文学 / ジョナサン・スウィフトステラへTo Stella
文学 / ジョナサン・スウィフト
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原著・底本
- 原題
- To Stella
- 著者
- ジョナサン・スウィフト
- 底本
- Henry Morley編、Cassell & Company、1886年版。Project Gutenberg eBook 623旧HTML、公開日表記2007年1月15日。
- 編者
- ヘンリー・モーリー
- 原典の利用条件
- パブリックドメイン(米国)
Project Gutenberg 利用条件
英語Wikisource寄稿者 — CC BY-SA 4.0 - 収録範囲
- 1886年モーリー編英語版所収の原題、副題と本文全124行・十二連。後続の祈祷文を導く編者の文章は含めない。
日本語訳
表紙
- 装画
- 日本人文
- 利用条件
- CC0 1.0
本書のために制作した独自装画。原刊の装丁とは異なります。
追加日: 2026-10-21 / 更新日: 2026-10-21
1886年モーリー編英語版所収の原題、副題と本文全124行・十二連。後続の祈祷文を導く編者の文章は含めない。
ステラへ
病中の私を訪ねて。一七二七年十月。
パラスは、ステラの才知が、
女の身には、ふさわしくないほどであり、
その美しさも、遅かれ早かれ、
国を混乱させかねないと見て、
人類を、深く案じるあまり、
幼い君の心に、名誉の心を据えた。だが、この愚かで、悪徳に染まった時代と、
言い争いを始めるつもりはないけれど、
ここで、名誉を定義するとしたら、
神にかかわる事柄での、信仰に当たる。
自然の生命が、体を温め、
学者の教えるとおり、魂が体に形を与えるように、
名誉は、全体を生き生きと動かし、
魂の中の、精気となるのである。退屈な道徳家の一群が、
書き並べる、あれほど多くの徳、
さまざまな名前で、呼び分ける徳を、
真の名誉は、すべて含んでいる。
黒胆汁が、いちばん力を振るおうと、
黄胆汁、血液、粘液が、支配しようと、
この点では、何の違いもない。
名誉の居場所は、体質などではないのだから。だが、名誉と取り違えてはならない、
放蕩者の、酔った上での喧嘩を。
あるいは、傷跡に宿るものと思ってはならない、
誇らかな、凱旋の車に宿るものとも。
いかさま師相手のピケで、
負けた借金を、払うこととも。
娼婦が、その商売の中で、
逢い引きの約束を、きちんと守ることとも。
並の悪党なら、耳を落とされるところで、
貴族が、それにかけて誓うものとも。
ステラの、美しい手本に、説いてもらおう、
君ひとりにしか、教えられない教えを。名誉にかかわる問題を、吟味するときは、
あらゆる情念を、脇へ置かねばならない。
忠告を求めず、一人で考え、
自分の問題ではないと、仮定するのだ。
私ならどうするか、それが問いなのではない、
ブルートゥスなら、私の立場でどうするだろうか。
このような大義に、カトーは血を流すだろうか。
そして、ソクラテスなら、どう進むだろうか。心から、あらゆる異議を追い払え。
さもなければ、普通の人間に逆戻りし、
野心、貪欲、肉欲、
党派の怒り、信頼への裏切り、
むかつく作り笑いを先につけた、へつらい、
罪、恥辱、奴隷のような恐れ、
嫉妬、残酷、高慢が、
汚れた君の心を、支配するだろう。昔の、男の英雄も、女の英雄も、
名誉だけによって、名を連ねた、
天にいる、同胞たちの中へ。
そこへステラも、やがて、だが遠い先に、昇るだろう。
記録された一万の誓いも、
君の一言ほど、神聖ではない。
ステラが、友を欺くより先に、
世界のほうが、原子に砕けて終わるだろう。
胸に宿る名誉によって、
君はいつも、何が最善かを決める。
君の心の、なんという憤りだろう、
人類を奴隷にする者たちへの!
卑しい王や、国の大臣たちは、
永久に、君の憎しみの的である。自然が、勇気を男だけに限ろうと、
意図したことはないと、君は考える。
私たち男を、何より軽蔑にさらす臆病が、
女の身なら、飾りになるだろうか。
フロリメルの、わざとらしい怖がり方の、
どこに魅力があるのかと、君はいぶかる。
ステラは、覚えたことがない、
頃合いを見て、悲鳴を上げたり、びくりとしたりする技を。
夜中に、家じゅうを呼び起こし、
白いものを見たと、言い張ることもない。
ドールが飛んできて、胴着のひもを切ったり、
顔に冷たい水をかけたりすることもない、
急に太鼓の音が聞こえたからとか、
プラムに、ハサミムシを見つけたからといって。君の話を聞く者は、驚く、どこから来るのかと、
あの豊かな、才知と分別は。
君の慎みは、それを隠そうとするけれど、
雲の後ろの太陽のように、輝き出る。
優雅さは、その技を隠しながら、
それでも、一つ一つの動きに、そっと現れる。ステラ、教えてくれ、プロメテウスは目が見えず、
君を作るとき、性を取り違えたのか。
いや、君ひとりのために、盗んだのだ、
男らしい魂を形づくる、あの火を。
そして、何もかもを完全にするために、
女の粘土で、それを包んで形を作った。
あの火から、君は高貴な炎を受け、
この粘土から、体の美しさを受けた。恩知らずは、どれほど喜ぶことだろう。
非難は、どれほど意地悪な心を、満たすことだろう。
もし私が、ステラの親切を、
黙って隠したり、高慢にも忘れたりしたなら。
私が、病の床に横たわり、
夜にも、昼にも、耐えられず、
男らしくもない声で、嘆きながら、
あらゆる力に、苦痛を和らげてくれと呼びかけたとき、
ステラは、私を救いに駆けつけた、
明るい顔と、内に秘めた悲しみを抱いて。
天の厳しい定めにより、
君は、いつも私より苦しんでいるのに、
どんな残酷な主人でも、求められはしない、
日ごとに金で雇う、奴隷たちにさえ、
友情に心を温められたステラが、
力強く、喜んで果たしてくれたほどのことは。
あるときは、沈みゆく私の心を、支えてくれる、
君の手と眼差しにある、気付け薬で。
あるときは、柔らかで、静かな足取りで、
音も立てずに、私の寝床の周りを動く。
君が、いやな薬を、一つ一つ味見するのを見て、
私は、その優しい心遣いの罠にかかる。
薬を差し出す、その手に祝福を送り、
恥ずかしくて、顔をしかめることもできない。真の友の、最良の手本よ、気をつけてほしい。
その看護に、あまりに高い代価を払っている、
君の優しさが、私の命を守りながら、
君の命を、危うくするのなら。
そんな愚か者は、かつて一人もいなかった、
宮殿を、地面まで取り壊し、
ただ、そのがれきを、
傷んだ家の、材料にするためだけに。
訳注
副題の年記は底本どおり、一七二七年十月とした。照合した一八〇一年版の副題は一七二〇年と記す。年次を確定するための異版調査は行わず、底本と比較本文の違いとして残した。