち出された爵位で、『ピーター・シンプル』の船仲間たちは、「ノズー卿」のために用いる。

編者注

百三頁、四行目。「Ld. Smart」は、「Ld. Sparkish」の誤植。

編者注

百三頁、十三行目。「タンティニーの豚」。普通、聖アントニウスの連れとされる豚。

編者注

百五頁、二十六行目。「Poles」。セント・ポールのこと。

編者注

百九頁、四行目。「Jommetry」。原著序を参照。

編者注

百十頁、七行目。お嬢さんの決まり文句の由来は、私には、わからない。ドライデンの『アンボイナ』のヒロイン、ジュリアが、それより先に使っている。

編者注

百十一頁、二十五行目。「Tansy」には、植物と、一種のカスタードという、二つの意味がある。比喩として説明するのに、その場面に、どちらが、よりふさわしいかは、読者に選んでいただこう。

編者注

百十二頁、十一行目。「Otomy」は、「anatomy」「skeleton」、つまり、骸骨の意。

編者注

百十四頁、十七行目。またも、「Ld. Sparkish」の代わりに、「Ld. Smart」とある。次の頁の最下部では、「Lady Smart」の代わりである。

編者注

百十七頁、最終行。「Smoke」は、「見る」の意。後の「twig」に当たる。

編者注

百十八頁、十三行目。「Lady Sparkish」は、おそらく、女主人である「Lady Smart」の代わり。

編者注

百二十一頁、最終行。「Inkle」。リボン、またはテープ。

編者注

百二十九頁、八行目。スコットは、私信の一つで、お嬢さんの、この力強い抗議を借用した。

編者注

百三十一頁、七行目。「Ld. Sparkish」は、明らかに、「Ld. Smart」とあるべきである。

編者注

百三十五頁、十四行目。「鹿肉のパイのために、お腹の隅を空けておいた」。ゴールドスミス博士が、不朽の詩句の中で、思い出した言葉。

編者注

百四十頁、十二行目。この台詞が、スパーキッシュ卿とアンサオール夫人の、どちらに割り当てられたものなのか、私には、わからない。

編者注

百四十三頁、一、三行目。不必要な二重記載だが、話者への割り当ては、正しい。

編者注

百四十五頁、九行目。「In my Tip」は、「飲んでいる最中に」の意。

編者注

百六十一頁、四行目。「Weily rosten」は、おそらく、「brosten」、すなわち、「ほとんど破裂しそう」とあるべきだろう。

編者注

百六十二頁、九行目。スマート卿が、この台詞を口にしてもよいのだが、答えから判断すると、その奥方の台詞のようである。

編者注

百六十五頁、十三行目。「従兄ドライデン」との確執を、決して忘れなかったスウィフトが、「詩人の腐敗は、批評家の誕生」という言葉に、半ば当てこすりを試みていたのかどうか、私には、わからない。

編者注

百七十六頁、八行目。「Concealer〔隠す者〕」。「Counsellor〔法律顧問〕」をもじった、見事な掛詞。

編者注

百八十一頁、二十四行目。「脚に骨がある」。脚の、ある種の痙攣を指す、この奇妙な句は、まだ、廃れていない。

編者注

百八十三頁、二十一行目。「クウェア」。デイヴィッド・Q、一七二四年没。リピーター時計を発明し、十八世紀を通じて、後に時計職人の間でトンピオンが占めたのと同じ、また、銃職人の間でジョー・マントンが、長く占めたのと同じ位置を占めていた。一目おかれ、引き合いに出される名であった。

編者注

百八十四頁、二十四行目。「回しておやりなさい、私の父へ来るでしょう」。新たな革命を期待し、騒動を起こすために用いる、よく知られたジャコバイトの隠語。

訳注

訳注1

伏字の読みについて。一七三八年初版のsh——nは糞のついた意、p——sは小便、A——は尻の意、shiddle-come-sh——は軽蔑の言葉として、文脈から訳した。日本語の意味を示すための解釈であり、初版の省略文字を英語本文へ復元したものではない。一八九二年版で伏せられたLouse二例とWhoreは、初版に全綴りがあるため、その綴りを採った。

訳注2

話者名について。底本では、人物表にいないスパーキッシュ夫人やアンサオール卿の名が現れ、ほかにも話者の取り違えを編者が指摘または推測する箇所がある。本訳では本文の名義を残し、編者の指摘は末尾の説明注に訳した。編者自身も確定していない箇所を、推測で別人の発言に直してはいない。

訳注3

原著序の否定語について。この箇所の原文はnot〔…ない〕である。直後には上品な略音の実例を並べているが、一七三八年初版にも同じ否定語があるため、肯定の意味へ直さずに訳した。

訳注4

「処女のしるしが明かりを遮る」は、ナイフを見失った嬢に処女性を持ち出してからかう言葉と解した。句全体の当時の詳しい含意は未確定である。

訳注5

原文は「プラックは何と言う?」。プラックには肝っ玉・度胸の意味があり、ここではカード勝負についての応答と解した。句全体の当時の詳しい含意は未確定である。

訳注6

原文は「あなたの気晴らしを願う」。続く「気を悪くしないで」に照らし、軽口としてお聞きください、という応答として訳した。句全体の当時の用法は未確定である。

訳注7

「昼の光を燃やす」は、まだ明るいうちに蝋燭を灯す無駄をいう。この句を嬢に返すネヴァーアウトの具体的な含みは未確定である。