文学 / ジョナサン・スウィフトステラの誕生日、一七二二年Stella’s Birthday

『ステラの誕生日、一七二二年』の装画。誕生日の詩を書く詩人と酒瓶。

文学 / ジョナサン・スウィフト

書誌情報を表示

原著・底本

原題
Stella’s Birthday
著者
ジョナサン・スウィフト
底本
Henry Morley編、Cassell & Company、1886年版。Project Gutenberg eBook 623旧HTML、公開日表記2007年1月15日。
編者
ヘンリー・モーリー
原典の利用条件
パブリックドメイン(米国)
Project Gutenberg 利用条件
英語Wikisource寄稿者 — CC BY-SA 4.0
収録範囲
1886年モーリー編英語版所収の原題、副題、本文全80行・九連と底本注三件。

日本語訳

利用条件
CC0 1.0
翻訳原稿
原稿を見る

表紙

装画
日本人文
利用条件
CC0 1.0

本書のために制作した独自装画。原刊の装丁とは異なります。

追加日: 2026-10-21 / 更新日: 2026-10-21

1886年モーリー編英語版所収の原題、副題、本文全80行・九連と底本注三件。

ステラの誕生日

長く埋めてあった大瓶の葡萄酒を、この日、掘り出した。一七二二年。

年ごとの詩を、今年も納めようと決めた。
ステラの日には、それが務めである。
紙とペンとインクをそろえ、
まじめくさって座り込み、考えた。
爪をかみ、頭をかいたが、
機知も空想も、逃げてしまっていた。
いつもより、もっと苦しんだあげく、
何かが、のろのろ頭から出てきても、
どれほど時間がかかったか、神のみぞ知る、
それを意味と韻の形にするまでには。
しかも、さらに困ったことに、
長く考えるほど、空想は悪くなる。

霊感をくれる九柱の女神に見放され、
私は、アポロンの社の前で待った。
今日、ステラを詩にたたえなかったら、
世間が何と言うだろうかと、神に訴えた。
二人のジャックや、ロビンがやって来たら、
恥ずかしくて、どれほど顔を隠したくなるか。
フォードは眉をひそめ、ジムは横目で笑い、
いたずら者のSh――rは、せせら笑って、
こう毒づくだろう、いつも本当とは限らぬぞ、
「アポロンは年に一度は笑う」というのも、と。
私は、二十回も言い切ってきた、
ポイボスが、私の韻文を助けてくれると。
天から私に、霊感を授けてくれ、
神と私は、つうと言えばかあの仲なのだと。
だが、その後の私が、これほど鈍く、干からびていれば、
皆、あれは全部、詩人の勝手な言い分だと言うだろう。
私が神の助けを自慢しても、
ユーズデンにも、同じだけの権利があると思うだろう。

それに、私が頼むのは、ステラのためではない。
危ないのは、私自身の評判なのだ。
ステラは、きっと誰かにたたえられるだろう、
私には、脇で眺めることしかできなくても。

アポロンは、少し考えた後、
一言も違えず、こう答えた。

たとえお前が、老メトシェラほど長生きし、
私の与える着想を、一つ残らず使っても、
彼女が年を取るたび、毎年歌い続けても、
その徳の半分は、なお語られずに残るだろう。
だが、正直に言えば、こうも愚鈍がはびこっているのだ、
アイルランドの首席司祭という連中の間じゅうに。
私は毎日、こんな寄せ集めに、耳をつぶされている、
W――師、D――l師、それにS――師と。
だから、どの首席司祭が来たところで、
留守だと伝えよ、と命じてある。
お前の声が、大きくなかったなら、
やはり群衆に紛れて、通り過ぎたはずだ。

だが今は、お前の危機を救うために、
ブレント夫人に、頼むがよい。[2]
巫女である彼女は、心得ている、
地の神の、お気に召す儀式を。
まず、九方を見回して、立たせるがよい、
古い火かき棒を、手に持たせて。
ぐるりと円を、描かせるがよい、
ソーンダーズの[3]酒蔵の、地面の上に。
用心深いアーチーに[4]、鋤を持たせ、
慎重に、土を掘らせるがよい。
ステラには、目を凝らして見守らせよ、
そばには、レベッカ、フォード、グラットンたちを。

見よ、あそこに横たわる瓶を、
首を高く、空へ向けている!
風の神と、火の神が、
力を合わせ、その不思議な誕生を助けた。
そしてバッカスは、詩人のために、
力強く、霊感をもたらす液を、注ぎ込んだ。
見よ、墓から、その瓶を引き上げると、
大きな腹を、後ろに引きずってくる。
その大きな腹の中に、収められているのは、
頭脳のための、無上の妙薬なのだ。

運命が許せば、すぐに見つかる。
さもなければ、ブレント夫人が千人、
鋤を携えたアーチーが一万人いようと、
冥王プルートーの陰の国まで、むなしく掘るばかりだ。

そこから、たっぷり一杯を、注ぎ込むがよい。
それから大胆に、詩の女神を呼べ。
(だが、先にロバートを膝まずかせ、
澱を入れぬよう、用心して、酒を移させよ。)
女神は、お前の呼び声に応えて現れ、
ステラをたたえる詩で、今年を飾るだろう。

訳注

訳注

底本で途切れたsaは、照合した一八〇一年版のsayにより「言う」と読んだ。Rebeceaは同版のRebeccaを参照してレベッカと表記した。伏せられた人物名は底本どおりに残した。

底本注

注 2

[2] 家政婦。

注 3

[3] 執事。

注 4

[4] 従僕。