文学 / ジョナサン・スウィフト書物合戦The Battle of the Books
文学 / ジョナサン・スウィフト
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原著・底本
- 原題
- The Battle of the Books
- 著者
- ジョナサン・スウィフト
- 原典の利用条件
- パブリックドメイン(米国)
Project Gutenberg 利用条件 - 収録範囲
- 1886年Cassell版の書店主の言葉・著者序・合戦本文・ベントリーとウォットンの挿話。底本の途中と末尾の欠落表示も含む。
日本語訳
表紙
- 装画
- 日本人文
- 利用条件
- CC0 1.0
本書のために制作した独自装画。原刊の装丁とは異なります。
追加日: 2026-10-21 / 更新日: 2026-10-21
1886年Cassell版の書店主の言葉・著者序・合戦本文・ベントリーとウォットンの挿話。底本の途中と末尾の欠落表示も含む。
書店主から読者へ
この論考が『樽物語』と同じ著者の作であることに疑いはないが、書かれた時期もほぼ同じと思われる。つまり、古代と近代の学問をめぐる、あの有名な論争が行われていた一六九七年である。論争の発端は、この主題についてウィリアム・テンプル卿が書いた一篇の論考だった。それに神学士W・ウォットンが反論し、ベントリー博士の付論を添えた。付論は、テンプル卿が先の論考で高く称えたイソップとファラリスについて、著者としての信用を覆そうとしたものである。その中で博士は、今はオラリー伯となっているチャールズ・ボイル閣下が刊行したファラリスの新版を、激しく攻撃した。ボイル氏が豊かな学識と才知をもって詳しく反論すると、博士も大部の再反論を出した。この争いでは、テンプル卿ほどの人格と功績を持つ人が、何の挑発もしていないのに、先の二人の聖職者から手荒く扱われるのを見て、世間は大いに憤った。ついに争いの終わりが見えなくなると、わが著者の言うところでは、セント・ジェームズ図書館の本どもが、自分たちこそ主たる当事者であると考え、この論争を引き受けて、雌雄を決する戦いに及んだ。だが原稿は、不運か風雨のためか、ところどころ欠けており、どちらが勝ったかはわからない。
読者には、ここで文字どおり本だけを指していることを、人物に当てはめぬよう、ご注意いただかねばならない。たとえばウェルギリウスとあっても、その名の有名な詩人本人を意味するのではなく、ただ、その詩人の著作を印刷した何枚かの紙を、革で綴じたものだけを意味する。ほかも同様である。
著者の序
風刺は一種の鏡であって、見る者はたいてい、そこに誰の顔でも見つけるが、自分の顔だけは見つけない。風刺が世間で好意的に迎えられ、腹を立てる者がほとんどいないのは、主としてそのためである。だが、そうならなかったとしても、大した危険はない。長い経験から学んだことだが、私が怒らせることのできた程度の頭脳から、害を受ける心配はないからだ。怒りや激情は、肉体の筋には力を加えても、精神の筋を緩ませ、そのあらゆる働きを弱く、無力にしてしまうとわかっている。
上澄みを一度すくえば、それきりという頭もある。持ち主は慎重にすくい取り、ささやかな蓄えを倹約して使うがよい。だが何より、自分よりすぐれた者の鞭の下へ差し出さぬように気をつけることだ。そんなことをすれば、すべてが泡立って、くだらないおしゃべりとなり、あとには何も補充されないだろう。知識のない才知は、一晩で表面にたまるクリームのようなもので、巧みな手にかかれば、たちまち泡に立てられる。しかし、いったんすくい取れば、その下に現れるものは、豚に投げてやるよりほかに使い道がない。
去る金曜日、セント・ジェームズ図書館において、古代と近代の書物の間に戦われた合戦の、完全にして真実なる報告
年代の記録を、しかるべく用心深く調べる者は、戦争は高慢の子であり、高慢は富の娘だと、記されているのを見いだすだろう。前の主張は、すぐ認めてもよいが、後の主張には、そう容易に賛成できない。高慢は、父方か母方、ときには両方で、乞食や欠乏と近い親類だからである。自然に即して言えば、皆が十分に持っているとき、人間同士が争うことは、めったにない。侵略は、普通、北から南へ、つまり、貧乏から豊かさへ向かう。争いの、最も古く自然な原因は、情欲と貪欲である。高慢の兄弟か、傍系の枝とは認めるにしても、確かに欠乏の子なのだ。政治を論じる書き手の言い方を借りれば、犬の共和国を見てみよう。もともとは多数者の制度らしいが、十分に食べたあとでは、国家全体が、いつも、この上ない平和にある。ところが、有力な犬が、大きな骨を一本、手に入れると、内紛が起こる。少数へ分ければ寡頭制へ落ち、自分で独り占めすれば、僭主政へ走るのである。雌のどれかが発情するとき、我々の見る争いにも、同じ議論が当てはまる。この微妙な場合には、所有権を立てることは不可能で、占有の権利は共有されるので、嫉妬と疑惑が、あまりに満ちあふれ、その通りの共和国全体が、市民と市民、すべてが敵となる、明白な戦争状態へ陥る。ほかより勇気、指揮の腕、あるいは幸運を持つ一匹が、獲物を奪い、ものにするまで、そうなのだ。すると当然、ひどい腹立ち、妬み、幸運な犬への唸り声が起こる。さらに、こうした共和国が、侵略にせよ防衛にせよ、外国との戦争へ入るところを見れば、その根拠ときっかけにも、同じ議論が役立つとわかる。攻撃する側には、高慢とともに、何らかの程度の貧しさや欠乏が、大きく関わるのだ。それが実際のものか、思い込みかは、この場合、何の違いも生まない。
この図式を受け取り、知性の国家、あるいは学問の共和国へ、形を変え、当てはめようとする者は、いま武器を取っている、二大党派の不和の、最初の原因を、すぐに見いだし、どちらの主張が正しいかについても、妥当な結論を出せるだろう。しかし、この戦争の結末や成り行きは、そう容易に推測できない。目下の争いは、双方の党派の熱血漢によって、ひどく燃え上がり、どこかの主張は、あまりに法外で、和解の申し出を、少しも受け入れないからだ。近所の古い住人が断言するのを聞いたところでは、発端は、パルナッソス山の、二つの頂の一方にある、小さな土地だった。高く広いほうの頂は、昔から、古代派と呼ぶ住人たちが、平穏に占有し、もう一方は、近代派が持っていたらしい。だが近代派は、いまの場所が気に入らず、古代派へ使節を送って、大きな迷惑を訴えた。そちらのパルナッソスの高さが、こちらの眺めを、とくに東のほうへ向かって、すっかり台無しにするというのである。そこで、戦争を避けるため、次の二つのうち、どちらかを選べと申し出た。古代派が、身の回りの物とともに、低い頂へ移り、近代派が、恵み深くも譲ってやるその場所と引き換えに、自分たちの場所へ、近代派を進ませるか。それとも、近代派が鋤と鍬を持って来て、好きな高さまで山を削り、平らにすることを、許すかである。古代派は答えた。まったく自発的な恩恵から、これほど近い隣に住むのを認めた入植者に、このような口上を受けるとは、少しも思わなかった、と。自分たちの住まいについては、もともとの住人なのだから、移転や明け渡しの話をされても、理解できぬ言葉だ、と。こちらの山の高さが、近代派の眺めを狭めるなら、どうしようもない不利だが、そこから得る日陰や風よけで、その損害なるものは、もし損害なら、十分すぎるほど埋め合わされていないか、考えてほしい、と。平らにしたり、掘り崩したりすることについては、こちら側の山が、すべて一枚岩だと、知っていて提案するなら愚か、知らずにするなら無知である。岩そのものには傷もつかず、道具と心が砕けるだけだからだ、と。だから、古代派の山を壊す夢を見るより、自分たちの側を高くするよう勧める。それなら、許すばかりでなく、大いに力も貸そう、と。近代派は、これをすべて、ひどく憤って退け、相変わらず、二つの方策の一方を言い張った。こうして、不和は、長く頑固な戦争となった。一方は、決意と、ある指導者や同盟者の勇気によって支えられ、他方は、数の多さによって、負けるたびに、絶えず補充を送り込んで支えた。この争いでは、幾筋もの小川ほどのインクが使い果たされ、双方の毒気は、途方もなく増した。ここで心得ておくべきことだが、インクは、学者の、あらゆる合戦における、主要な飛び道具である。羽根ペンという、一種の機械を通して運ばれ、双方の勇士が、無数のそれを、等しい巧みさと激しさで敵へ投げつける。まるで、山嵐の戦いのようだ。この悪性の液体は、発明した技師が、没食子と緑礬という、二つの材料で作った。その苦さと毒で、戦う者の気質に、幾らか似せるとともに、それを煽るためである。そして、ギリシア人が、戦いのあと、勝敗で一致しないとき、双方に戦勝の記念を立て、負けた側も、顔を保つため、同じ費用を喜んで出したように――称賛すべき古い習慣で、近ごろ、幸いにも兵法のうちに復活した――学者も、激しく血なまぐさい論争のあと、どちらが負けようと、双方で、戦勝の記念を掲げる。そこには、主張の正しさ、ある合戦の完全で公平な報告、そして、記念を立てた側の勝利が、いかに明白だったかが、大きく書かれている。世間では、論争、議論、再反駁、短い考察、答弁、応答、所見、省察、異論、論駁など、さまざまな名で知られる。ごく数日の間、本人か代理人によって、公の場所へ掲げられ、通行人の目にさらされる。その中で、最も大きく、主だったものは、図書館という倉庫へ移され、特に割り当てられた一角へ置かれ、その後は、論争書と呼ばれ始めるのである。
こうした書物には、勇士の生前、その気魄が、驚くべき仕方で注ぎ込まれ、保存される。そして、死後は、その魂が移り住み、書物へ命を与える。少なくとも、よくある意見は、そういうものだ。しかし私は、図書館も、ほかの墓地と同じだと信じる。ある哲学者たちの言うところでは、墓の上には、ブルートゥム・ホミニス、すなわち、人間の獣的な部分と呼ぶ、ある霊が漂い、体が腐り、塵や虫になると、消えるか、溶けてなくなるという。同じように、どの本の上にも、落ち着かぬ霊が取りつき、塵や虫が、それを捕らえるまで続くと言えよう。ある本では、数日でそうなるが、ほかでは、もっと遅い。したがって、あらゆる本のうち、最も乱暴な霊の取りつく論争書は、いつも、ほかと別の宿へ閉じ込められてきた。互いに暴力を振るうのを恐れ、先祖たちは、丈夫な鉄鎖で、平和を守るよう縛るのが、賢明だと考えた。その工夫が、初めて必要になったのは、こういうことからだった。スコトゥスの著作が初めて出たとき、ある図書館へ運ばれ、宿を割り当てられた。ところが、落ち着くやいなや、師のアリストテレスを訪ね、二人で相談し、プラトンを力ずくで捕らえ、八百年近く、平穏に住んできた、神学者たちの中の古い座から、追い出した。企ては成功し、この二人の簒奪者は、それ以来、その代わりに君臨している。しかし、今後の静けさを保つため、大型の論争書は、すべて鎖で、しっかり留めねばならぬと、定められたのである。
この方策で、図書館の公共の平和も、確かに保たれただろう。近年、先に述べた、パルナッソスの高い頂をめぐる学者の戦争から、いっそう悪性の霊を吹き込まれた、新種の論争書が現れなかったならば。
こうした本が、初めて公共の図書館へ入れられたとき、機会を見て、関係者の幾人かに、こう言ったのを覚えている。よほど気をつけない限り、行く先々で騒ぎを起こすに違いない、と。だから、双方の勇士を、一組ずつ結ぶか、ほかの仕方で混ぜ、反対の毒を混ぜるときのように、その毒気を、互いの間で使わせるのがよいと、忠告した。私は、悪い予言者でも、悪い助言者でもなかったらしい。ほかならぬ、この注意を怠ったことが、先週の金曜日、国王の図書館で、古代と近代の書物の間に起きた、あの恐ろしい合戦の原因となったからだ。いま、この合戦の話は、誰の口にも新しく、世間は、その細部を知ろうと、大きな期待を寄せている。そこで、歴史家に必要な資格を、すべて備え、どちらの党にも雇われていない私は、友人たちの、やかましい催促に応じ、完全で公平な報告を書くことに決めた。
王室図書館の守護者は、たいへん勇猛な人物だったが、とりわけ、人情で名高かった。かつて近代派の激しい闘士として、パルナッソスの戦いでは、高い岩の小さな隘路を守る、古代の首領二人を、自分の手で打ち倒すと誓ったことがあった。だが、登ろうとすると、不運にも、自分の重さと、中心へ引かれる傾きに、ひどく妨げられた。近代派の者には、きわめてありがちな性質である。頭が軽いので、思弁では、驚くほど身軽で、登るのに高すぎるものなど、考えもしない。しかし、実行へ移すとなると、尻や踵のあたりに、たいへんな重みを発見するのである。こうして企てに失敗し、失望した闘士は、古代派に、ひどい恨みを抱いた。そこで、敵側の本へ、あらゆる好意を示し、最も美しい部屋へ置くことで、晴らそうとした。その一方で、大胆にも古代派の味方を名乗る本は、暗い隅へ生き埋めにされ、ほんの少しでも機嫌を損ねれば、外へ追い出すと脅された。そのうえ、このころ、図書館の本の置き場所が、奇妙に混乱し、さまざまな理由が挙げられた。近代派の棚から、ひねくれた風が、学問の埃を大量に吹き落とし、管理人の目へ入れたせいだ、とする者もいた。別の者は、スコラ学者の本から虫を拾い出し、新鮮なまま、空き腹へ飲み込む癖があるのだ、と断言した。その虫の、あるものは脾臓へ落ち、あるものは頭へ登り、両方を大いにかき乱したという。最後には、暗闇の図書館を、あまりに歩き回ったため、配置を、すっかり頭から失ったのだ、と主張する者もいた。そのため、本を戻すと、間違いやすく、デカルトをアリストテレスの隣へ押し込み、気の毒なプラトンは、ホッブズと『七賢人物語』の間へ入り、ウェルギリウスは、片側をドライデン、もう片側をウィザーに挟まれていた。
その間、近代派に味方する本どもは、仲間から一冊を選び、図書館全体を巡って、党の数と力を調べ、段取りを整えさせた。使者は、すべてを、たいそう熱心に行い、兵力の名簿を持ち帰った。総勢五万、主として軽騎兵、重装歩兵、傭兵からなっていた。歩兵は、概して装備が悪く、衣服は、さらにひどかった。馬は大きいが、ひどく痩せ、元気もなかった。もっとも、古代派との取引で、まずまず身支度を整えた者も、わずかながらいた。
事態が、こうして沸き立つ間、不和は、ひどく高まり、双方で激しい言葉が交わされ、悪感情が、たっぷり育った。ここで、近代派の棚一つ分に、押し込まれていた、孤立した古代派の一冊が、公平に論じ合おうと申し出た。長い占有と、思慮深さ、古さ、そして、とりわけ、近代派へ尽くした大きな功績から、優先権は自分たちにあることを、明白な理性で証明しよう、というのである。しかし、相手は前提を否定し、そういう話なら、二者のうち、近代派のほうが、ずっと古いのは明白なのに、古代派が古さを主張するとは、どうしたことかと、大いに不思議がる様子だった。古代派に負う恩があるという点も、すべて否認した。「たしかに」と彼らは言った。「我々の党の、わずかな者が、卑しくも、そちらから生活の糧を借りたと、聞いてはいる。だが、残りの、はるかに多い大多数、とりわけ、我々フランス人とイングランド人は、そんな低い模範に屈するどころか、この瞬間まで、六語の言葉さえ、互いに交わしたことがない。我々の馬は、自分で育て、武器は、自分で鍛え、衣服は、自分で裁ち、縫ったものなのだから」。たまたま、次の棚の上にいたプラトンは、話す者たちが、先ほど述べた、ぼろぼろのありさまで、駄馬は痩せ、脚を悪くし、武器は腐った木、鎧は錆び、その下は、ぼろしかないと見て、大声で笑った。そして、いつもの陽気な仕方で、――にかけて、彼らを信じる、と誓った。
ところで、近代派の、先の交渉は、敵の注意を逃れるほど、ひそかには行われなかった。最初に優先権の論争を持ち出して、争いを始めた弁護者たちが、戦いになると、あまり大声で話したので、ウィリアム・テンプル卿が、たまたま聞きつけ、ただちに古代派へ知らせたのである。古代派は、散らばる軍勢を集め、防御に徹すると決めた。すると、近代派の幾人かが、相手の党へ走り、その中には、テンプル自身もいた。このテンプルは、古代派のもとで教育を受け、長く交わったため、近代派のうち、最も深く気に入られており、彼らの最大の闘士となった。
事態が、この危機に達したとき、重要な出来事が起こった。大きな窓の、いちばん高い隅に、ある蜘蛛が住んでいたのである。無数の蠅を滅ぼして、最大級の大きさに膨れ、獲物の残骸は、巨人の洞穴の前の人骨のように、宮殿の門前へ散らばっていた。城へ通じる道は、回転する防柵や、杭柵で守られ、すべて近代式の築城法に、ならっていた。幾つもの中庭を通ると、中央へ出て、城代自身の住まいが見えた。どの通路にも向いた窓と、獲物を捕らえ、防御するため、いつでも出撃できる門を備えていた。この館で、しばらくの間、平穏と豊かさの中に住み、身には、上からの燕、宮殿には、下からの箒の危険もなかった。そこへ、運命の気まぐれで、さまよう蜜蜂が導かれた。割れた窓ガラスが、その好奇心に姿を現したので、入って来たのである。しばらく飛び回った末、たまたま、蜘蛛の城の外壁の一つへ止まった。壁は、釣り合わぬ重みに負け、土台まで崩れた。三度、通り抜けようとし、三度、中心が震えた。中の蜘蛛は、恐ろしい震動を感じ、初めは、自然の最後の崩壊が近づいたのか、それとも、何千もの臣民を敵に殺され、食われた、ベルゼブブが、全軍を率いて仇を討ちに来たのかと思った。しかし、ついには、勇ましく出て、運命に会おうと決めた。その間に、蜜蜂は、絡みつくものから逃れ、少し離れた安全な場所で、翼を整え、ぼろぼろの蜘蛛の巣の残りを、払いのけていた。このころ、蜘蛛も思い切って外へ出た。要塞の亀裂、廃墟、崩壊を見ると、ほとんど正気を失い、狂人のように怒鳴り、悪態をつき、裂けそうなほど膨れた。やがて蜜蜂を見て、賢くも、結果から原因を推した。二匹は、互いに顔を知っていたのである。「疫病に引き裂かれろ」と言った。「この散らかしようは、てめえの仕業か。前を見られなかったのか、この罰当たりめ。悪魔にかけて、おれには、てめえのあと始末と修理しか、仕事がないと思うのか」。「言葉は穏やかに、友よ」と、身繕いを終え、からかう気になっていた蜜蜂は言った。「握手して、約束しよう。二度と、君の寝ぐらへ近づかない。生まれてこのかた、こんな、ひどい目には遭ったことがない」。「こら」と蜘蛛は答えた。「敵に向かって、外へ出ないという、家の古いしきたりを破るのでなければ、行って、もう少し礼儀を教えてやるところだ」。「どうか、辛抱したまえ」と蜜蜂は言った。「さもないと、身の蓄えを使い果たす。見たところ、家を修理するのに、全部、要るかもしれないよ」。「悪党め、悪党め」と蜘蛛は答えた。「それでも、世界中から、てめえより、ずっと上だと認められる者には、もう少し敬意を払うべきだろう」。「まったく」と蜜蜂は言った。「その比較は、なかなか、よい冗談になる。この、見込みのありそうな論争で、世間が、お使いになる理由を、ぜひ教えてくれたまえ」。そこで蜘蛛は、論争家の大きさと構えに膨れ上がり、真の論争精神をもって、議論を始めた。心底、罵り、怒り、相手の答えや異論には、少しも構わず、自分の理由だけを押し進め、いかなる説得にも屈しまいと、あらかじめ、心に決めていた。
「てめえのような、ならず者と比べて、自分を貶めるつもりはないが」と蜘蛛は言った。「家も住まいも、元手も相続財産もない、浮浪者以外の何者だ。生まれたときから持っているのは、翼一対と、うなる笛だけではないか。暮らしは、自然からの、やみくもな略奪だ。野原や庭の海賊で、盗むためなら、菫でも、蕁麻でも、同じように奪う。それに引き換え、おれは、家に住む動物で、自分の中に、生まれつきの元手を備えている。この大きな城は、数学の進歩を示すために言うが、すべて、おれ自身の手で建て、材料も、すっかり自分の体から取り出したのだ」。
「少なくとも、翼と声は、正直に手に入れたと認めてくれて、うれしいね」と蜜蜂は答えた。「それなら、飛ぶことと音楽については、天にだけ恩があるらしい。そして、摂理は、最も高貴な目的を定めずに、こんな二つの賜物を、与えはしなかったろう。たしかに、野原や庭の、あらゆる花を訪ねる。だが、そこから何を集めても、自分を豊かにするだけで、美しさ、香り、味を、少しも傷つけない。さて、君の建築術や、その他の数学の腕前には、あまり言うことがない。その建物には、私の知る限り、十分な労苦や秩序も、あったかもしれない。だが、双方の悲しい経験から、材料が駄目なのは、あまりに明白だ。これからは、戒めとして、方法と技術だけでなく、耐久性と素材も、考えてもらいたい。君は、ほかの生き物には、一切恩がなく、すべて自分から引き出し、紡ぎ出すと自慢する。つまり、出るものから、器の中の液体を判断してよいなら、胸に、たっぷりの汚物と毒を蓄えているのだ。生まれつきの、そのどちらの元手も、少なくしたり、貶したりするつもりは、決してないが、それを増やすためには、多少、よその助けに恩があるのではないかと思う。持ち前の汚物も、下から舞い上がる掃き屑で、増し分には事欠かない。また、一匹の虫が、別の虫を殺す毒の、一部を供給している。だから、要するに、問題は、どちらが、より高貴な存在かということに尽きる。自分の周囲四インチを、怠けて眺め、思い上がった高慢で、自分自身を糧とし、自分だけで子を生み、すべてを糞と毒へ変え、蠅殺しと蜘蛛の巣しか生まないものか。それとも、広く巡り、長く探し、大いに学び、正しく判断して、物事を見分け、蜜と蝋を、持ち帰るものか」。
この論争は、あまりの熱意、騒ぎ、激しさで行われたので、下で武器を取る、二党の本どもは、しばらく黙り、どう決着するか、息を詰めて待った。結末は、長くは定まらぬままでいなかった。蜜蜂は、これほどの時間の損失に、辛抱できなくなり、返事を待たず、まっすぐ薔薇の花壇へ飛び去った。そして、演説家のように、心を集中し、まさに、ほとばしり出ようとしていた蜘蛛を、残したのである。
この事態で、初めに沈黙を破ったのは、イソップだった。近ごろ、図書館の支配者の人情の、奇妙な作用によって、最も野蛮に扱われていたのである。扉を破り取り、頁の半分をひどく傷つけ、近代派の棚の中へ、鎖で、しっかり縛りつけたのだった。そこで、争いが、どれほど高まろうとしているか、すぐ見て取り、あらゆる技を試し、千もの姿へ変わった。ついに、借り物の驢馬の姿になると、支配者は、近代派の一冊と間違えた。そのおかげで、古代派へ逃れる時と機会が生まれ、ちょうど、蜘蛛と蜜蜂が、論争に入るところへ来た。たいそう楽しく、それを聞き、終わると、生まれてこのかた、窓の中の件と、棚の上の件ほど、ぴったり対応する二つの場合を、知ったことはないと、いちばん大きな声で誓った。「二人の論者は」と言った。「見事に論争を進め、双方で言うべきことの、力をすべて取り込み、賛否のあらゆる議論の中身を、尽くした。双方の推論を、目下の争いへ合わせ、蜜蜂が学識深く論じた、それぞれの労働と実りを、比べ、当てはめさえすればよい。すると、結論は、近代派と我々へ、明白かつ、ぴたりと当てはまる。さて、諸君、あの蜘蛛の態度、身のこなし、逆説ほど、近代的なものが、かつてあっただろうか。彼は、兄弟たる諸君と、自分自身のため、生まれつきの元手や、大きな天才を、自慢たっぷりに論じる。すべてを自分から紡ぎ、吐き出し、外からの恩や助けを認めるのを、軽蔑する。それから、建築の腕と、数学の進歩を見せびらかす。それに対し、我々古代派に雇われた弁護人たる蜜蜂は、こう答えるのがよいと考える。近代派の生んだものから、その大きな天才や発明を判断してよいなら、どちらを自慢するにも、とても、顔を保てまい。好きなだけ、秩序と技術をもって、構想を築くがよい。しかし材料が、自分のはらわた、すなわち近代の頭脳の腹から紡いだ、汚物にすぎないなら、建物は、ついには蜘蛛の巣となる。その長持ちも、ほかの蜘蛛の巣と同じく、忘れられ、放置され、隅に隠れたためと、考えられよう。ほかに近代派が、自前だと称しうるものは、思い出せない。あるとすれば、言い争いと風刺の、豊かな才能で、性質も中身も、蜘蛛の毒によく似る。すべて自分から吐き出すと称しても、やはり、同時代の虫や害虫を食べる、同じ技によって、強まるのだ。我々古代派は、蜜蜂とともに、翼と声、すなわち飛翔と言葉のほかには、自分のものを称さず、満足する。残りは、手に入れたものすべてが、果てしない労苦と探索、自然の隅々を巡ることによる。違いは、汚物と毒の代わりに、蜜と蝋で巣を満たすほうを選んだことだ。こうして人類へ、最も高貴な二つのもの、甘さと光を、供給するのである」。
イソップの、この長い談論が終わったとき、本どもの間に起きた騒ぎは、想像するにも驚くほどだった。双方が合図を受け取り、たちまち敵意を高め、合戦に訴えると決めた。すぐに、二つの主力は、それぞれの旗のもと、図書館の奥へ退き、この危急の事態について、密議と相談を始めた。近代派は、指導者の選択をめぐり、ひどく熱い論議になった。敵の差し迫る恐れがなければ、この機に、反乱を起こさずには済まなかったろう。とくに騎兵の争いが大きく、タッソ、ミルトンから、ドライデン、ウィザーまで、一兵卒が、皆、最高の指揮権を求めた。軽騎兵は、カウリーとデプレオーが率いた。弓兵は、勇敢な指導者、デカルト、ガッサンディ、ホッブズのもとに来た。その力は、大気の外まで矢を射るほどで、矢は二度と落ちず、エウアンドロスの矢のように流星となり、あるいは、砲弾のように星となった。パラケルススは、ラエティアの雪山から、悪臭弾投げの一隊を連れてきた。さまざまな国の、膨大な竜騎兵が、その大アガたるハーヴィーの指揮で来た。ある者は、死の武器である大鎌を持ち、ある者は、すべて毒に浸した槍や長い刃物を持った。ある者は、最も悪性の弾を撃ち、音を立てずに、必ず殺す、白い火薬を使った。重装歩兵の幾隊もが、グイッチャルディーニ、ダヴィラ、ポリドール・ヴァージル、ブキャナン、マリアナ、カムデンらの旗のもとに来た。すべて傭兵だった。工兵は、レギオモンタヌスとウィルキンズが率いた。残りは、スコトゥス、アクイナス、ベラルミーノに率いられた、雑然とした大群で、体も背丈も大きいが、武器も、勇気も、規律もなかった。最後には、カロネス、すなわち陣営の雑役者たちの、無数の群れが来た。レストレンジに率いられた、乱れた群衆で、略奪だけを目当てに従軍する、悪党や、ぼろをまとう連中だった。皆、身を覆う上着もなかった。
古代派の軍は、数では、はるかに少なかった。ホメロスが騎兵、ピンダロスが軽騎兵を率い、エウクレイデスが工兵長となり、プラトンとアリストテレスが弓兵、ヘロドトスとリウィウスが歩兵、ヒポクラテスが竜騎兵を指揮した。フォッシウスとテンプルに率いられた同盟軍が、後衛となった。
何もかもが、雌雄を決する合戦へ、激しく向かっていた。王室図書館へ、たびたび通い、以前から広い部屋も割り当てられていた、名声の女神は、まっすぐユピテルへ飛び上がり、下の二党の間に起きたことを、すべて忠実に報告した。神々の間では、いつも真実を語るのである。ユピテルは、大いに心を痛め、銀河で会議を召集した。神々の会議が集まると、召集の理由を告げた。本と呼ばれる、古代と近代の生き物の、強大な二軍の間に、いま、血なまぐさい合戦が迫り、天上の利害も、あまりに深く関わっているのだ、と。近代派の守護神、モモスは、彼らのため、見事な演説をし、古代派の守護者、パラスが、それに答えた。会議の心は二つに分かれた。そこで、ユピテルは、運命の書を持ってくるよう命じた。メルクリウスが、すぐに、大きな二つ折判三巻を運んできた。過去、現在、未来の、あらゆる事柄の記録を収めていた。留め金は、二重の金箔を施した銀、表紙は、天上のトルコ革、紙は、地上なら、ほとんど犢皮紙として通るようなものだった。ユピテルは、黙って定めを読み、意味を誰にも伝えず、すぐに本を閉じた。
会議の戸の外には、軽く、身のすばやい神々が、大勢控えていた。ユピテルの下僕で、下界の、あらゆる事柄で、その働きの道具となる者たちである。多かれ少なかれ、群れをなして旅し、ガレー船の奴隷の列のように、軽い鎖で、互いに結ばれていた。鎖は、彼らから、ユピテルの足の親指へ通じていた。それでも、用件を受けたり伝えたりするとき、玉座の、いちばん下の段より上へは、決して近づけず、大きな中空の管を通して、互いに囁いた。この神々を、人間は偶然や出来事と呼ぶが、神々は、第二原因と呼ぶ。ユピテルが、そのうち幾柱かへ用件を授けると、ただちに王室図書館の尖頂へ飛び降り、数分相談してから、見えぬまま入り、命令どおり、双方を配置した。
一方、モモスは、最悪を恐れ、自分の子たる近代派に、あまり好ましくない、古い予言を思い出し、批評という、悪性の神の領域へ飛んだ。女神は、ノヴァ・ゼンブラの雪山の頂に住んでいた。モモスが見つけたときには、巣穴で、半ば食い尽くした、無数の書物の残骸の上へ、身を伸ばしていた。右手には、父であり夫でもある無知が、年のため目を失い、座っていた。左手には、母の高慢が、自ら裂いた紙切れで、娘を飾っていた。妹の意見もいた。足が軽く、目隠しされ、強情だが、ふらつき、絶えず向きを変えていた。周囲には、子供たちの、騒音と厚顔、愚鈍と虚栄、独断、衒学、無作法が遊んでいた。女神自身は、猫のような爪を持ち、頭、耳、声は驢馬に似ていた。前歯は抜け、目は、自分だけを見るかのように、内側へ向いていた。食事は、自分の胆汁の、あふれたものだった。脾臓は、たいそう大きく、最大級の乳房のように、突き出していた。乳首の形の出っ張りにも事欠かず、醜い怪物どもが、むさぼるように吸っていた。しかも、驚くべきことに、脾臓は、吸われて減るよりも速く、膨らんだ。「女神よ」とモモスは言った。「敬虔な崇拝者たる近代派が、いま、この瞬間、激しい合戦へ入り、ひょっとすると、もう敵の剣の下へ倒れているのに、ここで怠けて座っていられるか。これから、誰が、我々の神格へ、生贄を捧げ、祭壇を建てるのか。だから急いで、ブリテンの島へ行き、できれば、彼らの滅亡を防いでくれ。その間、私は神々の間に党派を作り、我々の側へ引き入れよう」。
こう言うと、モモスは返事も待たず、女神を、その憤りに任せて去った。女神は、怒って立ち上がり、このような場合の作法どおり、独白を始めた。「幼児と愚か者へ、知恵を与えるのは、私だ。私によって、子供は親より賢くなり、伊達男は政治家、学校の少年は、哲学の裁判官となる。私によって、詭弁家は、知識の深みを論じ、結論を下す。コーヒー店の才人も、私に吹き込まれれば、著者の主題や言語を、一音節も理解せずに、文体を直し、最も細かな誤りを、さらけ出せる。若者たちは、私によって、財産と同じく、判断力を、手に入る前から使い果たす。詩を支配する帝位から、機知と知識を退け、自分を、その代わりへ上げたのも、この私だ。わずかな成り上がりの古代派が、あえて私へ逆らうというのか。さあ、老いた父よ、いとしい子供たちよ、美しい妹よ。私の車へ乗り、敬虔な近代派を、急いで助けよう。いま、私たちへ、百牛の生贄を捧げているのが、そこから鼻へ届く、ありがたい匂いでわかるのだから」。
女神と、その一行は、飼い慣らした鵞鳥の引く車へ乗り、無数の地方を飛び越え、適当な所で影響を降り注ぎ、ついに、愛するブリテン島へ着いた。しかし、都の上に舞ったとき、グレシャムや、コヴェント・ガーデンの養成所へ、どれほどの恵みを落とさなかっただろう。やがて、セント・ジェームズ図書館の、運命の戦場へ達した。そのとき、二軍は、まさに戦いを始めるところだった。女神は、一団すべてと、姿を見せずに入り、いまは空だが、かつて博識家たちの集落が住んだ、一つの書棚へ降り、しばらく、双方の軍の構えを眺めた。
しかし、ここで、母の優しい心配が、思いを満たし、胸を動かし始めた。近代派の弓兵の一隊の先頭に、運命が、ごく短い糸を割り当てた、息子ウォットンを見つけたからだ。若い勇士ウォットンは、名も知れぬ人間の父が、この女神との、ひそかな抱擁によって生んだ子だった。子の中でも、最も深い母の寵愛を受けており、女神は、行って慰めようと決めた。しかし、まず、神々の、よき古い習慣どおり、姿を変える算段をした。顔の神性が、人間の目を眩ませ、ほかの感覚にも、負担をかけるのを恐れたのである。そこで、身を八つ折判の大きさへ縮めた。体は白く乾き、乾燥で、ばらばらに裂けた。厚い所は厚紙、薄い所は紙となり、そこへ、両親と子供たちが、黒い汁、すなわち没食子と煤の煎液を、文字の形へ、巧みに散らした。頭、声、脾臓は、元の形を保ち、以前、皮の覆いだったものも、そのままだった。この姿で、近代派へ進んだ。形と服装は、ウォットンの、最も親しい友、神学者ベントリーと、見分けがつかなかった。「勇敢なウォットンよ」と女神は言った。「なぜ、我が軍は、ここで怠け、いまの勢いと、その日の好機を、空費しているのか。さあ、将軍たちへ急ぎ、ただちに攻撃を始めるよう、進言しよう」。そう言うと、脾臓から、たっぷり吸った、最も醜い怪物を取り、見えぬまま、その口へ投げ込んだ。怪物は、まっすぐ頭へ飛び上がり、眼球を押し出し、顔を歪め、脳を半ば、ひっくり返した。それから、愛する子のうち、愚鈍と無作法の二人へ、どんな戦いにも、ぴったり付き添うよう、ひそかに命じた。こうして身支度を整えると、霧の中へ消え、勇士は、それが母なる女神だったと悟った。
いまや、運命の定めた時が来て、戦いが始まった。だが、あえて詳しい描写へ入る前に、ほかの著者の例にならい、百の舌、口、手、筆を願わねばならない。それでも、これほど巨大な仕事には、すべて、少なすぎるだろう。歴史を司る女神よ、告げたまえ。初めに戦場へ進んだのは、誰だったか。パラケルススは、竜騎兵の先頭で、敵の翼にガレノスを見ると、力いっぱい投槍を放った。勇敢な古代派は、盾で受け、穂先は、二枚目の層で折れた。……〔ここに若干欠落〕……手負いのアガを、盾に載せ、戦車へ運んだ。……〔若干欠落〕……。
次に、アリストテレスは、猛烈な顔つきでベーコンが進むのを見て、矢尻まで弓を引き、矢を放った。勇敢な近代派には当たらず、頭上を唸って飛んだが、デカルトに命中した。鋼の穂先は、すぐに兜の弱点を見つけ、革と厚紙を貫き、右目へ入った。痛みの苦しみは、勇ましい弓兵を、ぐるぐる回したが、やがて死が、強い影響力を持つ星のように、自分の渦へ引き込んだ。〔原稿のここに、大きな欠落〕…………そのとき、ホメロスが騎兵の先頭に現れた。荒れ狂う馬に乗り、本人も、やっと扱っていたが、ほかの人間には、近寄る勇気さえなかった。敵の列の中を駆け、行く手の、すべてをなぎ倒した。女神よ、初めに誰を殺し、最後に誰を殺したか、告げたまえ。まず、ゴンディバートが、重い鎧を着け、落ち着いた、おとなしい去勢馬に乗り、立ち向かった。馬は、速さよりも、乗り手が乗り降りするとき、いつでも膝をつく、従順さで名高かった。彼はパラスへ、ホメロスの鎧を奪うまで、戦場を去らないと誓っていた。一度も、着る者を見ず、その力も知らなかった、狂人よ。ホメロスは、馬も人も地へ倒し、踏みつけられ、泥で息を詰まらせるに任せた。次には、長槍で、頑丈な近代派、デナムを殺した。父方ではアポロンの血を引いたが、母は人間だった。倒れて、大地を噛んだ。天の部分は、アポロンが取って星にしたが、地の部分は、地上をのたうった。それからホメロスは、馬の後ろ蹄の一蹴りで、サム・ウェズリーを殺し、ペローを、怪力で鞍から引き抜き、フォントネルへ投げつけ、一撃で、二人の脳髄を、打ち砕いた。
騎兵の左翼には、体へ完全に合った、輝く鎧姿で、ウェルギリウスが現れた。斑のある芦毛に乗り、その歩みが遅いのは、最高の気性と活力のためだった。勇気にふさわしい相手を見つけようと、敵の翼を見ると、そこに、途方もなく大きな栗毛の去勢馬に乗り、敵の最も密な隊列から出てくる者がいた。しかし、速さは、騒音ほどではなかった。老いて痩せた馬が、残る力を、足を高く上げる速足へ費やし、進みは遅いが、鎧を、聞くも恐ろしい大音響で、がちゃがちゃ鳴らしたのである。二騎が、槍の届く所まで来ると、見知らぬ騎士は、話し合いを求め、兜の面頬を上げた。中から顔が、かろうじて現れ、しばらくして、名高いドライデンとわかった。勇敢な古代派は、驚きと失望に、同時に捕らえられた者のように、はっと身じろぎした。兜は頭の九倍も大きく、頭は、ずっと奥へ引っ込んで見えた。まるで、ロブスターの中の「貴婦人」、国王の天蓋の下の鼠、あるいは、近代の鬘の庇から見える、しなびた伊達男のようだった。声も、顔に似合い、弱く、遠くから響いた。ドライデンは、長い弁舌で、善良な古代派をなだめ、父と呼び、系図を長々とたどって、近い親類であることを、明白に示した。それから、二人の間の歓待の、永遠のしるしとして、鎧を取り替えようと、恭しく申し出た。ウェルギリウスは同意した。謙遜の女神が、姿を見せずに来て、目の前へ霧をかけたからである。自分の鎧は金製で、牛百頭の値がし、相手のは、錆びた鉄にすぎなかったのに。だが、この輝く鎧は、近代派へ、自分のものより、さらに似合わなかった。それから、馬を交換することでも一致したが、試す段になると、ドライデンは恐れ、まったく乗れなかった。……〔原稿に、さらに欠落〕……ルカヌスが、見事な姿の、激しい馬に乗って現れた。しかし馬は強情で、思うままに、乗り手を戦場中へ運んだ。彼は、敵の騎兵を大いに殺した。この破壊を止めようと、近代派の名高いブラックモアが――ただし傭兵の一人だった――力を込めて立ち向かい、強い手で投槍を放った。だが、的まで届かず、地へ深く刺さった。次にルカヌスが槍を投げたが、アスクレピオスが、見えぬまま来て、穂先をそらした。「勇敢な近代派よ」とルカヌスは言った。「何かの神が、お前を守るとわかる。これまで、自分の腕に、こうも裏切られたことはないからだ。しかし、人間が、神と争えようか。だから、もう戦わず、互いに贈り物をしよう」。ルカヌスは、近代派へ一対の拍車を贈り、ブラックモアは、ルカヌスへ頭絡を与えた。……〔若干欠落〕…………クリーチ。しかし、愚鈍の女神は、雲を取り、武装して馬に乗るホラティウスの姿へ変え、逃げる格好で、彼の前へ置いた。騎士は、逃げる敵との戦いを喜び、大声で脅しながら、幻を追った。ついには、父オグルビーの、平穏な木陰へ導かれ、そこで武装を解かれ、休息を命じられた。
次にピンダロスは、――、――、オールダム、――、そして、足の軽い、アマゾンの女戦士アフラを殺した。決して直線には進まず、信じ難い敏捷さと力で回り、敵の軽騎兵を、恐ろしいほど殺した。それを見たカウリーは、気高い心を内に燃やし、猛々しい古代派へ進んだ。馬の活力と、自分の腕が許す限り、その身ごなし、歩み、駆け方をまねた。二騎が、投槍三本の長さまで近づくと、まずカウリーが槍を投げた。ピンダロスを外れ、敵の列へ入り、何の効き目もなく、地へ落ちた。そこでピンダロスは、この衰えた時代の騎士なら、十二人でも、やっと地面から持ち上げるほど、大きく重い投槍を放った。しかし、容易に投げ、誤らぬ手から、空中を歌って飛んだ。近代派は、幸い、ヴィーナスから与えられた盾を差し出さなければ、その場の死を逃れられなかったろう。いま、両雄は剣を抜いたが、近代派は、あまりに恐れ、混乱し、自分がどこにいるかも、わからなかった。盾は手から落ち、三度逃げ、三度、逃れられなかった。ついに振り返り、懇願の構えで手を上げ、「神のごときピンダロスよ」と言った。「命を助け、馬と、この武具を、お取りください。友人たちも、私が生きて、あなたの捕虜になったと聞けば、身代金を出すでしょう」。「犬め」とピンダロスは言った。「身代金は、友人のもとに置け。だが、屍は、空の鳥と、野の獣へ残してやる」。そう言うと、剣を上げ、強烈な一撃で、哀れな近代派を、真っ二つにした。剣は、振り抜かれ、半分は地面で息をあえぎ、馬の足で粉々に踏まれるままとなり、もう半分は、おびえた馬に乗り、戦場を運ばれた。ヴィーナスは、この半分を取り、アムブロシアで七度洗い、不凋花の小枝で三度打った。すると、革は丸く柔らかくなり、紙葉は羽毛へ変わり、もとからの金箔は、そのまま残った。こうして鳩となり、女神は、自分の車へつないだ。…………〔原稿に、まことに嘆かわしい欠落〕……。
ベントリーとウォットンの挿話
日も大いに暮れ、近代派の大軍が、半ば退却へ傾くころ、重装歩兵の一隊から、ベントリーという隊長が出た。近代派で、最も不格好な者だった。背は高いが、姿にも美しさにも欠け、体は大きいが、力も釣り合いもなかった。鎧は、互いに合わぬ千もの破片を継ぎ合わせ、進むたび、高く、乾いた音を立てた。エテシアの風に、突然、尖塔の屋根から吹き落とされた、鉛板の音のようだった。兜は、古い錆びた鉄で、面頬は真鍮だったが、息に汚され、腐って緑礬となっていた。同じ源から、胆汁にも事欠かなかったので、怒りや労苦に駆られると、最も悪性の、インクのようなものが、唇から滴るのが見えた。右手には殻竿、左手には、攻撃の武器に、決して不足せぬよう、汚物を満たした器を握っていた。完全武装した、この姿で、近代派の首領たちが、情勢全体を相談する所へ、ゆっくり重い足取りで進んだ。将軍たちは、近づくと、その曲がった脚と、盛り上がった肩を見て笑った。長靴と鎧は、隠そうと、むなしく努めたが、その形へ従い、さらけ出さざるを得なかった。将軍たちは、罵倒の才能を利用していた。管理しておけば、しばしば、大いに役立つが、そうでなければ、益より害が大きかった。少しでも気に障ると、しばしば、何もなくても、傷ついた象のように、自分の指導者へ向けたからだ。いまのベントリーは、まさに、そういう気分だった。敵が優勢なのを悔しがり、自分以外、誰の行動にも不満だった。近代派の将軍たちへ、恭しく、こう申し上げた。恐れながら、自分の考えでは、諸君は皆、悪党、馬鹿、とんでもない木偶の坊、無学な小犬、たわけたならず者の集まりだ。自分を将軍にしておけば、生意気な犬ども、古代派などは、とっくに戦場から叩き出されていたはずだ、と。「諸君は」と言った。「ここで怠けて座るが、おれか、ほかの勇敢な近代派が敵を殺せば、必ず戦利品を奪う。だが、おれが捕らえ、殺した者の武具は、誰のものでも、邪魔されずに取れると、皆で誓うまでは、敵へ向かって一歩も進まないぞ」。ベントリーが、こう言うと、スカリジェは、苦々しい目を向けた。「下劣なおしゃべりめ」と言った。「自分の目の中でしか雄弁でないくせに、機知も、真実も、分別もなく罵る。性質の悪意が、自然をねじ曲げ、学識は、お前を、もっと野蛮にし、人文学の研究は、もっと非人間的にし、詩人との交わりは、もっと卑屈で、泥まみれで、愚鈍にする。他人を文明化する、あらゆる技が、お前を粗野で、扱いにくくする。宮廷は無作法を教え、洗練された会話は、衒学者へ仕上げた。そのうえ、これほどの臆病者を、この軍はほかに抱えていない。しかし、決して落胆するな。約束しよう。取った戦利品は、何でも、確かに、お前のものとなる。ただし、その前に、卑しい屍が、鳶と虫の餌になるよう願うがね」。
ベントリーは、返す勇気もなく、ひがみと怒りに、半ば喉を詰まらせ、大きな手柄を立てようと、固く決心して退いた。助け手と連れとして、最愛のウォットンを伴い、計略か奇襲で、古代派の軍の、手薄な一角を襲うつもりだった。殺された友人の屍を越えて進み、自軍の右手へ出て、北へ回り、アルドロヴァンドゥスの墓へ至ると、沈む日の側を通り過ぎた。いまや、恐れながら敵の前哨へ近づき、負傷者の宿か、武器も持たず、仲間から離れて眠る、はぐれ者が見えぬかと、見回した。生まれつきの貪欲と、家の欠乏に駆られ、手を組んだ二匹の雑種犬が、恐れながらも、夜ごと、豊かな牧畜家の囲いへ侵入しようと、尾を下げ、舌を垂らし、そっと、ゆっくり這うようなものだった。その間、天頂へ達した、すべてを見通す月は、罪深い頭へ、垂直の光を射す。水たまりに映る姿で見ようと、空で直接見ようと、輝く顔に、いくら苛立っても、吠える勇気はない。一匹が周囲を見渡す間、もう一匹は平地を探る。群れから離れた所に、腹いっぱいの狼や、不吉な烏の残した、半ば食われた屍を見つけられないかと。この、美しく、愛し合う二人の友も、劣らぬ恐怖と用心をもって進んだ。すると、遠くに、樫へ掛けられた、輝く鎧が二領と、近くで深く眠る、その持ち主が見えた。二人は籤を引き、この冒険は、ベントリーに当たった。進む先頭には混乱と驚愕、後尾には恐怖と戦慄がついた。近づくと、見よ、古代派の二勇士、ファラリスとイソップが、熟睡していた。ベントリーは、二人とも片づけたくてたまらず、忍び寄り、ファラリスの胸へ殻竿を向けた。だが、そのとき、戦慄の女神が割って入り、氷の腕で近代派を抱え、予見した危険から引きずり離した。眠る二勇士が、熟睡したまま、夢に夢中で、同時に寝返りを打ったのだ。ファラリスは、ちょうど、甚だ卑しいへぼ詩人に風刺され、その者を、自分の牡牛の中へ入れ、吠えさせる夢を見ていた。イソップは、古代の友と地面に寝ていると、逃げ出した野驢馬が走り回り、顔を踏み、蹴る夢を見た。ベントリーは、二勇士を眠るまま残し、両方の鎧を奪うと、最愛のウォットンを探しに退いた。
その間、ウォットンは、手柄を求めて長くさまよい、ついに、人間の言葉でヘリコンと呼ぶ、近くの泉から流れる、小さな川へ着いた。そこで止まり、喉が渇いていたので、この澄んだ流れで癒そうとした。三度、汚れた手で水を唇へ運ぼうとし、三度、すべて指の間から、こぼれ落ちた。そこで、胸を下に伏せた。だが、口が、液体の水晶へ接吻する前に、アポロンが来て、流れの中で、近代派と泉の間へ盾を置いたので、泥しか吸えなかった。地上の、どの泉も、ヘリコンの清さには及ばないが、底には、粘土と泥が、厚く沈んでいるのである。アポロンがユピテルへ、そう願ったのだ。聖められぬ唇で、あえて味わおうとする者への罰、そして、あまり深く、あるいは源から遠くで、汲まぬよう、すべての者への教訓とするためである。
泉の湧き口に、ウォットンは、二人の勇士を見た。一人は見分けられなかったが、もう一人は、すぐ、古代派の同盟軍の将、テンプルとわかった。背を向け、兜で泉から、たっぷり水を飲んでいた。戦争の疲れを休めるため、退いていたのである。それを見たウォットンは、膝を震わせ、手をわななかせ、こう独り言を言った。ああ、我が軍を滅ぼす、この者を殺せたなら、首領たちの間で、どれほど名声を得られよう。しかし、人と人、盾と盾、槍と槍で立ち向かう勇気が、我々近代派の誰にあるだろう。神のように戦い、パラスかアポロンが、いつも肘のそばにいるのだから。だが、母よ、これほど偉大な女神の息子だという、名声の女神の話が真実なら、この槍をテンプルへ命中させ、一撃で地獄へ送り、戦利品を抱え、無事、勝利の帰還を遂げさせたまえ。この祈りの初めの部分は、母とモモスの取りなしで、神々が聞き入れた。だが、残りは、運命の送った、つむじ曲がりの風に、空中へ散らされた。そこでウォットンは槍を握り、頭上で三度振り、力いっぱい投げた。女神たる母も、同時に腕へ力を加えた。槍は唸って飛び、背を向けた古代派の帯まで達し、軽くかすめて、地へ落ちた。テンプルは、武器の触れたのも感じず、落ちた音も聞かなかった。ウォットンは、これほど偉大な将へ槍を投げ、報復も受けなかった名誉を携え、自軍へ逃げ帰れたかもしれない。しかし、アポロンは、これほど醜い女神の助けで投げた槍が、泉を汚したことへ怒り、――の姿となり、そのとき、テンプルに同行していた、若いボイルへ、そっと近づいた。まず槍を、次に、それを投げた遠い近代派を指し、ただちに仇を討てと、若い勇士へ命じた。すべての神々から与えられた、一揃いの鎧を着けたボイルは、すぐに、震える敵へ進み、敵は逃げ出した。リビアの平原か、アラビアの砂漠で、老いた父から、獲物を捕るため、健康のため、運動のために送り出された、若い獅子のように駆けた。山の虎か、猛る猪へ会いたいと思っていると、たまたま、うるさく鳴く野驢馬が、耳を辱める。気高い獣は、これほど卑しい血で爪を汚すのを嫌うが、不快な声に、ひどく怒る。愚かなニンフ、エコーも、判断の悪い同性の仲間らしく、フィロメラの歌より、ずっと大きく、ずっと喜んで繰り返す。そこで、森の名誉を守るため、騒々しい、耳の長い動物を追う。ウォットンは、そのように逃げ、ボイルは、そのように追った。しかし、重装備で、足の遅いウォットンの走りは、鈍り始めた。そこへ、眠る古代派二人の戦利品を抱えて戻る、彼を愛するベントリーが現れた。ボイルは、よく見て、友ファラリスの兜と盾を、すぐに見つけた。近ごろ、自分の手で磨き、金箔を施したものだった。目に怒りが閃き、ウォットンの追跡をやめ、新たに来る者へ、猛烈に突進した。どちらにも仇を討ちたかったが、二人は、別々へ逃げた。小さな家で、糸を紡ぎ、苦しい暮らしを立てる女が、共有地に鵞鳥を散らしてしまうと、平地を、あちらへこちらへ走り回り、はぐれた者を、あちこちで群れへ戻すようなものだった。鵞鳥は、大声で鳴き、野を羽ばたく。ボイルは、そのように追い、二人の友は、そのように逃げた。ついに、逃走も無駄だとわかると、勇敢にも合流し、密集陣を組んだ。まずベントリーが、敵の胸を貫こうと、全力で槍を投げた。だがパラスが、見えぬまま来て、空中で穂先を外し、鉛の穂を取りつけた。それは、敵の盾へ鈍く当たり、潰れて地へ落ちた。次にボイルは、よく機をうかがい、驚くほど長く鋭い槍を取った。二人の友が、ぴったり横に並んで固まると、右へ回り、並外れた力で、その武器を投げた。ベントリーは、運命が迫るのを見ると、体を守ろうと、両腕を、肋骨へ、ぴたりと下ろした。穂先は、腕と脇腹を通り抜け、その勢いを止めず、使い果たさず、死にゆく友を支えようとした、勇敢なウォットンまでも貫き、同じ運命を分け合わせた。腕のよい料理人が、山鷸二羽の、脚と翼を肋へぴたりと縛り、鉄串で、柔らかな両方の脇を刺し通すようなものだった。二人の友は、そのように串刺しになり、倒れた。生きて結ばれ、死んで結ばれ、あまりに固く結ばれたので、カロンも二人を一人と間違え、半額の船賃で、ステュクスを渡すだろう。さらば、愛され、愛し合う二人よ。残した者に、比肩する者は少ない。私の機知と雄弁の、すべてで、そうできるなら、幸せに、不滅となるだろう。
さて、いまや……。
以下欠落。